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今週の5,6枚

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No.063 見えないものが見えてくる6枚

2008/03/18 | タグ:

Text:OOPS!編集部片山&三木

 ちと古い話題ですが、ついに連載再開しましたね『HUNTER×HUNTER』。アヴァンギャルドな漫画は数あれど、あれを『週刊少年ジャンプ』という少年誌の王様でやっていることは、素直に評価したいです。あのアナーコっぷり、ある意味でKLFでしょう(といったら、編集長にKLFの偉大さをトツトツと説かれました)。さて『HUNTER×HUNTER』といえば念能力。こちらのページによると、自分は具現化系でした。梟の能力は便利ですねぇ~。ということで『HUNTER×HUNTER』連載再開を祝し、今週のテーマは〈見えないものが見えてくる6枚〉。これでいきたいと思います。

見事、換骨奪胎した3枚

1.木村カエラ『+1』
木村カエラ“Yellow”プロモ・クリップ

 自主イベントを企画するなど、めきめきミュージシャンシップを育ている木村カエラ。キャリア4年目にして4枚目のアルバムが本作『+1』(4月2日発売)であります。シングル“Yellow”以降、アートワーク含め顕著な〈ニューウェーブ〉をテーマにすえたアルバムは、會田茂一(EL-MALOFOE)、奥田民生、渡邊忍(ASPARAGUS)らおなじみの面々に加え、ニューウェイブ・ラヴァー、クラムボンmito、近作『C.O.W.〈CHECK OUT WORLD〉』もニューウェイブ色著しいMO'SOME TONEBENDERなどが参加しています。昨今のニューウェイブ・リヴァイヴァルは本家を知らぬがゆえの新鮮さが、大いに関係していると思われますが、オリジナル・ニューウェイブ直撃世代のバイアスが、木村カエラというフィルターを通ることで、これまたいい塩梅のポップ・チューンに。なかでもアルバム・ラスト・トラック“Humpty Dumpty”は極上のテクノ・ポップス。その出来栄えたるや、失礼ながら石野卓球プロデュース“Jasper”以上に「テクノとカエラちゃんの出会いだ」と打ち震えたほど。気になるこちらの制作者はDE DE MOUSE。「なるほどね!」と深夜ひとりで膝を打ちました。

2.Moby『Last Night』
Moby“Alice”プロモ・クリップ

 続いては、世界屈指のサウンド・クリエーター、モービーの最新作『Last Night』(3月26日:日本先行発売)です。そのネーム・バリューに反して、ここ最近の彼の動向を積極的に追いかけてなかったのですが、前作『Hotel』以降は映画音楽を手がけたりしていたそう。3年のブランクを経てリリースされるアルバムは、彼なりのNYサウンドへのオマージュとのことなのですが、“Alice”のトースティングの影響を感じさせるラップ、ディスコ・ハウス再解釈といった感じの“Disco Lies”など、聴いて納得のレトロスペクティブな仕掛けが各所に施されています。“ I Love To Move In Here”に参加したコールド・クラッシュ・ブラザーズのグランドマスター・カズなぞ、オールド・スクール好きには涙チョチョ切れるところ。この人選や、サウンド・アプローチ、なによりタイトルからして、「最新鋭のダンス・ミュージック!」というよりも、良い意味でどこかノスタルジックな一枚でした。

3.DJ BAKU『DHARMA DANCE』
DJ BAKU ライヴ映像

 オールド・ルーキー待望の1作として『SPIN HEDDZ』がリリースされたのが一昨年。DJ BAKUが、ついにニュー・アルバム『DHARMA DANCE』(4月5日発売)を完成させました。デビュー作は耽美的なノイズやへヴィなブレイク・ビーツが印象に残りましたが、本作はミクスチャー・ロックを解体し再構築したようなサウンド、幾つかの楽曲タイトルや二胡をフィーチャーしたラスト・トラック“Think Twice”のトライバル感など、ファーストの流れをくみながら、生音&メロディにフォーカスしております。一方、彼の出自であるヒップホップは、秀逸なゲスト・チョイスに。オルタナティブ・ヒップホップ集団〈Anticon〉のドーズワンは“Void It Out”でリラックスしたフローを見せてくれますし、“DHARMA”には日本語ラップ・オリジネーターいとうせいこうが参加。同曲で繰り広げられるアジテーションは、BAKU、せいこう両者のクリエイティビティがぴたり一致した幸福な作品といえましょう。なにより素晴らしいのが、アルバム通して内にこもっていないところ。がっつりアンダーグラウンドに根をはりながら、見事ブレイク・スルーしております。実に痛快!

