No.110 E気持にさせてくれる6枚
2009/02/17 | タグ:Nona Reeves Sweet Vacation The Death Set The Phantom Band くるり バニラビーンズ
沖田浩之の“E気持”、いい曲ですよね。嵐山光三郎の「ABC文体」を引き継いだような軽薄なタイトルなんだけど、「言い訳なんて汚いぜ」といった硬派な部分もあったり。オカマっぽいヒロくんの歌声と豪華な女性コーラスのミスマッチもズレた味わいを感じます。なぜか最近よくこの曲を聴いておりまして、深夜にYouTubeで動画を見ていると、クセになってリピートしてしまうのでした(→ このへんでどうぞ)。さて今週は、そんなヒロくんにも負けないくらいE気持ちにさせてくれる6枚を紹介させていただきます。
■じんわり沁みるいいシングル2作
1. くるり“三日月”(2月18日発売)まずは、くるりのシングル“三日月”から。表題曲は、NHK土曜時代劇のテーマ曲として既にオンエア中であります。なんとも切ないメロディーの本作、ピアノをメインとした6/8系のビートということで、ここ数年のくるりにとってはお手のものというタイプの曲ではないでしょうか。とはいえ、手癖よりも円熟を感じさせる味わい深い楽曲であります。奥行きのある空間を生かした音処理も素晴らしい。一度いいスピーカーなりヘッドホンなりで聴いていただければより良さが味わえるのではないでしょうか。カップリングには、ソウル・フラワー・ユニオンやUAといった関西の方たちに脈々とカヴァーされてきたボ・ガンボス“夢の中”カヴァーも収録されております。
2. Sweet Vacation“さよならマイデイズ”お次もシングルを。せつな系ガーリー・ハウス・ユニット、Sweet Vacationの初シングル“さよならマイデイズ”であります。本作は季節に合わせた卒業&桜ソングでありまして、プロモ・クリップではバンコク出身のシンガー、Mayちゃんが日本の制服姿を披露しているのでした。乙女ハウス以降のハウス歌謡ものの中では、エフェクト弱めで歌の純度が高め、低音を抑えてヴォーカルを聴かせようとする意図が伝わってきます。ほんとはもうちょい日本語が下手なほうがグッと来るような気がしなくもないのですが、Mayちゃんの萌えポイントは充分にアピールできているのではないかと。ピコピコ音好きにもオススメであります。
■懐かしさと新しさを同時に提供してくれる2枚
3. Nona Reeves『GO』(3月4日発売)山下達郎とマイケル・ジャクソンを同感覚で捉え、ドス黒ファンクとシティ・ポップを折衷してみせる3人組Nona Reeves。彼らにとって2年ぶりとなるアルバム『GO』がお目見えです。前作『Daydream Park』も最高でしたが、本作もまた素晴らしい。ブラコン+4つ打ち+ポストロック的な特異なリズムで構築された“A-ha”、Romancrewをフィーチャーしたハイブリッドな“Go”、ジャスティスもびっくりのロッキン・エレクトロ・ファンク“Yeah”、大学時代からの仲間・土岐麻子がコーラスで参加した、80年代最後の自身の思いを綴った“1989”、明るすぎないんだけど着実に前を向いた“Do_It_Again”など、どれもハイ・クオリティ。複雑なリズムをさり気なく入れる手腕、太目のシンセ音で今っぽさを表現するフレキシブルな感覚は、彼らならではのものでしょう。力の抜け具合もいい!
4. バニラビーンズ『バニラビーンズ』(2月25日発売)〈バニビ〉の愛称で一部の人にはお馴染みのバニラビーンズ。彼女たちにとって初のアルバムがこちら『バニラビーンズ』です。アキシブ系スウェディッシュ・ポップ・アイドルの名に恥じぬウェルメイドな楽曲が並んでおります。ストリングスやフルートなどを多用したあま~い楽曲揃い。純粋なスウェディッシュというよりも、90年代に日本でスウェディッシュ・ポップが好きと公言していた人たちがやっていたことを今に蘇らせたもの、という感じでしょうか。〈まだ90年代は終わってない!〉が口癖の自分は数回泣いてしまいました。なかでも、シングル曲“ニコラ”は涙腺が決壊するほどいい曲でした(いくら作為的であれ)。アルバムには、掟ポルシェ(ロマンポルシェ。)によるリミックスも2曲収録。オーケストラ・ヒット打ちまくりのそちらの曲にもぜひご注目を。
■英音楽雑誌が認めた09年注目の2組
5. The Phantom Band『Checkmate Savage』(発売中)英音楽誌「MOJO」が、今年注目すべきバンドの1組として選出したのがこのファントム・バンド。そのデビュー作がこちらであります。惜しくも解散してしまったデルガドスのレーベル、ケミカル・アンダーグラウンドからリリースされた本作は、ダーク・サイケとシューゲイズを行ったり来たりしながら、カンのような反復ビートで煙たいウネりを作り出しております。キャッチーなアルバムとは言えないでしょうが、繰り返し聴いていくと抜け出せなくなるような1枚でありました。
6. The Death Set『Rad Warehouses Bad Neighborhoods』(3月7日発売)フジロックでは、ある意味で適当、ある意味ではパンキッシュなパフォーマンスをして見せたデス・セット。彼らが過去にリリースした2枚のEPをコンパイルした本作。ローファイなんだけど、ハングリーとは切り離された無軌道っぷりを感じて、そこがなんとも格好よろしい。いろんな機材が安く手に入る状況で、そこからわざと離れて見せる姿勢は、パンクそのもののようにも見えます。んー、いいバンドです。といった感じで今週はこれにておしまい。また来週~。
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です






























“三日月”