No.116 WBC 侍JAPANの世界一2連覇を祝う5枚
2009/03/31 | タグ:Carpenters ravex THE BRIXTON ACADEMY The Harmonia 中村ジョー
すみません。野球に興味ない人にとっては、〈WBC〉の文字はもう見るのも嫌かもしれせんが、一応エンパイアステートビルと東京タワーのカラーリングを変えるほどの一大イベントだったということで表題に使わせていただきました。このブームに乗っかって、日本の音楽ももっと聴いてほしいですよね。日本の緻密な野球は〈顕微鏡野球〉だという皮肉もあるようですが、芸術でも料理でもスポーツでも、日本人にできない器用さというものが存在すると思うのです。そこでWBCで注目が集まっている、まさにこの瞬間に世界中の人に聴いてほしい邦盤5枚を選んでみました。
■日々の戦いに疲れたときにリラックスさせてくれる2枚
1. 中村ジョー『Sweet Heat』まずは前作『Blue Box』がゆらゆら帝国の坂本慎太郎やGREAT3の片寄明人らからの絶賛を受けた元ハッピーズ、元JOEYの中村ジョー。彼のセカンド・アルバム『Sweet Heat』です。彼の魅力は曲によってその表情を変える七色の歌声。70年代フォークとグループ・サウンズと黒人音楽が混ざったような、ユラユラとしたファンキーなサウンドに、宇多田ヒカルのように細かく震えるビブラートから、ポエティックな語りまで、つかみどころのないミステリアスなヴォーカルが乗る。自分が女性だったら、こういう男性に出会ったら心地よく振り回されちゃいそうだなあと思いました。聴くたびに違った魅力が見えてくる作品です。
2. The Harmonia『Sunday Collection』(4月2日発売)続いては、いい意味での珍盤です。1972年の放送開始以来、35年以上にわたり愛され続けてきたTVアニメ・シリーズ「世界名作劇場」。その各作品のテーマ曲を、ハウスやボサノヴァにアレンジしたカヴァー・アルバム『Sunday Collection』です。タイトルの〈Sunday〉はもちろん、同番組が毎週日曜日に放送されていたから。子供の頃の記憶が蘇り、シチューの匂いが漂ってきそうです。打ち込みだけでなく、ピアノ、フルート、ヴァイオリン、ウッドベースなど、生楽器をふんだんに使った優しいサウンドは子供から年配の方にも受け入れられるはず。全曲インストなのが少し寂しい気もしますが、誰でも聴いたことあるメロディばかりなので、ドライブや宴席のBGMなど、かなり用途が広いアルバムだと思います。
■過去の偉大なる先人の軌跡に再び目を向けたいカヴァー盤
3. V.A.『イエスタデイ・ワンス・モア~TRIBUTE TO THE CARPENTERS~』(発売中)続きまして、カーペンターズを敬愛する日本人アーティスト達がリスペクトたっぷりにカヴァーした『イエスタデイ・ワンス・モア~TRIBUTE TO THE CARPENTERS~』です。これはカーペンターズのレコード契約40周年を記念して、〈カーペンターズ・オタク〉だというプロデューサーの門倉聡と根岸孝旨が制作したもの。参加した面々は鬼束ちひろ、MONKEY MAJIK、佐藤竹善、ベッキー、akiko、BEAT CRUSADERS、平松愛理、つじあやのなど非常にバラエティに富んでいます。みなさんここぞとばかりにオリジナリティ溢れるカヴァーを聴かせていますが、最近しばらく音沙汰を聞かなかった平松愛理さんの気合いの入ったカヴァーには感動しました。MONKEY MAJIKの英語の発音のよさや(当たり前)、ベッキーの歌のうまさにも驚きました。
■ニッポン特有の和洋折衷ダンスミュージックが詰まった枚
4. THE BRIXTON ACADEMY“TBA”80年代のUKのニュー・ウェイヴ/マンチェスター・サウンドと現在のTOKYOのインディー・カルチャーを絶妙にミックスしたサウンドで熱い視線を集めるTHE BRIXTON ACADEMYのデビュー・シングル“TBA”です。他の日本のダンスバンドたちがひたすら新しさを追及しているように見えるのに比べ、彼らのサウンドはどこか懐かしさが漂います。1曲目の“Nightclub”はニュー・オーダーへの愛情を色濃く感じさせるし、他の曲でも、ヴォーカルの高音の儚くかすれた感じと低音のダークでゴシックで陰鬱な感じが、スミスからジョイ・ディヴィジョン、バウハウスまでを思い起こさせる。乾いた哀愁感のあるメロディも日本人っぽくないし、往年のニュー・ウェイヴ・ファンも熱狂することでしょう。彼らにはもっと大物になってもらって、フジロックのグリーンステージとかでドカンとやってほしいですね。
5. ravex『trax』(4月29日発売)ラストは、avex 20周年×手塚治虫生誕80周年記念コラボレーション・プロジェクト〈ravex〉が放つド派手な一枚。MONDO GROSSOの大沢伸一、Fantastic Plastic Machineの田中知之、m-floの☆Taku Takahashiの3人のプロデュースチームによる企画盤『trax』です。まずはTRF & VERBALの〈イェイ×5 ウォウ×5〉で幕を開け、BoAが踊り、安藤裕子が泣かせ、土屋アンナがロックして、DJ OZMAがアゲる。本作は、そのあまりにやりすぎでカオスな感じに賛否両論巻き起こるかもしれませんが、とてつもないパワーと破壊力に溢れているのは間違いないです。それぞれのファンはその異色な取り合わせに戸惑うことなしに、思う存分このお祭り騒ぎを楽しんでください。
いかがでしたでしょうか。今回の5枚を聴くと、改めて日本の文化のなんでもありな感じが結集されている気がしました。野球の次はサッカーも頑張れ! また来週!
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