No.095 孤立無援なとき、ふと聴きたくなる6枚
2008/10/27 | タグ:Kaiser Chiefs Rasmus Faber SBK UKAWANIMATION! レミオロメン 鈴木亜美
このあいだ地上波で放送されてた青山真治監督の「レイクサイド マーダーケース」を見ながら「堀北真希って、歳とったら杉田かおるにみたいになりそうじゃね?」と周囲に同意を求めたら、一切の共感を得られませんでした。土曜の昼下がりに一人ぼっち。そんな孤立無援なとき、ふと聴きたくなる6枚をご紹介します。
●進路のクリアな3枚
1. レミオロメン『風のクロマ』(10月29日発売)堀北真希といえばレミオロメン。といってなんの疑問も持たないレミオロメン中級(?)の皆さん待望のニュー・アルバム『風のクロマ』をご紹介。「(パッケージでは)持ってないんだけど、その歌、知ってる」というのがポップスのテーゼとすれば、彼らの“粉雪”はここ5年のなかでも出色の出来栄えでしょう。代表曲“粉雪”以降も本作収録の“茜空”や“もっと遠くへ”などポップスを量産。そのアヴェレージの高さは際立っています。5人目のメンバー化しているMr.Childrenとは違い、プロデューサー・小林武史も一歩引いた立ち居地をキープ。「3+1」の「+1」に徹し、3ピースという最小単位のバンド・アンサンブルを引きたてています(とはいえ、小林氏の音楽的貢献は計り知れませんが)。スケール感のある楽曲。イノセンスをたたえた歌詞。多数収録されたシングル曲は勿論、“星取り”のような佳曲ががっちり脇を固め、安定感すら漂う1枚です。
2. UKAWANIMATION!『ZOUNDTRACK』(10月29日発売)〈FUJI ROCK FESTIVAL '08〉フィナーレに突如出現。無限増殖する!!!!!!!こと宇川直宏の音楽プロジェクトUKAWANIMATION!のデビュー・アルバムが『ZOUNDTRACK』であります。〈Dedicated to ○○(○○に捧ぐ)〉という形をとった全収録曲の中、最注目は萩原健一ことショーケン参加の“<惑星のポートレイト 5億万画素> Dedicated to カメラ”です。石野卓球プロデュース・トラックの上を、千鳥足のようなザッツ・ショーケン・ヴォーカルが泳ぐ、期待を裏切らない面妖な仕上がり。ショーケン・ハープがたまらんです。“<糸電話で奏でるデリック・メイの“ストリングス・オブ・ライフ> Dedicated to 弦”なんて一見駄洒落の域を出ませんが、参加しているSTRINGRAPHYを見て腰抜かしました。本気はヤバいですね(100%イイ意味で)。そのほかMEG、iLL、MERZBOWに田中フミヤまで参加しており、数多のアート・ディレクションやMixroofficeの活動など、宇川氏の音楽がらみの活動を総括したコンピというのが、本作の位置づけとして分かりやすいでしょうか。とにもかくにも宇川直宏ポートフォーリオにおける音楽作品としては面目躍如です。
3. SBK『RETURNS』(11月26日発売)ミクスチャー隆盛する90年代後半にデビュー。大胆かつエクレクティックな音楽性で注目を集めながら、2003年『RED FLASH』のリリースを最後に活動休止していたSBKことスケボーキングのカンバック作が、本作『RETURNS』です。活動休止後、フロントマンSHIGEOのラップトップ・ユニットmold、The Samosはじめ、メンバーそれぞれにソロ活動を行ってきましたが、めでたくグループとして再始動。SHIGEOのハイ・トーンとSHUNのダミゴエが全盛期よりも落ち着き、時の流れを感じさせるものの(笑)盟友Kjをフィーチャーし、フレンチ・エレクトロ・ドンズバな“episode V”をはじめ、テクノ/ハイ・エナジー/ユーロ・ビートなど、ある時代以降のシンセ・サウンドを咀嚼して生まれたサウンドといった印象。カチッとしたコンセプトをうかがわせます。活動休止以前から、どのシーンにいても鬼っ子感があり、それを自嘲気味に語りもするSBKですが、それは類まれなる個性なのでは?
「それじゃ、谷村美月は薬師丸ひろ子に……」といいかけた口を押さえながらバトンタッチ。後半の3枚を聴いていれば、ひとりぼっちの帰り道もさびしくない。
●華麗に衣替え!な3枚
4. Kaiser Chiefs『Off With Their Heads』(10月22日発売)気づけば秋もあっという間に通り過ぎ、肌寒くなってきた今日この頃でありますが、皆様衣替えはもうお済みでしょうか? というわけでここからは私三木が華麗に衣替え!な3枚をお送りして参ります。まずは挨拶代わりにUKロック新世代の旗手、カイザー・チーフスのサード・アルバム『Off With Their Heads』をご紹介。泣く子も黙るヒット・メイカー、マーク・ロンソンとブロック・パーティを手掛けるエリオット・ジェイムスをプロデューサーに迎え、さらにはリリー・アレンがゲスト参加と何やらすごい事になっている今作のキーワードはずばり、サイケ。プライマル・スクリームしかり、オアシスしかり、〈有名ロック・バンドはサイケに走りがち〉(そして微妙に失敗)という法則が存在するような気がしてならないのですが、本作品に関しましては大成功の太鼓判を押させていただきます。適度にローファイでサイケなリフと音色、それらにバンド本来のポップネスが加ったサウンドは例えるならクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー×フランツ・フェルディナンドといったところですかね。兎にも角にも、バンドの未来を明るく照らすまさに華麗に衣替え!な1枚でありました。
5. 鈴木亜美『Supreme Show』(11月12日発売)続きましては最近急激に艶っぽくなってきた我らがアイドル、アミーゴこと鈴木亜美のニュー・アルバム『Supreme Show』。様々な方々と〈join〉した前作とは異なり、今作では今をトキメク、スーパー・プロデューサー、中田ヤスタカ(capsule)を全面起用。中田ワークの代名詞とも言える無機質というエッセンスがTKプロデュース時代の遺物、〈チョイダサ感〉を見事に払拭。オートチューンの全面期用によって、アミーゴのちょっと鼻にかかったようなあの歌声が聴けないのは少し残念ですが、それを補って有り余るほどカッコイイ音に仕上がっております。オススメはアイドル性を完全に無視したフロア対応型の“climb up to the top”とアイドル歌謡のド真ん中をいく歌詞とPerfumeをも凌ぐキャッチーさを秘めた名曲“LOVE MAIL”。妙にモヤモヤするプロモ・クリップにも注目です。
6. Rasmus Faber『Where We Belong』(11月19日発売)2006年“Ever After”でディープ・ハウス界の勢力図を一気に書き替えたハウス王子、ラスマス・フェイバー。そんな彼の約2年半ぶりの新作『Where We Belong』で本日はお別れを。ほぼ全編に女性ヴォーカルを配した楽曲郡は一聴するとどれもがポップでありながらスタイリッシュで実に色鮮やかなのですが、それだけで終わらないのがラスマス流。プログレッシヴなビートに挑戦してみたり、ストリングスやトランペット等の生楽器を入れてみたりと細かいところで既存のハウスからの脱却を試みています。いやはや、家庭での衣替えというのは実に面倒くさいものでありますが、音楽界でも衣替えも大変な労力を要するみたいですね。
となにやら上手いことまとまったようなところで今週の5、6枚はこの辺でお開きとさせていただきます。それでは皆様、来週もお楽しみに!
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
『RETURNS』


























『風のクロマ』