No.077 ドリフ/スピルバーグ級の6枚
2008/06/23 | タグ:RECLOOSE SAWA ゆらゆら帝国 戸川純 湯川潮音 細野晴臣
テレビをつけたらインディ・ジョーンズ第1作「レイダース」が放映されてたんで、十数年ぶりに見直してみたんですが……こんなに素朴な映画でしたっけ? 畳み掛けられるピンチの演出が、ことごとくドリフのコントに見えるんですよね。「志村、後ろ!」的な。これって、ドリフがスピルバーグをパクってるからなんでしょうか。いや、スピルバーグがドリフを? 謎が謎を呼びますが、とりあえず今週はドリフ/スピルバーグ級の6枚をご紹介いたします。
フラッシュバック80'sな2作品
1. SAWA『COLORS』(発売中)PerfumeにMEG、元気ロケッツといったクラブ・ポップの系譜に、またひとり注目の歌姫が。キュートな歌声とルックスを備えたシンガー、SAWAがミニ・アルバム『COLORS』でデビューしました。プロデュースはFreeTEMPOこと半沢武志。これが、いまどきのクラブ・ポップのツボを押さえつつも、その手のこじんまりとしたカテゴリーを打ち破る、キャッチーなガール・ポップとなっております。特に、EPOを思わせるメロディーが炸裂するエレクトロ・ポップ“ManyColors”と、REBECCAを08年仕様にアップ・デートしたかのような“Blue”が素晴らしい。総じて、80'sなサウンド・デザインが効いてます。今後も注目していきたいニュー・カマーですね。
2. RECLOOSE『Perfect Timing』(7月12日発売)続いては、デトロイト・テクノの開拓精神を受け継いだ才気あふれるプロデューサー、リクルースによる2年半ぶりの新作『Perfect Timing』を。ジャザノヴァ主宰レーベル〈Sonar Kollektive〉からのリリースということもあってか、これまで以上にクロスオーヴァー色が濃厚な仕上がり。80年代のエレクトロ・ファンクを噛み砕き、再構築したかのようなサウンドが印象的で、ダフト・パンク以降のフレンチ勢や、ファレル・ウィリアムスにも通じる感触が。また、ヴォーカルをフィーチャーした楽曲は、R&Bとして、ポップ・ミュージックとして、非常に完成されたものになっており、リクルース氏のソング・ライターとしての基礎体力の高さがうかがえます。この人がミュージック・ソウルチャイルドやディアンジェロをプロデュースしたら、すごくいいんじゃないの? なんて思ってしまいました。
我が道を行くシンガーおふたり
3. 湯川潮音『灰色とわたし』(7月2日発売)最近はライヴ活動もなかなか活発に行っていた湯川潮音が、実に2年半ぶりとなるフル・アルバム『灰色とわたし』をリリースします。これまでの作品では、彼女の浮世離れした(いい意味で)音楽性と、現行のポップスとの接点を求めるための試行錯誤……と感じられる部分がちょっとあったりしました。が、今回は彼女の嗜好をストレートに展開。金延幸子からアシッド・フォーク、ブリティッシュ・トラッドまでを貫いた、アコースティック一点突破な作品となっております。好きにやりきった清々しさと、それゆえの力強さがみなぎっており、間違いなく彼女の最高傑作。自画像によるジャケットの突き抜けっぷりもすごいです。
4. 戸川純『TOGAWA LEGEND SELF SELECT BEST&RARE 1979-2008』(7月9日発売)ワン&オンリーな個性を発揮し続けた80年代のミューズ、戸川純。自身の監修による3枚組ベスト&レア・トラック集『TOGAWA LEGEND SELF SELECT BEST&RARE 1979-2008』が登場です。ソロ時代から、ゲルニカ、ヤプーズ、戸川純ユニットまで、彼女の全キャリアを網羅。さらに、ヴォーカルで参加したアポジー&ペリジーによるテクノ歌謡クラシック“月世界旅行”や、映画「釣りバカ日誌」で使われた“鈴木建設社歌”のような隙間の名曲もしっかり押さえているのが嬉しい。そういえば、彼女の歌う“Femme Fatale”(ヴェルヴェッツのカヴァー)は藤原ヒロシのコンピに収録されたこともありましたね。この曲ももちろん収録されてますよ。
企画盤とあなどるなかれ!な衝撃作
5. V.A.『daisy holiday presented by 細野晴臣』(7月9日発売)巨匠、細野晴臣が主宰するレーベル〈daisyworld discs〉の再始動第1弾コンピ『daisy holiday presented by 細野晴臣』がいよいよリリースされます。参加しているのは、テイ・トウワ、TIN PAN、コシミハル、WORLD STANDARDといったお馴染みの細野ファミリーから、星野源(SAKEROCK)、キセル、高田漣といった新たな面々まで。しかし、これらの所属アーティストが楽曲を持ち寄ったレーベル・サンプラーかと思いきや、そんなイージーなものにあらず。ハリー御大の緻密なプロデュースによって編み上げられた、すさまじく濃厚なコンピレーションです。エキゾ、ラウンジ、モンド、イージー・リスニング、エレクトロニカ……などなど、時代と共に変遷してきた、さまざまな〈軽音楽〉の魅力が濃縮された、究極のノベルティ・ミュージックとでも言うべき一枚。合間にコントが挟まれてるところがまた、いかにも細野さんであります。
6. ゆらゆら帝国『REMIX 2005-2008』(7月2日発売)最後は、ゆらゆら帝国のリミックス集『REMIX 2005-2008』。2005年のアルバム『sweet spot』以降、アナログ12インチ上にて〈セルフ・リミックス〉という実験を重ねてきたゆら帝ですが、それらのリミックスをまとめ、さらに、ほぼ同量の未発表ヴァージョンまでを盛り込んだ圧巻の2枚組です。彼らの〈バンドの体〉を解体したがる気質が、〈リミックス〉という口実を得たことで(?)大噴火。フロアを視野の端に入れつつも、決してダンス・オリエンテッドではない、奇妙に変形したトラックがずらりと並んでおります。コズミックな電子音が搭載された“空洞です(alternate version)”などはまだわかりやすい方で、メロウなリフがミニマルに繰り返される“なんとなく夢を(extended remix)”や、笛の音が涅槃へと誘う“学校へ行ってきます(remix)”なんかは……いったい何なんでしょうか。フツーにジャズ・ファンクな“船(instrumental remix)”が一番異様に聞こえたりも。いやはや、とんでもない作品ですな。というわけで、また来週です~。
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
『灰色とわたし』
.『daisy holiday presented by 細野晴臣』
『REMIX 2005-2008』























『COLORS』