No.091 品質偽装にSAY NO!な6枚
2008/09/30 | タグ:BENNIE K te' THOSE DANCING DAYS 赤塚不二夫 電気グルーヴ 面影ラッキーホール
事故米が出世したところの汚染米はたまりませんなぁ。「人体に害はない」って、そもそも問題はそこじゃないつーの。年金偽装に教員汚職。世間は右も左も文字通りのアウトローばかり。どうにも矛先を失ったこの胸のわだかまりを晴らすべく、品質偽装にSAY NO!な6枚を今週はご紹介します。
●品質に偽りなしの3枚
1. 電気グルーヴ『YELLOW』(10月15日発売)8年ぶりのリリースとなった前作『J-POP』からわずか半年。電気グルーヴがニュー・アルバム『YELLOW』を発表します。ルーツを再確認するような“Acid House All Night Long”、フロア・ユースな“The Words”、“Area Arena”、“Fake It!”など、全体的に抑制の効いたヒプノティックな仕上がり。彼ららしい濃厚かつ断片的なヴォーカル曲(オフィシャルサイトいうところの瀧曲)含め、グループのエッジを抽出した結果、タイトルに諦観と決意をにじませた前作以上に、ポップスとアヴァンの境界に位置する作品になっています。Perfume以降のテクノ・ポップス・ブームのあおりで、名曲“Shangri-La”が、各所でキラキラ・カヴァーされまくっているところ、当の電グルが見せる、この禁欲的な姿勢は特筆すべきかと。それにしても、アルバム・タイトルは、あのクラブへのトリビュートなのでしょうか。
2. BENNIE K『THE BESTEST BENNIE K SHOW』(10月29日発売)続いてのご紹介は、BENNIE K『THE BESTEST BENNIE K SHOW』。m-flo、def tech、MONKEY MAJIKのブレイズなど、これまでのコラボ・ワークをコンパイルした本作。有名無名を超えた共演者のラインナップにも増して印象的なのが、ヴァラエティに富んだトラック。ドナ・サマー“Hot Stuff”ネタの新曲“HI-EXPLOSION ”を皮切りに、沖縄、ダンスホール、アシッド・ジャズ、80'sハードロック、ディスコ、アラブとあらゆるエキゾチズムがチャンプルーされた、まさにサウンド・ジャーニー。端的に怪作といって差し支えないのですが、BENNIE Kの手にかかると、どれもスムースに聴こえるから不思議(しかし、よくよく聴くとやっぱりストレンジ)。昨年リリースされた『THE WORLD』、今春にリリースされた『BEST OF THE BESTEST』とあわせて、彼女たちの音楽的咀嚼力に改めて舌を巻きました。
3.V.A.『赤塚不二夫トリビュート~四十一才の春だから~』(発売中)2008年8月2日、巨星落つ。そもそもは漫画『天才バカボン』生誕41年=バカボンのパパと同じ歳になることにあわせて企画された『赤塚不二夫トリビュート~四十一才の春だから~』ですが、赤塚氏の死によって、いみじくも大きな意味を持つことに。死後、長谷川町子的パッケージが急速に用意され「作家・赤塚不二夫の一側面だけが、肥大化して後世に伝えられるのでは?」と勝手に危惧していたのですが、本作はそんな懸念を払拭してくれました。HAIR STYLISTICSが筋肉少女帯をズタズタにしたり、切迫感の塊のようなECDに“お楽しみはこれからだ”と歌わせたり。ハート・ウォーミングのみならず、フリーキー、エレジー、そしてセンチメンタルを感じさせるアーティストをセレクト、適材適所に配することで、故人の作風を正確にトレース。まったくもって誠実なトリビュート盤になっております。願わくば、未来の赤塚不二夫ファンの手の中に、漫画と共に本作があらんことを。それでは私はこれにて、合掌。
●ちょっぴりセンチな3枚
4. THOSE DANCING DAYS『In Our Space Suits』(10月8日発売)ここ数日気温が下がり、長かった夏もようやく終わりという感じがして参りました。いくつになっても夏の終わりというのはちょっぴりセンチメンタルになってしまうもの。ということでここからは片山に替わりまして私、三木がちょっぴりセンチな3枚をお送りします。映画「Dreamgirls」の大ヒット、Perfumeの登場、ピペッツのブレイクなどなど昨今、90年代はあまりお目にかからなかった女子3人組という形態が音楽業界で再燃の兆しを見せておりますが元祖ポップ王国、スウェーデンから登場した彼女たちは5人娘。その名もゾーズ・ダンシング・デイズです。彼女達のデビュー・アルバム『In Our Space Suits』がこれまた泣かせるんです! 前述した「Dreamgirls」のようなモータウン系のガールズ・ポップや50's~60'sのスウェディッシュ・ポップ、はたまたニューレイヴまでを経由したそのサウンドはまさに古今東西、ポップの玉手箱。シュープリームス好きから、カーディガンズに燃えたお父さん、そしてCSSやゴー・チーム!を愛する現代のキッズまでを熱くするアルバムはそうそう無いのではないでしょうか。それぞれの思いとハンカチを胸に抱き、スピーカーの前に座りましょう。
5. te'『まして、心と五感が一致するなら全て最上の「音楽」に変ずる。』(10月8日発売)続いてはグッと趣向を変えまして、日本ポストロック界の代表格、te'のサード・アルバム『まして、心と五感が一致するなら全て最上の「音楽」に変ずる。』をご紹介です。そのグループ名、音楽性、なんとなく〈難解〉というイメージからtoeと混同されがちな彼ら。そこに鬱憤を感じてかはわかりませんが(恐らく違います 笑)、本作はこれまで以上にハードかつタイトな作品に仕上がっております。次々と狂ったように打ち鳴らされるドラムにのせたギターは流麗かつ妖艶。カオスとしか言いようのない変則リズムとメロディ・ラインのエロさが相まって、タイトル通り、その全てが最上の〈音楽〉に変じているのです。また、全編を通してポストロックというよりはハードコアやメタルのようなBPMで作曲が行われているので、タテノリは必須。ポストロックの定義を根本から覆す意欲作です。
6. 面影ラッキーホール『Whydunit?』(11月7日発売)さて、本日の大トリを飾りますのは面影ラッキーホールのニュー・アルバム『Whydunit?』。昨年夏にシングルとしてリリースされた名曲“パチンコやってる間に産まれて間もない娘を車の中で死なせた...夏”が収録されているというだけで私の中ではこれ以上にセンチなアルバムがあるものかという感じなのですが、もちろんそこはセンチの最先端(最後尾?)を走る彼ら。フザケて、フザケて、フザケ抜いた秀逸なリリックと80年代ムードがムンムンの歌謡曲は聴いていく内に笑いを通り越し、頭の中を4周半ほどして人間の業の深さまでをも伝えてくれます。仲間達とバカな話をしてフザけあった後にふっと1人になった時のあの感じを伝えられる彼らは私の中では椎名林檎の何倍も〈新宿系〉なアーティストとして輝き続けていくのでありましょう。というわけで今週の5、6枚、この辺でお開きとさせていただきますがいかがでしたでしょうか?来週もお楽しみに!
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です





















