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今週の5,6枚

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No.119 浮ついたこころに6枚を

2009/04/20 | タグ:

Text:OOPS!編集部片山

この春大学入学したばかりとおぼしき2人の女性が、これから入りたいサークルの話をして盛り上がっていました。未来への期待が募るあまり、2人とも完全に浮き足立っていて微笑ましかったです。そんな浮き足立ったこころに今週の6枚を捧げます。彼女たちに幸多からんことを。

■作家性の強い2枚

1. Graham Coxon『The Spinning Top』(日本盤5月3日発売)
Graham Coxon “Look into the light”

 すったもんだのあげくブラーへの復帰を決めたグレアム・コクソン3年ぶりソロ作。エレキのリフで押してくるナンバーが数曲あるものの、ほぼ全編アコースティック。派手さは皆無で、ペンタングルなんて単語が浮かぶブリティッシュ・フォーク正統派のたたずまいです。ソロ7枚目だけあって自身の能力を的確に把握しており、素朴なボーカルが滋味としてシミます。聴くたびに発見がありそう。音楽そのものからはちとズレるのですが、あまり長すぎないアルバムの尺というのは、フォーキーな世界観において思った以上に大事で。となると日本盤恒例のボーナス・トラックも慎重に考える必要があるなぁと本作を聴きながら思った次第。

2. Yppah『They Know What Ghost Know』(日本盤5月2日発売)
Yppah “Gumball Machine Weekend”

 バンドマンとDJという原体験をベースに生み出された前作『You Are Beautiful At All Times』が〈シューゲイザー・ミーツ・ヒップホップ〉と称され注目された〈NINJA TUNE〉所属のコンポーザー、イパのセカンド。2年ぶりとなる新作は、きらびやかなギターとフィードバック・ノイズはそのままに、ヒップホップ感はやや希薄になり、メロディのウェイトがグッと上昇しています。ジザメリのバックで〈Anticon〉のドッシュが叩いてる感じとでもいえばよいでしょうか。ソロと同時に再びバンド活動も行っているようで、現在の彼が、ポストロック的な感受性に振れていることをうかがわせます。

■実力派DJによる2作

3. DJ BAKU『JAPADAPTA』(5月2日発売)
『JAPADAPTA』に収録されているNORIKIYO“DO MY THING”

 DJ BAKU初となるオフィシャル・ミックスCDはブッ飛ばされました。MSCやSDPなど日本語ラップ中心に、BLACK GANIONZAZEN BOYSといったバンドまで織りまれためくるめく全42曲(!!)。DJ BAKUの音楽観、これまでの活動を端的に伝える1枚に仕上がっております。THA BLUE HERB“アンダーグラウンド VS アマチュア”のアカペラと自らの“Akbah Attack”のブレンドは、エモーショナルなラップと轟音ビートが見事なハマりっぷり。セカンド『DHARMA DANCE』でついにロックにリーチし、HYBRID DHARMA BANDを結成。DJ BAKUも今後はいよいよ構築的なサウンドを志向していくのかと思っていたので、本作のようなDJ仕事はうれしい限りです。年内リリース予定というラッパー・フィーチャーリング・アルバムにも期待が募ります。

4. AZZURRO『The B-Side』(発売中)

 続いてもベテランDJ登場。AZZURROの最新アルバム『The B-Side』は、一人の男のヒップホップ観を、ルールに絡めとられることなくマナーを守って音にしたらこうなったという好例。スペイシーとラテンのように一見結びつきそうにない要素を、違和感なく結びつける見事な手さばきはさすがの一言。昨今忘れ去れつつあるヒップホップの雑食性を体現しております。加えて本作で特筆すべきは音が良さ。緊張感のあるサウンドスケープをすみからすみまで堪能できます。微に入り細に入り作りこまれた本作のような作品にとっては、音質まで含めて音楽だと痛感しました。

■センチメンタルな2枚

5. シャムキャッツ『はしけ』(4月22日発売)

 これまでCD-R音源などリリースしてきた4人組ロックバンド、シャムキャッツ初のフル・アルバム。その叙情的な世界観から、はっぴいえんどや初期くるりなんかが引き合いに出されていますが、もっと肩の力が抜けていて生々しい。とはいえ、ギラギラしているのではなく、TVドラマなんかを見てて、感情移入しすぎるあまり恥ずかしさの自家中毒を起こす感じに近い。かなりの人肌。ユーモアの語源はヒューマンだというトリビアを思い出しました。これだけでもかなりの破壊力ですが、ローファイ、オルタナ、USインディ感を飲み込んだストレンジなバンド・アンサンブルが磨きあげられでもしたら……考えるだけでもとんでもないバンドになりそうです。

6. 脳(nou)『Sweet Memories』(5月2日発売)

 ハマのPPPことレーベル〈PAN PACIFIC PLAYAの文字通りブレイン、のファースト『Sweet Memories』をご紹介。ダビーに揺らめくシンセとしなるリズム。レーベルのドンLatin Quarter筆頭にメロウでスムースなテクノ・ミュージックを聴かせてきたPPP印だけあって、本作も期待を裏切りません。郊外の沈滞と都会的なカッティングエッジの融合。こんなにほろ苦いマシナリー・ブルースを聴きながら、均一化した郊外をドライブなんかしたら、ホロリと来ちゃうこと必至です。

 あ、期せずして先週のこのコーナーとまったく逆のテーマでしたね。まぁ気にしない気にしない。浮つけるうちに浮つくのも大事なことなんです。ふわふわしながらまた来週。

 
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
1. Graham Coxon『The Spinning Top』
2. Yppah『They Know What Ghost Know』
3. DJ BAKU『JAPADAPTA』


4. AZZURRO『The B-Side』
5. シャムキャッツ『はしけ』
6. 脳(nou)『Sweet Memories』

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