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No.154 雪と遊ぶ6枚

2010/01/19 | タグ:

Text:高橋 聡太

 各地で豪雪が観測されているようですねー。〈ようですねー〉とか言ってしまえるのは自分の住んでいる地域でまだサッパリ雪が降っていないがためであり、しかも積雪量が中途半端(降らないこともない程度)な地域で生まれ育ったせいか雪となると俄然テンションが上がるタチなので「せっかくの雪なんだから思いっきり楽しめばいいのに!」という当事者の苦労を度外視した羨望を抱いてしまったりするのであります。そんなわけで、今週は童心に帰って雪遊びをめいっぱい楽しむための6枚を、雪国にお住まいの皆様からのヒリヒリとした視線に焼かれつつご紹介!

■カマクラでしっぽり味わいたい2枚

1. LOVE LOVE LOVE『空想パドル』(発売中)
LOVE LOVE LOVE“タシカなカタチ”PV

 晴れやかな日本語ロックを聴かせてくれるLOVE LOVE LOVEが最新EP『空想パドル』をリリース。2008年の『ターコイズ』、2009年の『ソライロノオト』に続く3部作の最後を飾る一枚なだけあり、誰もが日常で抱くふとした思いが流れるようにごく自然と曲になっていくという、スピッツやくるりにも通じる素直でやさしい日本語ロックの醍醐味を堪能できる作品になっております。演奏面でも曲ごとの色がよりくっきりと打ち出されており、スイング感のあるロックンロールも、アコギ1本で聴かせるナンバーも、情感たっぷりに描かれた世界と呼応するかのように自在にスタイルを変えて聴き手を楽しませてくれます。凜とした冬の朝にぴったりな一枚でした。

2. Hiro-a-key『HIROGLYPHICS - Complete Edition -』(発売中)
Hiro-a-keyのライヴ映像

 耳あたりの抜群な作品をもう1枚。日本人離れした風通しのよい歌声で、ジャズ、ソウル、ヒップホップなどのモダンなエッセンスを余すところなく聴かせてくれる実力派シンガー、Hiro-a-key初のフル・アルバムです。折り紙つきの歌唱力と日本語と英語を要所々々で使い分ける確かなスキルはもちろんのこと、何よりも至極いい意味で〈自分の消し方〉を心得ているというか、リスナーが気持ちよく主役を演じられるだけのスキマを最後までしっかり空けておいてくれる力加減が絶妙なのです。先にEPとして発表された『HIROGLYPHICS』の完全版という形でのリリースですが、収録曲が倍増している上に、EPでキー・トラックとなっていた“At your call”の日本語ヴァージョンが新たにフィーチャーされています。こちらはもちろんアーバンな夜景などを眺めつつ聴くべき作品かと!

■雪合戦を白熱させる2枚

3. FACT『In the blink of an eye』(発売中)
FACT『In the blink of an eye』トレイラー

 ここからは俄然アグレッシヴに! まずは昨年の春にリリースされたセルフ・タイトル作で鮮烈な凱旋ブレイクを果たした逆輸入バンド、FACTの最新作『In the blink of an eye』です。ダンスフロア対応の打ち込みサウンドを貪欲に取り入れて話題をかっさらった前作から一転、今回は随所にコアなエグみを残しつつも全体をクリアなトーンが貫く堂々たるロック・アルバムとなっており、スタジアム級の開場を揺さぶろうとするバンドの野心がひしひしと伝わってきます。ややもすれば「おとなしくなった?」なんて声も聞こえてきそうですが、本作での寒気がするほど理路整然としたバンド・アンサンブルは、これまでに経験してきた混沌の向こう側から逆説的に見出されたものなのではないでしょうか。これまでのような能面ルックスを捨て、また一味違った手法で匿名性をアピールしているジャケットにも要注目。さらなる飛躍を感じさせてくれる力作でありました。

4. Lost Deliveries『Entertainment System』(発売中)
ロスト・デリヴァリーズ“Have A Good Life”PV

 結成からわずか1年半でカナダのメロコア・シーンを席巻しているという4人組のポップ・パンク・バンド、ロスト・デリヴァリーズのファースト・アルバムがここ日本でも発売に。デビュー作らしい勢いに満ちたコンパクトな全10曲。かといってあんまりつんのめることもなく、大事なところでは割としっかりコーラスも聴かせてくれるなかなかの王道っぷりでした。若手パンク勢の登竜門である〈Warped Tour〉で叩き上げてきたバンドだそうで、世間的には2000年代をピークに下火になったと言われているこの手のシーンからもまだまだ元気な若い芽が出てきているんだなあ、と痛感させられた次第です。日本盤には本国でシングルとしてリリースされたリッキー・マーティン“Livin La Vita Loca”(aka 郷ひろみ“GOLDFINGER '99”)のカヴァーも収録。これがまたはっちゃけていて楽しい出来なので、買うならコチラがお得かと!

■雪だるまのように刹那的な2枚

5. mudy on the 昨晩『YOUTH』(発売中)
mudy on the 昨晩“YOUTH”PV

 〈残響〉が送り出す名古屋発の5人組、mudy on the 昨晩が新曲3曲と初のライヴDVDをコンパイルしたミニ・アルバムを発表しました。ヴォーカル不在のトリプル・ギター編成で極彩色のフレーズを精密かつ大胆に積み重ね、言葉に語る以上に雄弁な世界を築いていく彼らならではの手法は、いよいよもってすごいレベルに達しつつあります。この手のバンドにおいてキモとなるのは、インストならではの自由度の高いミニマリズムと、歌を代替するメロディーという2つの要素。彼らの場合は決してこれを各パートで分担したり曲の構成上で明確に使い分けたりせずに、常に全プレイヤーが両極を縦横無尽に往来している感じ。その結果として生まれる爆発的な熱量については、最早語るまでもありますまい。3月に発売が控えている初のフル・アルバム『pavilion』への期待も、なお高まるのでした。

6. K.E.I『EN』(発売中)

 最後はずっしりくるヒップホップで。2008年にリリースされた鬼一家の記念碑的1作『赤落』に名を連ねたラッパー、K.E.I。彼がフルレングス作『EN』を引っさげて満を持してのアルバム・デビューを果たします。Blom、狐火、Oldfashionといった盟友の他にも、、PSGのPunpeeが11曲目“何も無い”にビートメイカーとして参加。ヴァラエティー豊かなトラック群に華を添えています。ただ単にストリートの今を綴るだけでなく、福島県郡山市出身という自身のバックグラウンドもしっかり練り込んだリリックが鈍い光を放っており、その生活感ゆえの緊張感は終始途切れることなくアルバムを張り詰めた雰囲気で満たしております。やっぱり北国で育まれる反骨精神には、ただならぬすごみがありますよね……といった具合に改めて雪の怖さを確認したところで今週はお別れです! 次回もよろしくおねがいいたしますー。

●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
1. LOVE LOVE LOVE『空想パドル』
2. Hiro-a-key『HIROGLYPHICS - Complete Edition -』
3. FACT『In the blink of an eye』


4. LOST DELIVERIES『Entertainment System』
5. mudy on the 昨晩『YOUTH』
6. K.E.I『EN』

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