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No.086 世界的に有名なスポーツの祭典が終わった後に聴く6枚

2008/08/26 | タグ:

Text:OOPS!編集部原田

 いやー、終わりましたね、世界的なスポーツのお祭り。フェスの時期と重なっていたため、自分は全くチェックできませんでした。一回はなんか見たかった! とはいえ、大人なので嘆いてばかりもいられません。今回は、スポーツ好きもスポーツ嫌いもチェックすべき、世界的に有名なスポーツの祭典が終わった後に聴く6枚と題してお送りいたします。

●危険な匂いがいい! な2作

1. Gang Gang Dance『Saint Dymphna』(9月5日発売)
Gang Gang Danceライヴ映像

 まずご紹介するのは、アニマル・コレクティヴブラック・ダイス周辺に位置する、NYアンダーグラウンド界のアート系バンド、ギャング・ギャング・ダンスの新作『Saint Dymphna』から。いやー、これは素晴らしいです。彼らを形容して使われる〈アヴァン・トライヴァル・サイケデリア集団〉という言葉の通り、アヴァンでトライヴァルでサイケデリックなものではあるのですが、行き過ぎたストレンジなものが発揮するねじれたポップさが大量投入されておりまして、病み付きになるのであります。バンドものとはいえ、そこはかとなく投入されたコズミック感、ボトムの効いたビートの豊富さ、エレクトロニックでミニマルな上モノと、ダンス・ミュージック・リスナーへも大満足でありましょう。バトルスが好きな若い女子にもぜひ聴いていただきたい逸品です。

2. Nightmares On Wax『Thought So... 』(海外盤 9月6日、日本盤 9月20日発売)
Nightmares on Wax“Les Nuits”プロモ・クリップ

 WARPの看板アーティストとして長いキャリアを持つナイトメアズ・オン・ワックス。2年半ぶりに届けられた新作がこちら『Thought So... 』であります。前作『In a Space Outta Sound』で見せたルーツ色は健在。こちらのアルバムはよりソウル・テイストが濃厚なアルバムと言えましょう。彼が元来持っていたスモーキーなサウンドとソウルのマッチングがこれまた絶妙であります。さり気にAORな“calling”など、柔らかい音色が非常に心地良いのでありました。ライヴ・バンドのメンバーを引き連れて、キャンピング・カーで旅行をした過程で生まれた曲が多いとのこと。とんがった中に見えてくる弛緩っぷりの理由はその辺にあるのではないでしょうか。気持ちいい!

●いぶし銀の美学が貫かれた2作

3. CALEXICO『Carried To Dust』(海外盤 9月9日、日本盤 8月27日発売)
Calexico“Two Silver Trees”ライヴ映像

 キャリアを重ねると、「前作と同じじゃん」的な評価を下されてしまうバンドは多いものです。こちらのキャレキシコもそういった理由で若い層からは注目されづらいバンドなのではないでしょうか。彼らの新作『Carried To Dust』も、そういった意見を打ち破るものではないでしょう。ですが、積み重ねられた人にしか出せない滋味というものは充分に感じることができる作品であります。“Inspiracion”のアップデートされたラテン感、“Slowness”のスティール・ギターが鳴らすコーラスを生かしたアメカーナ表現、インストに見られるゆるやかな空気感、そのどれもから成熟を感じるのでありました。

4. Cro-Magnon『III』
cro-magnonライヴ映像

 さてお次は、Cro-Magnonが3ヶ月という短いスパンでリリースするアルバム『III』を。エレピの音色を生かしたファンク・チューンあり、マッドリブ顔負けのジャジーものもあり、エディット感の強いミニマル曲もありと、彼らの活動を集約したような大傑作であります。全体的にディスコ・マナーが統一されているという意味でダンス作と言えるのではないかと。3曲ほどヴォーカル曲が入っておりまして、有坂美香(Reggae Disco Rockers)をフィーチャーした“survivo”、デジタル・ソウル・ユニット、スペイセックのヴォーカル、スティーヴ・スペイセックをフィーチャーした“Time Files”など、聴きどころは多数ありますが、なによりも注目すべきは山下達郎御大の“Windy Lady”のカヴァーでありましょう。さかいゆうをヴォーカルに迎えて作られたこちらの曲は、原曲よりもややスローにして、メロウ&ロマンティックな味付けが施されております。ストイックな印象を与える彼らにしては、とてもわかりやすく、文句の付けようがない楽曲なのではないかと。ヴォーカル、演奏含めて、達郎先生が持っている〈都市〉の感覚をきっちり共有しているような気がいたします。

●勢い重視のロックな邦2作

5. 夢中夢『Il Y A(イリヤ)』(9月25日発売)
夢中夢“眼は神/L'œil est Dieu”プロモ・クリップ

 チェンバーなストリングスの響きで幕を開けるのは、夢中夢の2枚目『Il Y A(イリヤ)』であります。オルタナティヴ・スラッシュ・バロックとでも言いたくなるような彼ら。メタルのモチベーションを室内楽で表現したような、謎の組み合わせは、〈関西ゼロ世代最後の砦〉と呼ぶにふさわしい混沌具合であります。きちんと作っているからわかりづらいですが、かなりヘンテコなバンドなのでした。ジャケットや楽曲のタイトルに貫かれた美意識をリスナーが共有できるかどうかで、評価はきっぱり分かれるような気がいたしました。自分の場合は、構成が面白いと思いながらも、シャウトが過剰な曲は苦手だったりします……。

6. VELTPUNCH『Paint your life gray』(9月3日発売)
VELTPUNCH“CRAWL”プロモ・クリップ

 ラストは、轟音・シャウト・泣きメロの3拍子そろったジャパエモ大本命バンド、VELTPUNCHの5枚目『Paint your life gray』。女性コーラスがピリッと効いた良作と言えましょう。エレクトロ・ファンク・テイストの“STANDING OVATION”、5拍子を上手く使った叙情エモ・プログレ“四季を描く為に踏むビッグマフなど此処には無い”など、邦メロディック・パンク優等生でありながら、技術でちょっとだけ道を踏み外すところに面白さを見出すことができるのでありました。売れそう!

 はい、と言う感じでお送りいたしました。お祭りの後に控えているアフター・アワーズ感を大事にしながら聴いていただけたらと思います。ではまた来週~。

●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
1. Gang Gang Dance『Saint Dymphna』
2. Nightmares On Wax
『Thought So...』
3. CALEXICO
『Carried To Dust』


4. Cro-Magnon
『III』

5. 夢中夢
『ilya/イリヤ』
6. VELTPUNCH『Paint your life gray』

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