No.118 浮かれない6枚
2009/04/14 | タグ:A-Trak bonobos Krazy Baldhead KYTE Prince R+NAAAA riow arai
先日映画を見に行ったのですが、酔って行ったせいか、最初の30分で寝てしまいストーリーすら追うことができない状態でありました。自分のバカ! 春の陽気に誘われてレジャーでも、と思って調子に乗ったのがよくなかったようです。ちなみに映画はトム・クルーズ主演のサスペンス大作「ワルキューレ」。剣を持って鎧を着た女の子が主人公の映画だと思って入ったのも大きな間違いでした。こんな悲しい思い、2度と味わいたくないので、今週は陽気に浮かれそうになる気分を引き締めてくれる、浮かれない6枚をお送りいたします。
■懐かしいのに古びない2作
1. Prince『LOTUSFLOW3R』(発売中)まずは、今年で51歳を迎えるプリンスの新作『LOTUSFLOW3R』から。本作はなんと3枚のCDからなる大作。まずはプリンスの『LOTUSFLOW3R』、『MPLSoUND』という2枚のアルバムが入ってまして、最後の1枚はプリンスがプロデュースした女性シンガー、ブリア・ヴァレンティの作品、といった謎の形態でリリースされております。アメリカの大手ディスカウント・ストア「Target」のみで販売された特殊流通商品だったりして、流通がこれまでと異なるせいか、日本のCDショップでもなかなか入荷しておりませんでした。本日私の手元にもようやく届いた次第であります。で、肝心の音ですが、『LOTUSFLOW3R』はバラード~ロッキンな匂いを強く感じさせ、『MPLSoUND』は80年代エレクトロ~ファンク色が色濃く出た作品、という感じでしょうか。プリンスの両面をそれぞれのアルバムで表現した……とはなっていないのが紹介しづらいところであります。とにかく、老いを感じさせるどころか、どんどん若返るかのような最近の活動ペースを象徴する作品と言えそうです。
2. KYTE『Science For The Living』(発売中)お次は、07年にデビューし、ポスト・シガー・ロス筆頭格と言われた英若手5人組、カイトの新作『Science For The Living』。んー、素晴らしいです。98年にマーキュリー・レヴ『Deserter's Songs』で味わった夢見心地を再度体験させてくれる幻想サイケデリア作であります。低音が何気に太かったり、エレクトロニカ以降のグリッチ感などもさり気に投入されておりますが、そういったアップデートされた部分よりも、この浮遊感と叙情性はたまらん普遍性を感じます。シンフォニック系プログレ好きオヤジにもおすすめ。
■新らしいポップを教えてくれる邦2作
3. bonobos『オリハルコン日和』(4月15日発売)在籍レーベルからの離脱&メンバー脱退の報が伝えられていたbonobosですが、めでたく新作が届けられました。『オリハルコン日和』と名づけられた本作は、ポスト・フィッシュマンズ的評価も、ダブ・ポップという言葉も関係ない。レゲエをベースにした曲はもちろん、シティー・ポップっぽい曲も、エキゾな曲もあり、それでいてわかりやすく突き抜けた、ハイブリッドな超ポップ・アルバムであります。ライヴではずーっと観客を沸かせてきた彼らですが、作品になるとどうも内省的な部分が強く、そこに賛同できかねていた立場の人間としてはこういう抜けのいい作品には大賛成であります。すごくいい!
4. R+NAAAA『R+NAAAA』(4月15日)ブレイクビーツ・マエストロの異名を持つトラック・メイカー、riow araiが5人の女性ヴォーカリストを招いてスタートしたプロジェクト、R+NAAAA(アールプラスナー)。その初アルバムが『R+NAAAA』がリリースされます。アブストラクト~チル~ファンキーと、ヴォーカルによってトラックを使い分けながらも自然とriow araiのカラーが出ているのが面白い。どこかオリエンタルな響きがあるanna yamadaのヴォーカルが自分的には一番フィットしているように聴こえました。
■春に聴きたいエレクトロ2作
5. Krazy Baldhead『The B-Suite』(5月2日発売)今をときめくエレクトロ系レーベル、エド・バンガーのニュー・カマー、クレイジー・ボールドヘッドによる初アルバムがこちら。ブリンブリンの低音と、縦横無尽に飛び回る豊富な上モノの音色。めまいがしたあと、頭の中に飛んでいるチカチカを音にしたような錯乱エレクトロが満載であります。くらくらしてくる。日本人的には、マドモアゼル・ユリアとBig-O(シャカゾンビ)をフィーチャーしたエレクトロ・ヒップホップ“Katana Powa”が最も注目トラックとなるでしょう。
6. A-Trak『Infinity+1』(海外盤:発売中、日本盤:4月22日発売)さて最後は、カニエ・ウエストのツアーDJとして活躍するA・トラック、彼がこれまでに発表してきたリミックス曲をまとめて、それらをミックスしたアルバム『Infinity+1』です。バリバリの今っぽいエレクトロというよりは、ディスコ・テイストが通して感じられる本作。ダフト・パンクの初期作にも通じる、さり気なレイドバック感が全体から伝わってきまして、それが楽しくえ踊れる作風となっているようです。アッパーなのに渋い、ツボを突いたリミックス集と言えましょう。本人のリミックスをミックスしているので、繋ぎも当然バッチリ。これ、売れるんじゃないでしょうか。ライト層もヘヴィー層もとらえてムーヴメントになってもおかしくない作品ではないかと思いました。そんなわけで、今週はこれにておしまい。では、おやすみなさーい。
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