No.102 きれいな6枚
2008/12/15
えー、すっかりクリスマス・ムード満点ですね。様々な電飾が街を彩っておりまして、うちの会社と渋谷駅の中間にある宮益坂もイルミネーションが毎晩キラキラとしております。あんまりそういうムードと縁がない故にいつも難癖つけていたわけですが、改めてみるとやっぱ綺麗なもんだなと30を超えてしんみり思ったりしている次第です。さて今週の5,6枚は、そんな街中の電飾にも負けないくらいキラキラしている作品を、きれいな6枚と題してお送りいたします。
■方向が180°逆なエレクトロ関連2作
1. BOGULTA『A HAPPY NEW ANARCHY』(2009年1月23日発売)元ZUINOSINの砂十島NANIと、ヨシカワショウゴによるエレクトロ・パンク・デュオ、BOGULTAの初アルバムから。パンキッシュな意匠は感じるものの、まろやかなミックスにC-C-Bのようなアイドル・バンド的雰囲気も強く感じます。んー、なんですかねこれ……と、考えて思い当たったのがポンチャックでした。ポンチャックとC-C-Bとパンクの三つ巴、といった感じでしょうか。妙にダサいんですが、〈狙った〉とか〈はずした〉みたいな価値観は彼らにとって重要ではないはずなので、自然に出てきたものなのでしょう。とにかく、今のエレクトロ・ムーヴメントとの関係はゼロ。架空のアニメ主題歌風に作られた“メッ!!政治”のプロモ・クリップのわけわからなさも必見であります。
2. THE LOWBROWS『For Whom The Bell Tolls』(12月24日発売)お次は、邦エレクトロ・シーンを騒がせているDEXPISTOLS周辺の新鋭、THE LOWBROWSのデビュー作『For Whom The Bell Tolls』を。こちらはまた非常に今っぽいアルバムと言えそうです。流行をごっそり取り込んで煮込んだ派手さが潔い内容であります。フロア・ユースを念頭に置いたヘヴィーな4つ打ちがおおい前半に比べ、ニューロマ風なヴォーカル曲“Japanese Tease”、ユーロビートを回想させる“Eruption”など、好き勝手やってる感が強い後半のほうが好みでありました。
■予感が詰まった2作
3. LE LE『Flage』(12月24日発売)アムステルダムのストリートから登場した、レ・レというユニットのファースト・アルバムであります。2メニーDJsやディプロが大絶賛、という触れ込みによってエレクトロの新鋭みたいな扱われ方をする予感がいたしますが、これはオールド・スクルールなエレ・ポップということでいいんじゃないでしょうか。わかりやすいサビが用意された曲展開はニュー・オーダーのようでもあり、所々で聴こえるブリーピーな音からは90年代テクノの匂いもあり、いかがわしいヴォーカルはジャーマン・ニューウェイヴのようでもあります。〈Bitch, you're breakfast〉を繰り返す“Breakfast”など、皮肉の効いた下世話な歌詞も楽しくてばかばかしい。ヨーロッパ圏で広くヒットしそうな予感がビンビンにいたします。
4. Jazmine Sullivan『Fearless』(海外盤:発売中、日本盤:12月24日発売)デビュー・シングル“Need U Bad”が4週連続全米No.1を記録した大型新人、ジャズミン・サリヴァン。弱冠21歳の新人によるデビュー作とは思えない度胸を感じる本作でありますが、それもそのはず彼女は11歳でアポロ・シアターに立ち、13歳でレーベル契約を結んだ経歴を持っている超早熟な子なのでした。クラシカルなソウル~R&B~レゲエを基調としたアーシーなトラックが多いのですが、トラック、ヴォーカル共にディープ過ぎず軽すぎず、ヘビーな音楽好きにも大衆層にも刺さる内容と言えましょう。モータウン調(というよりバネッサ・パラディ“Be My Baby”っぽい)ボーナス・トラック“Switch!”も新鮮です。背負わされた本物感を自分の中でどう消化していくか、ということ程度しか課題はないのではないかと。文句なく売れるはず。
■聴いてとろける2作
5. UA“2008”(12月17日発売)新たな子供が生まれたことが先日発表されたUAですが、本作は懐妊中のインド旅行を元にして作られたシングルなのだそうです。昨年のアルバム『Golden green』の壮大なテーマを引き継ぎついだ、強い母性を感じる“2008”、アコギ+ハンドクラップをメインに遊び心たっぷりのトラックを聴かせるお料理ソング“アスパラガス”を収録。カップリングには、ウリチパン郡による“黄金の緑”のリミックスも! ビートの面白さとUAの歌声のマッチングもお見事。練ってあるけどシンプルないいリミックスであります。なお本作は〈地球のために、音楽ができること〉をテーマにしている新レーベル、CHIKYU RECORDSからのリリースとなっております。
6. EVISBEATS『AMIDA』(発売中)最後に紹介するのは、元韻踏合組合の奇才トラック・メイカーにしてラッパー、EVISBEATS氏のアルバム『AMIDA』を。本作は、これまでにCD-Rなどでリリースされてきた曲も含めた、EVISBEATSさんの集大成と言ってもいい内容であります。これまでのCD-R作品も、なににも属さないんだけどヒップホップでしかない、といった風変わりなものが多かったのですが、本作はオリエンタルな味付けにも無理がない。一貫してリラックスした雰囲気が流れる、力の抜けた作品なのでした。歌ものもラップも鼻歌も平行して気負いがなくて心地よい。リラックスのツボをグイグイと押されまくる内容でした。長いタームで聴き続けることができる1枚だと思われます。近日中にOOPS!でインタビューを掲載いたしますので、そちらもお楽しみに。
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
『Flage』
“2008”
『AMIDA』





























