No.059 自ら空気を作る逆KYな6枚
2008/02/18 | タグ:Adele Asian Dub Foundation MAKAI Swing Out Sister The Cinematic Orchestra These New Puritans
KY。この言葉、もうそろそろ誰も使ってないころでしょう。だいたいこの手の話は屁は屁元からといいまして。「今日の合コンは寒かった」と(男だけの)2次会で後述するヤツほど、実際の現場で一番寒い(=使えない)もの。寒いなら寒いなりその場でやることがあるわけですよ! ……と、話がだいぶドリフトしましたが、要はKYも同じこと。KYと言いたがるヤツほど一番KYなんだ! こんなルサンチマンを癒す〈自ら空気を作る逆KYな6枚〉を今週はご紹介したいと思います! オレの2時間を返せ!!
1.Adele『19』今週1枚目は、カニエ・ウェストもお気に入りという注目のシンガー・ソングライター、アデルのデビュー・アルバム『19』(日本盤:3月5日発売)。ソウルフルなボーカルとアコースティックなサウンド・マナーから、ご当地イギリスでは〈ポスト・エイミー・ワインハウス〉なる呼び声もあるとか。とはいえ、ヴォーカルひとつとってみても、酒ヤケを思わせるエイミーとは違って彼女はナチュラル・ハスキー。サウンドもエイミーがジャズの黒さを自己流に解釈したとすれば、もう少し現代音楽よりな感じ。“Chasing Pavements”なんてジェームス・ブラントをちょっぴり思い起こさせます。それにしてもジャック・ペニャーテや彼女など、オールドスクールなテイストをストレートに出してくるアーティストがイギリスでヒットしてるますね。この感じはTVドラマがひねりすぎてドンづまりだったときに〈冬ソナ〉というベタを地で行く作品が大ヒットしたのに似てるかも。ここで抑えておくべきは「作品がいかに地に足が付いているか」という点だと思いますが、アデルは心配なさそう。コンスタントに良作を残していくタイプでしょう。
2.Asian Dub Foundation『Punkara』エイジアン・ダブ・ファンデーション、3年ぶりのオリジナル・アルバム『Punkara』(3月26日発売)は、かなりアグレッシブな仕上がり。ダブ、ジャングル、バングラ・ビート、ドラムン・ベース、セパルトゥラな南米メタリック・ギターまで。ADFと聞いて思い出すごった煮感がビシビシ感じられます。90年代半ば、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンにポリティカルな啓蒙をされたリスナーは多かったように記憶していますが、レイジがトップダウンならADFはボトムアップ。当事者ゆえの切実さと裏表なアッパー感にみなぎっています。イギリスにある音楽私塾(NPO?)の生徒と先生のグループということもあってか、メンバーの入れ替わりが激しく、それが作品の評価に影を落としているところがありますが「初期作以外、ADFはちょっと……」という方にも、ご一考いただきたいエネルギッシュな1枚です。
3.The Cinematic Orchestra『Live At The Royal Albert Hall』万雷の拍手で幕を開けるのは、シネマティック・オーケストラのライブ・アルバム『Live At The Royal Albert Hall』(日本盤:3月15日発売)です。本作は『Ma Fleur』ツアーで披露された、オーケストラ含む総勢40人によるスペシャル・ライブを収録したもの。『Everyday』、『Ma Fleur』中心のセットリストは、彼らの近作がオーケストレーションに耐えうる奥行きを携えていたことを再確認させてくれます。とにかく嫌味のない壮大さ。サンプリング・オリエンテッドなスタンスから、徐々にソングライティングに重きおいてきた彼らの活動の集大成ともいえる出来栄えです。「バンドとオーケストラの共演、しかもライブ・アルバム」というと、最近ならくるりの『Philharmonic or die』やポーティスヘッドの名作『Live: Roseland NYC』など浮かんできますが「トリップホップの可能性と純度を高めていったらこんな感じになるのかしら。」なんて想像もかきたてられる音楽性の高い作品でありました。
……ふぅ、雰囲気のある3作品を聴いていたら、だいぶ落ち着いてきました。そろそろ柔和な相方にバトンタッチしたいと思います。ステイ・チューン!
4. Swing Out Sister『Beautiful Mess』さて、ここからは片山に変わりまして私、三木が今後がますます楽しみになる3枚をガッツリと紹介して参ります。まずは、イギリスのポップ・デュオ、スウィング・アウト・シスターの通算9枚目となるオリジナル・アルバム『Beautiful Mess』(2月27日発売)。ここ日本では、softbankのCM曲で“Breakout”が懐メロ的に使われている彼女達。約4年ぶりのニュー・アルバムとなる今作では少々大人でビターなポップスを展開しております。ピアノ、ベース、ホーンのアンサンブルを基調としたミドルテンポのジャジーなサウンドとコリーン・ドリュリーの甘い歌声があいまって、何ともムーディーな雰囲気がプンプンなのです。とはいえ、冒頭を飾る “Something Every Day”や先行シングル“Secret Love(You're Invisible)”で見せるキラキラとしたメロディ・センスは20年来のポップ職人である彼らならでは。深夜、洒落たバーで女の子を口説きながら聞きたい1枚です。
5. These New Puritans『BEAT PYRAMID』続きましては、イギリスのバンド、ジーズ・ニュー・ピューリタンズのデビュー作『BEAT PYRAMID』(3月12日発売)であります。メンバー全員19歳というピチピチの彼らではありますが、NMEをはじめとする各種音楽誌がこぞって推しまくり。加えて世界的ファッション誌GQでもベスト・ドレッサーに輝くなどビジュアル面も完璧。これでモテないわけがありません! と筆者の妬みにより少し方向がそれましたが、音の方もとんでもない事になっているのです。ジャキジャキの踊れるギターに変態的シンセサイザー、複雑なリズムにクールでダークなボーカルが絡むポスト・パンク・サウンドは敢えて例えるならば〈カサビアン meets フランツ・フェルディナンド〉と言ったところでしょうか。アルバムの所々に配置されたインタールードにもその独自の世界観が強く表れており、彼らの特異さを引き立てています。
6. MAKAI『GARDEN』最後は、昨今盛り上がる国内ハウスシーンからの新たな刺客、MAKAIのサード・アルバム『GARDEN』(3月5日発売)をご紹介致します。リード・トラック“Garden of Love feat. 青山テルマ”は、FM各局でのパワープレイが次々に決定し、早くも大ヒットの兆しが見えている本作。まず、特筆すべきはそのゲスト陣の豪華さであります。前述の青山テルマをはじめ、TERIYAKI BOYSのWISE、moumoonのYUKA、m-floとの〈loves〉でお馴染みのRyohei、sugiurumn、GTSなどあらゆるジャンルのシンガー、トラックメイカーが大集結。それ故なのかはわかりませんが、サウンドの幅の広さ、懐の深さを感じさせます。いわゆる〈乙女ハウス〉直系の歌モノハウスもあれば、一方で本格フロア使用のディープハウスもありと様々なハウスのカタチがこの1枚から見えてきます。「ハウスって何?食べ物?」といった初心者さんから筆者のような「乙女ハウス、ダメ、絶対。」といった天邪鬼な方まで楽しめる1枚です。
というわけで今週の5、6枚はここまで。明日のビョークのライヴが楽しみでレビューどころではない筆者でありました。来週もお楽しみに!
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
『GARDEN』























『19』