No.098 強烈なイメージ持った6枚
2008/11/18 | タグ:BOREDOMS The Fireman YMO キリンジ スチャダラパー
先日、N.E.R.D.の来日公演に行って参りました。ナウなワールド・ビートをロッキンなバンド・セットで再構築する、といったコンセプトの面白さはもとより、それを実践してみせるタフな演奏力&歌唱力に感心した次第であります。ライヴのラスト曲では、客席前面にいる女の子を次々にステージに上げ、MC陣がその女子たちとハグ的なことをしながら演奏していたのですが、よく見ると1人うちわを持って踊っている女の子がいるんです。そのうちわは、いわゆる〈ジャニーズうちわ〉と呼ばれるもの(→ google イメージ)でして、中央にでかく「SUCK ME(Uはハートマーク)」という文字が……。彼女の中での〈アイドル枠〉の大雑把さと、求愛行為のストレートさに圧倒されてしまいました。今週はそんな、一度体験したら脳裏から離れない、強烈なイメージ持った6枚をご紹介していきたいと思います。
●こんな○○が欲しかった、な2枚
1. The Fireman『Electric Arguments』(11月25日発売)まずは、ポール・マッカートニーとユース(元キリング・ジョーク、オーブ)が組んだユニット、ファイアーマンの10年ぶりとなるアルバム『Electric Arguments』から。全曲ポールが作詞・作曲したという本作ですが、即興をベースに1曲1日ペースで曲が作られ、合計13日でレコーディングが終わったのだそう。そういった意味ではこれまでポール御大が関わった歌もの作の中で、最もラフなアルバムと言えそうです。パワフルさ、荒々しさの中で輝くポールさんのメロディーと、ユースの空間的音処理が合致し、ねじれたサイケ感が生まれているのが非常に面白いです。ビートルズ好きはもちろん、アシッド・フォーク好きまで余裕でカヴァーできるポテンシャルの高い1枚なんじゃないでしょうか。
2. V.A.『This Warm December(A Brushfire Holiday Vol.1)』(12月3日発売)続いては、シンガー・ソングライティング・サーファー、ジャック・ジョンソンのレーベル、〈Brushfire〉から届いたクリスマス・コンピレーション『This Warm December(A Brushfire Holiday Vol.1)』を。これまでに作られたクリスマス・アルバムは軽く1,000タイトルを超えるんでしょうが、数多のクリスマス関連作と比較して、本作のアット・ホーム度はかなり高いものと言えそうです。ほとんどの曲が簡素な楽器で録音され、スタンダードとオリジナルが入り混じった内容でして、友達の家で聴いているようなさり気なさが心地よいのです。なかでも、ジィ・アーヴィのちょっぴり寂しく物憂げな“No Christmas For Me”がグッと来ました。
●ライヴだからこそ面白い、な2枚
3. YMO『EUYMO -YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN LONDON+GIJON 2008-』(12月10日発売)マッシヴ・アタックのキュレーターによって開催された今年の〈MELTDOWN FESTAIVAL〉でのYMO公演。その音源と、スペインでのライヴの模様を収めたアルバムがそれぞれリリースされます。こちらで紹介する『EUYMO』は、その2作をコンパイルし、さらにTシャツまで付いたボックス。クールなファンク“ Tokyo Town Pages”、壮大なヴォーカルもの“The City of Light”といった新曲のライヴ再現にも注目したいところですが、やはり往年のファンが注目すべきは従来の曲がどうアップデートされているか、という点でしょう。パッキリしたアナログ・シンセの割合が減り、ウォーミーなサウンドが占めていたHASと旧来のYMOの折衷は、全体的にボトムが太く、ファンキー度が高い。そういった印象であります。“CUE”などで聴こえる高田漣が弾くスティール・ギターのいい仕事っぷりにもぜひご注目を。
4. BOREDOMS『77 BOADRUM』(11月26日発売)さて、続いてもライヴものを。BOREDOMS結成20周年を記念して、昨年ニューヨークで開催された驚愕の77人ドラム・ライヴのCD化です。ギター7本を繋ぎ合わせた打楽器、セヴンナーと、CDJ、77台ものドラムの音がメインで入り、そこにEYEの叫びと歓声とドラムの音が入り混じったカオス過ぎる本作。民族音楽的であり、シューゲイザー的であり、サン・ラー的であり、ノイズ的でもあります。人間が持つ根源的なエネルギーを集めて音に変換すると、まさしくこんな音楽が出来上がるのでしょう。本作が持つ熱は、理由抜きで感動できるものです。しかし、これをきっちり指揮して音楽として作り上げるのは大変な作業だったはず。ミックス作業もとんでもない手間がかかっているのではないかと推測いたします。
●ベスト以上の編集盤、な2枚
5. キリンジ『KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration』(12月10日発売)98年の『ペイパードライヴァーズミュージック』から10年。今年は10周年イヤーとして活動してきたキリンジの、〈記念年収め〉となるのがこちらのセレブレーション盤『KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration』であります。2枚組でして、泰行氏作詞作曲から選曲した〈YH-SIDE〉と、高樹氏作詞作曲から選曲した〈TH-SIDE〉に別れております。こうして並べて聴くと、スムースな弟とテクニカルな兄、という彼らに抱かれがちなパブリック・イメージがあまり意味のあるものではないことがよくわかります。どちらも器用で歌心がしっかりあって、人間臭い。もっと世代を超えて認知されるべきユニットだと改めて思わされます。リマスターされ、HQCDでのリリースとなっておりますので、細部に込められた遊びも存分に楽しめるのでした。せっかくなので、買われた方には一度はオーディオで聴くことを推奨させていただきます。
6. スチャダラパー『CAN YOU COLLABORATE?』ラストは、スチャダラパーが近年行ってきたコラボレーションをコンパイルした『CAN YOU COLLABORATE?』を。コラボ音源集+過去のプロモ・クリップを収めた2CD+DVDという大ヴォリュームの本作。コラボ&リミックスの名の元、メンバーの単独参加からがっつりコラボ曲まで約120分に及んで収録しております。1曲目から“GET UP AND DANCE”で「懐かしい!」と思わせながら、AYUSE KOZUEやグループ魂、Mr.BEATS a.k.a. DJ CELORY、THE HELLO WORKSといった最近の仕事も収録されており、単純なベストでは味わえない彼らのわき道の歴史を知ることもできるナイスな選曲となっております。いろんな時代で求められる存在であることを再確認もできるし、単純に面白がって聴く事も可能。幅があって愛着も持てる作品ではないかと。Amazonだと18%OFFの¥4,089で販売中。安い!
以上であります。今回はヴォリューム大目の作品が多いので、ゆっくりと味わっていただければと。では、また来週~。
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です

























