No.174 好カードを組めそうな6枚
2010/06/15 | タグ:80kidz Dragon Ash LEELA JAMES PIN ME DOWN THE GASLIGHT ANTHEM 星野源
始まりましたねワールド・カップ。普段からプロ・スポーツ全般を追いかけていないためハシャぐにハシャげなかったりするのですが、それでもリーグ戦の組み合わせをチェックしたりすると結構テンション上がります。素人の自分でもお国柄でチームごとの特性が何となくつかめたような気になれるので、「あれとこれがぶつかるのか!」っていう天下一武道会的な快感を味わえるのかも。この血が騒ぐ感じはきっと音楽においても大切なはず……というわけで、今週は似通っていたり対照的だったりする2枚によるガチンコ聴き比べマッチを3連発でお送りいたします。審判はモニターの前のみなさんです!
■注目度高めな邦シングル&EP対決
1. Dragon Ash“AMBITIOUS”(6月16日発売)まずはDragon Ashのニュー・シングルから。W杯中継のテーマ曲にもなっている表題曲の“AMBITIOUS”は、細かく刻まれたアッパーなビートと清々しいアルペジオを鳴らすギターのコントラストが、時に熱く、時に静かにリスナーを奮い立たせるkjの歌と呼応し、爽やかに高揚を感じさせてくれる流石の仕上がり。PES(RIP SLYME)とVERBAL(m-flo)をフィーチャーして徹底的に攻める“BEAT SURF”、貫禄のレゲエ・チューン“CALLIN'”と、2曲のカップリングにもスキはなし。2002年に日韓W杯が開催された際には不動のアンセム“FANTASISTA”で日本を席巻した彼らですが、8年の月日を経た今回もまた大いにサポーターを盛り上げてくれそうです。
2. 80kidz『SPOILED BOY』(6月16日発売)Ali&とJunの2人で再始動する80kidzが、デジタル限定EP『VOICE』に続く2010年第2弾の作品をリリース。タイトル・ナンバーの“SPOILED BOY”には、かつてミックスを手掛けたこともあるCSSのラヴフォックスがゲスト参加しており、ビリビリと腰に来るベースと浮遊感のあるシンセに乗せてアンセム化必至の素晴らしいメロディをクールに歌いあげています。指アニメPVも必見! 他にも音楽番組「VERSUS」のテーマ曲となる“BLOW”、ドコモのCMとタイアップした“Northcoast”といった新曲に加えて、“SPOILED BOY”のミックスを3曲分収録。納得のヴォリューム感に、来るべきセカンド・アルバムへの期待もよりいっそう高まります。
■変則ソロ/サイド・プロジェクトによる日英親善試合
3. 星野源『ばかのうた』(6月23日発売)SAKEROCKの星野源が、ついに待望のソロ・アルバム『ばかのうた』を発表します。何と言っても彼の〈歌〉をアルバム1枚分たっぷり聴けることが本作の醍醐味でして、初のソロ作ながら、どの楽曲にも彼らしさとしか言いようのないほんのりとした味わいがあります。ソフトな言葉とボクトツとした歌唱でちょっと不思議な世界を描く手法は、〈ばか〉どころか〈みんなの〉うたとしてすんなりのみ込める気持ちよさ。もちろんパーカッションをはじめとするパフォーマンスも楽しめます。ドラムスに伊藤大地(SAKEROCK、グッドラックヘイワ)、ベースに伊賀航(細野晴臣グループ、lakeなど)、キーボードに野村卓史(グッドラックヘイワ)、さらにゲストとして高田漣を迎えるなど、サイドを固める人選も盤石。細野晴臣(テレビブロスにて共に対談コラムを連載中)とのコラボレーション曲“ただいま”も収録されています。雨の日のホコリっぽさにも似た懐かしさのある、6月にぴったりなアルバムでした。
4. PIN ME DOWN『Pin Me Down』(6月23日発売予定)現在活動休止中のブロック・パーティーにてギタリストとして活躍するラッセル・アイザックが、新プロジェクトのピン・ミー・ダウンを本格始動。女性シンガーのミレーナ・マーフィスと組んで、彩り豊かな歌って踊れるポップ・サウンドを展開しております。イントロがいかにもブロック・パーティーな単音フレーズで始まるため「こんなもんかなー」とタカをくくってしまたのですが、聴き進めるに連れてシューゲイザー的な空間処理、ドリーミーなシンセ、ミュートの効いたハードなリフなどさまざまな引き出しが開けられていくので、彼の旗印でもある鋭角的なギター・サウンドもここではあくまで数ある武器のひとつに過ぎないということを思い知らされました。クロージング・ナンバーではストリングスまで鳴ってしまいます。アウトプットこそめちゃくちゃキャッチーですが、随所にさりげない野心を感じるデビュー作でした。アルバムはPCでデータを交換して完成させたそうですが、ライヴでどう再現するのかも気になります。
■黒い伝説たちの娘 VS 怒れる白の息子
5. LEELA JAMES『Let's Do It Again』(海外盤発売中、日本盤6月16日発売)ファンキーな正統派女性R&Bシンガーのリーラ・ジェイムスが、2009年に発表したカヴァー・アルバム『Let's Do It Again』の日本盤をリリース。ボーナストラックとして収録曲のミックス音源が2曲フィーチャーされています。ベティ・ライトやローリング・ストーンズに始まり、アル・グリーンやアルバムのタイトルにもなっているステイプル・シンガーズのナンバー(カーティス・メイフィールド作曲)で終わるという構成で、意欲的に古典と格闘している1枚です。無謀にもなりかねない挑戦ですが、どの楽曲でもオリジナルに気圧されるようなことはなく、フレッシュな歌声と血肉で先達と渡りあっています。特にJBの“It's a Man's Man's Man's World”での絶唱っぷりには腰を抜かします。決してピーキーに走ることなく、かといって渋すぎでも軽すぎでもないバンドの塩梅も最高で、「これはきっとかなりのヴェテランがバックについているんだろうな……」と思ってクレジットをチェックしたら、リーラ嬢(27歳)がみずからプロデュースを手掛けていました。ぐうの音も出ません。最新オリジナル・アルバムの『My Soul』もリリースされたばかりなので、気になる方はこちらもどうぞ。
6. THE GASLIGHT ANTHEM『American Slang』(海外盤6月15日発売、日本盤6月16日発売)ラストはググッと熱く、ブルース・スプリングスティーンの正統すぎる後継者として注目を集めているロック・バンド、ガスライト・アンセムが満を持して放つ大作『American Slang』でシメましょう。「第2の○○」みたいなコピーって、ほとんどの場合は大げさなものとして一笑に付されがちですが、彼らはちょっとどうかと思うぐらい本物です。単にボスと同郷というだけではなく、フロントマンのブライアン・ファロンは歌い方やソングライティングなどあらゆるレベルでボスから多大な影響を受けたことを公言しており、彼の背中を追って労働者階級の代弁者という険しい道を歩む覚悟まで決め込んでいる熱意あふれる男。そんなあふれんばかりのボスへの愛とリスペクトを、パンク界出身というバックボーンを活かしたパワフルなバッキングとともに爆発させた楽曲の迫力たるや! 名曲“Born To Run”のテンションを、よりラウドなアレンジでキープして、そのままアルバム1枚分全力で走りきってしまうようなかんじです。熱い。熱すぎる。めいっぱい働いた後に野外で冷たいビールをがつーんとやりながら聴くと最高なのでは。とか言ってたらマジで喉が渇いてきたので今週はこのへんでお別れです。また来週~。
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です





























