No.177 カリスマブロガーが聴くべき6枚
2010/07/06 | タグ:Buffalo Daughter JEB LOY NICHOLS ROX SARAVAH SOUL Scoobie Do 七尾旅人
90年代中盤あたりからテレビなどのメディアで使われはじめた言葉〈カリスマ〉。ここ数年は耳にすることが少なくなってきましたが、2~3年くらい前から徐々に使われ始めているのが〈カリスマブロガー〉という言葉であります。以前は手に職を持った人に付けられていたイメージですが、現在はブロガーがカリスマなのだそう。ブログという言葉の一人歩き感に軽く驚き、さらにカリスマの暴落っぷりもひしひしと感じながら今回はお送りいたします。
■誤解を恐れず勝負する3作
1. Buffalo Daughter『The Weapons Of Math Destruction』(7月7日発売)バンドにとって4年ぶりとなる本作のテーマは〈物理〉だそう。なんだか難しそうですが、聴いてみると明瞭でして、初期ヒップホップのようにラフな作りのリズム、淡々としたシャウト、無骨なディストーションが効いたガレージ風のギター、そしておなじみTB-303のリズムと、構成要素はBuffalo Daughterそのものであります。ビートに80'sエレクトロの匂いがする“Rock'n'roll Anthem”など、ファンにとって懐かしい要素もふんだんに含まれていながら、彼らが音楽に対してフィジカルであり続ける姿勢が伝わる好作であります。あ、物理に関しては自分はよく理解できませんでした。すんません!
2. Scoobie Do『何度も恋をする』(7月7日発売)サーフ+ガレージの1曲目“太陽と女の子”からズル剥け感全開。挿入される昭和なスキャットにノックアウトされてしまいました。真骨頂とも言える歌モノ・ファンク“きれいなお姉さん”、ベースがファットすぎる“ロールオーバー14歳”と、立て続けにパンチラインを放っております。これまで以上にわかりやすくて歌謡フレーヴァーがまぶされた作品……でもそれってデビュー作の『夕焼けのメロディー』じゃん。と思ってしまうのは早計というもの。単なる原点回帰ではないのです。プレイヤービリティーとフレージングのキレが当時とは比べ物になりません。かつてスクービーが好きだったけど、最近はご無沙汰していた方、最高のサマー・ソングが詰まったこのアルバムを真っ先に手にしてください。
3. 七尾旅人『billion voices』(7月7日発売)やけのはらとの共作シングル“Rollin' Rollin'”がフロア・ヒットを飛ばし、注目度が再び高まっている七尾旅人。こちらの『billion voices』は、これまで同様コンセプチャルな作品となっております。柱となる“検索少年”が示すネット上に漂う情報と、人間の感情を対比させながら、その2つが融合する地点を目指したアルバムということになりましょうか。前述の情報と感情のみならず、七尾本人の無邪気さと計算高さ、ポップソングとインプロ、ミクロな視点とマクロな視点、それぞれが入り組んでこのアルバムができているのがわかるはず。聴き終えたときに、このアルバムと世界がリンクしている……そんな大きなテーマがふと脳裏に浮かんでくるはずです。
■各方面のお墨付きな1作
4. ROX『Memoirs』(7月21日発売)ここ数年、エイミー・ワインハウス、アデル、ダフィーと、レトロな味わいを持つR&B系クイーンの活躍が目覚しいですが、こちらで紹介するロックスもその流れにあると言ってよいでしょう。ラフ・トレードに見出された彼女は、弱冠21歳。英才教育を受けて育ち、BBCのお墨付きでもあります。レイドバックしたトラックとスモーキーな歌声、エキゾな顔立ちと、すべてがキャッチーでブレイクの予感がビシビシするのです。モータウン風のトラックをバックに、シャウトもフェイクも見事に決める彼女の歌声にスキは見えません。レゲエやアコースティックをさりげに配するプロデュースも素晴らしい。バランス感覚の取れた、娯楽性の高い一枚です。
■ルーツを目指す2作
5. JEB LOY NICHOLS『Long Time Traveller』(7月17日発売)ニューウェイヴの洗礼をリアルタイムで受けつつ、自らの表現はルーツ音楽を根ざしたシンガー・ソングライター、ジェブ・ロイ・ニコルズ。彼の新譜は、近年の路線を踏襲した、ゆるめの脱力レゲエであります。休日の昼からビールを飲んで聴くのにぴったりなリラクシン・ミュージックとなってまして、さりげないカントリー・テイストはライ・クーダー好きにも訴えるはず。『Long Time Traveller』というアルバムのタイトルは、まんまライ・クーダーのやっていることのようにも取れますね。そういえば、日本盤ボーナス・トラックを除いた最後の1曲“This Dark Road”が、レゲエ風のアメリカーナになっているところにも、彼の姿勢が見えてくる気がいたします。
6. SARAVAH SOUL『Cultura Impura』(7月3日発売)こちらのサラヴァ・ソウルは、資料によると〈60年代後期のブラジリアン・ソウル、ファンク、サンバを今に伝えるブラジル人とイギリス人の混合バンド〉だそう。オリジナルと比べると多少スタイリッシュになっているものの、アフロ系ファンクの泥臭さ、サンバの原始的な野性味はここには存分に息づいております。ループに身をまかせるとじわじわ体温が上がる感じ、呪術的な不気味さ、そういった本能をくすぐるリズムがたんまり。むせ返るような体臭が満ちた肉食男子の音楽です。
以上、カリスマブロガーが好きな音楽だらけでお送りしました。ではまた来週、チャオ~♪
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