No.076 知らない人と手をつなごう!な6枚
2008/06/17 | タグ:MONGOL800 nhhmbase pupa 二千花 土岐麻子 絢香
なんともやりきれない事件が相次ぎ、陰鬱な気持ちになりますね。電車に乗っても「ゴラー」とか「んだてめー」みたいな威嚇声が頻繁に聞こえ、雨の日なんか傘の先端で刺されるのではないかと心配でなりません(知り合いは先日、新宿駅で見知らぬ男に突き飛ばされ、手の骨を折りました)。みんな大変なこといろいろあっても、苦しい時にこそ必要なのが友達だと思います。フリーハグは日本人がシャイだからか、あまり普及する様子がないけど、ジャンジャン他者と手をつないで、体温を感じていかないと。SOSのシグナル出してる人には耳を傾けて、ともにこの時代を生き抜いていきましょう。
歌声パワーで戦闘意欲を喪失させる2枚
1. 絢香 『Sing to the Sky』 (6月25日発売)まず最初は、今回のタイトルにも使わせていただいた“手をつなごう”を収録した絢香のニューアルバム『Sing to the Sky』です。その歯にもの着せぬ発言やグローバルな活動で叩かれることも多い彼女ですが、逆風などにめげずに突き進んでほしい。彼女は歌声の質量が重いですから、アルバム一枚通して聴くと、みぞおちに砲丸をぶつけられたかのような衝撃があります。収録曲も映画、ドラマ、CMなどタイアップの嵐なので、ヒットは確実でしょう。ちなみに“手をつなごう”は映画「ドラえもん のび太と緑の巨人伝」の主題歌でして、映画館で流れた時は、見知らぬ子供たちと一緒に涙しました。
2. 二千花 『二千花』 (6月18日発売)続きまして、〈二千年代の花となりますように〉という願いからユニット名を名付けられたという二千花のファースト・アルバム『二千花』です。ミックスエンジニアに高山徹(コーネリアス、くるり他)、サポートにGreat3の高桑圭と白根賢一、椎名林檎等のレコーディングでもおなじみの皆川真人を迎えて作られた本作は、浮遊感ある打ち込みトラックから熱量の高いバンドサウンドまで、バラエティに富んだ楽曲を披露。ヴォーカル・宮本一粋の巻き舌な感じは、CHARAやLOVE PSYCHEDELICOにも似ており、洋楽っぽさとJ-ROCKのブレンド具合が絶妙です。オシャレなイメージが先行しているけど、スタンダードなロック・ファンにも受け入れられるはず。
脳の中に心地よい異物がニュルニュルと進入を試みる2枚
3. nhhmbase『波紋クロス』 (7月2日発売)そして、今回の激押し作品の登場です。〈こんなすんげえバンド他にいない!〉と誰もが豪語しているのにもかかわらず、なかなかビッグセールスに結びつかなかったnhhmbaseがいよいよファースト・フル・アルバム『波紋クロス』を完成させ、これまでのストレスや労苦を絶賛発散中であります。スタジオに籠って5日間で全行程を行ったというだけあり、彼らがライヴで見せるあの無法者な奇跡感を見事にパック。独りでリハに紛れ込んだかのように密着した気恥ずかしさはありますが、それゆえにバンドの素顔を曝け出したものになっています。現代人が忘れてしまった原始生命体としての本能がうずき、脳のキャパが広がること必至。この作品が売れるかどうかで、我々日本人が次の進化の段階に行けるか行けないかが決まるといっても過言ではないような、リトマス試験紙的な問題作です。
4. pupa 『floating pupa』 (7月2日発売)そして、輝かしいキャリアを誇る百戦錬磨のメンバーが集結したpupaのファースト・アルバム『floating pupa』です。その顔ぶれは高橋幸宏、原田知世、高野寛、高田漣、堀江博久、権藤知彦ですからね。宇宙から襲来した野球チームに対抗するために、イチローと松坂とAロッドとマダックスが同じチームになったかのような、豪華な組み合わせです。しかも、こういう豪華メンツのユニットにありがちな、こなしてる感が全くない。みずみずしくもじっくりと聴きこめて、怒って振り上げた拳を黙って降ろしたくなるほど慈愛と包容力に満ちてます。我々の孫の代まで聴かせたい一作ですね。意外に出番は少ないけど、原田知世の声はα波とか出てるんじゃなかろうか。
音楽は人類の共有財産だ! カヴァーしてつながろうな2枚
5. 土岐麻子 『Summerin'』 (6月25日発売)やたらとカヴァー・ブームが隆盛しているのは、時代のせいかもしれないですね。新しく未知なものをイケイケに乱伐することを恐れて、世代を超えてつながりたい気持ちの表れだと思います。そんな中で発売された、土岐麻子の『Summerin'』は、まさに隔絶した人々の絆を強める素晴らしい作品です。真心ブラザーズ“サマーヌード”、松田聖子“小麦色のマーメイド”、マドンナ“La Isla Bonita”という幅広さですからね。大貫妙子の“都会”は一十三十一効果も少しはあるのかな。こういうアクロバティックなカヴァー作はどんどん出していかないと。そんな時代ですよ。関係ないけど、時代の先駆けだったはずのフジロックが最近保守的に見えて仕方ありません。もっと柔軟な思考で積極的に垣根を溶かしていってほしいです。
6. MONGOL800 『etc works -エトセトラ ワークス-』 (7月8日発売)そしてラストは、永遠のDIY幼なじみバンド、モンパチの結成10周年記念アルバム『etc works -エトセトラ ワークス-』です。これは10年間の歴史の中で積み重ねたコラボ曲を集めたワークス集ということで、ミクスチャー、ブラス、テクノ、ヒップホップ、民謡と、異ジャンルを自由自在に越境。BLACK BOTTOM BRASS BAND、RIP SLYME、SOFFet、RYUKYUDISKOなど各アーティストとの相性も抜群で、彼らのオープン・マインドぶりを如実に表していると思います。とくにオキナワン・アレンジで聴かせるユニコーンの“大迷惑”のカヴァーにはぶったまげました。今度はバンドとしての生い立ちを映画化してほしいです。
そんなこんなで、外でイライラしている人を見た時は、これらの楽曲を流したイヤホンを無理矢理耳に突っ込んじゃいましょう。そしたら、ニコニコと優しい顔になるはずですから。って、そんな技を本気で使えたらいいな! また来週!
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
『二千花』
『波紋クロス』
『floating pupa』
『Summerin'』



















『Sing to the Sky』