 いやー、それにしても、ネテロ会長の古い知人がゼノじいちゃんというところまでは予想がつきましたが、まさか、あの2人ですらだいぶ歳が離れているとは思わなんだ……と、完全にOOPS!読者を置きざりにしたところでフィニッシュ!立つ鳥跡を濁して、今回もバトンタッチしたいと思います。後半もお楽しみに。

新しいチャレンジを試みた邦モノ3枚

4. ACIDMAN『LIFE』
ACIDMAN “式日”プロモ・クリップ

 さて、ここからは片山に変わりまして、私三木がお送りいたします。まずはじめにご紹介しますのは、日本最強のスリーピース・バンド、ACIDMANの通算6枚目となるフルアルバム『LIFE』(4月16日発売)です。“REMIND”、“UNFOLD”、“式日”というシングル3部作を経て、リリースされる本作品のテーマはずばり〈生命〉。もはやこのタイトル(かの有名なオザケンのアルバムも影響してか)とテーマだけで私の中ではほぼ名盤確定なのですが、いやはやこれが本当に名盤なのであります。“REMIND”、“FREE STAR”といった思わず拳を突き上げたくなるアッパーな楽曲が中心の前半部から、徐々にグルーヴ重視のナンバーにシフトしていき、大作“TO THE WORLD'S END”と冒頭の“LIFE(the begining))”と対をなすインスト・ナンバー“LIFE(the ending)”で締めくくる構成は、全体が1曲の組曲のような構成をなしております。音は少し異なりますが、スリーピースという共通点もあり、なんとなくミューズを連想させられた1枚でした。

5. blanc.『new world』

 続きましては、MONKEY MAJIKのフロントマンであるメイナード・プラントのソロ・プロジェクト、blanc.(ブラン)のファースト・アルバム『new world』(3月26日発売)。MONKEY MAJIKといえば、英詩と日本語詞が交じり合ったキャッチーなミクスチャー・ロックが印象的ですが今作は、なんとハウスであります。昨今ハウスという単語を耳にする機会が増えているので「なんだ、流行に乗っかっただけか」とお思いの方もいるかと思いますが、そうではないのです。実は彼、デビュー当初からこっそりとFree TEMPOのアルバムでヴォーカルと作詞を務めるなど生粋のハウスっ子。アンビエントな疾走感のあるトラックに彼の甘い歌声がのったそのサウンドは女性が一度聴けばびしょ濡れ確実! いや失礼、トキメキ確実! なアダルトで落ち着いた雰囲気のハウスに仕上がっております。

6. 青山テルマ『DIARY』
青山テルマ“そばにいるね”プロモ・クリップ

 最後は、シングル“そばにいるね feat.SoulJa”が大ヒット中の青山テルマ、初のフルアルバム『DIARY』です。以前紹介したMAKAIのアルバム『GARDEN』へのゲスト参加や田中ロウマの新曲“Forever Love feat.青山テルマ”への参加など、今や引く手数多のディーヴァとなった彼女ですが、まだ現役の大学生なんだそうです(ちなみにトリニダート・トバコ人とのクォーターであります)。音の方はざっくりといえば、全体的にはR&Bのマナーを忠実に守った王道の内容となっております。しかし、乗りこなすビートの種類は多種多様(キョンキョンの名曲“あなたに会えてよかった”のカヴァーも収録)で、打ち込みと生音のバランスも絶妙。歌詞の内容も自己肯定の精神から家族への感謝までと幅広く取り扱っており、この自分の核を持ちつつも様々なことに挑戦するというパワフル感が現代の女性に支持される所以なのかもしれません。加藤ミリヤが〈ウチらの渋谷〉を歌ったとするなら、こちらは少し大人に〈ウチらの新宿〉と言った感じですね。それでは今週の5、6枚はここまで。来週もお楽しみに!

●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
1. 木村カエラ
『+1』
2. Moby
『Last Night』
3. DJ BAKU『DHARMA DANCE』


4. ACIDMAN
『LIFE』
5. blanc.
『new world』
6. 青山テルマ
『DIARY』

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