No.056 音楽だって身土不二! 極上のダシがとれた、身体に〈しみる~〉6枚
2008/01/28 | タグ:aie H ZETT M SymmetryS フルカワミキ 竹内電気 鈴木亜美
最近、横浜ベイスターズ工藤選手の奥さんについて書いた本〈「42歳で146km」の真実―食卓発の肉体改造〉(→ Amazonの商品ページ)を読みまして、それがすごいのなんのって。あそこまでの選手になるには食生活への気遣いもハンパじゃないんですね。特に感銘を受けたのが〈身土不二〉という言葉。人は生まれた地との関係は切り離せないのだそう。つまり、日本の人は日本の食べ物や音楽なしで生きていくことは難しいのです。そんなわけで今回は、昆布や干し椎茸、削り鰹や煮干しなどに負けないほど美味なダシが出た、身体に〈しみる~!〉6枚です。
レザンファンテリブルな2組
1. aie『sequel』まず最初は柏シティハードコアの急先鋒aieの初アルバム『sequel』(2月2日発売)です。プレイするなり「こ、これは……」と、漫画のように箸を落としそうになりました。日本のエモ・バンドと言うと、メロコア/ハードコアの系譜に属する激情ものと、ピアノ・ロック寄りの美麗なものの2つが主流かと思ってましたが、彼らはそのどちらでもない、古き良きUSインディーのオルタナ的な場所にいると思います。私が心より愛するスーパーチャンクのマックのようなハイトーン・ヴォイスと、ささくれだって切ない大陸系のサウンド。と思えば、シガー・ロスみたいな浮遊系の曲があったりして、すっごく面白いバンドだと思います。海外のメディアも放っておかないでしょうね。
2. 竹内電気『OK!!』続いて次は、老若男女が大騒ぎの新感覚J-POPバンド竹内電気の初アルバム『OK!!』(3月5日発売)を。シングル“over”のタワレコのロゴをもじったジャケットのナメ具合でも、只者じゃない感をプンプンさせていた彼らですが、こりゃ本当に只者じゃない。山下達郎への敬意を感じさせるシティポップなサウンドあり、エモ/パンクあり、ニュー・ウェイヴあり……なんて、いろいろ述べてもですね。こういうマニアックなことを言われるバンドは普通売れないんです。でも、この竹内電気には有無を言わせないキャッチーな存在感がある。頭でっかちなバンドが束になってもかなわないような境地に一瞬で到達しています。自らをJ-POPと言い切るのも、その確信犯ぶりと先を見る眼力の良さがうかがえます。紅白とかミュージックフェアとかに出る存在になると予言します。
異能ゆえに感動!な2枚
3. H ZETT M『PIANOHEAD』人は常に異能なものを求め、涙します。PE'Zのヒイズミマサユ機ではないか?という疑いをいまだに否定し続ける〈謎の天才ピアノ・マジシャン〉H ZETT M氏のセカンド・アルバム『PIANOHEAD』(2月13日発売)を聴いて改めてそう思いました。前作『5+2=11』ではピアノ・ロックンロールな作品を提示してきた彼ですが、今回は気持ち歌謡曲よりです。まずは1曲目“SLOW DAYS”から才能ほとばしる美メロを撒き散らし、気持ち悪いPVが狂気を感じさせるリード曲“ダイキライ feat. HIRO:N”では、フレンチ・ハウス調の妙なトラックに、男女の痴話喧嘩を綴ったアダルトな歌詞とメロディが絡みつく。こういう人の頭からは無限にメロディが生まれるのでしょうね。実はかなりロマンティックな人だと思います。
4. SymmetryS『SymmetryS』そして、異能と言えば、この人。笑いの芸術を追及する小林賢太郎(ラーメンズ)がFantastic Plastic Machineと組んだ異色ユニット、SymmetrySのデビュー作『SymmetryS』(2月13日発売)を。小林が作り出すアカデミックなコントと、田中が作り出すエクレクティックな音楽が一体となった、ヘッドフォンで楽しむ新しい歌劇(オペラ)=〈ヘッドフォン・オペラ〉とのことです。主にコントの合間にトラックが入る展開なのですが、たまに2人がカラミます。ただヨーヨー言ってるだけの“No Message Rap (Live)”には爆笑。98年発売の小西康陽とふかわりょうとのユニット〈ロケットマン〉の名盤『フライング・ロケットマン』を彷彿させます。笑いたい人も、踊りたい人もぜひ!って、チープなまとめでごめんなさい。
育ちざかりのヤマトナデシコ2組
5. フルカワミキ“Candy Girl”最終章は、どこまで伸びるの?な女の子2組を。フルカワミキの前作“サイコアメリカ”以来約1年ぶりとなるニュー・シングル“Candy Girl”(2月20日発売)です。ズンズンとしたヘヴィーでオシャレなリフにキュートなメロディが絡んでくるという、決して珍しくない展開の曲ですが、彼女が歌うと新しい感じがするのが才能だと思います。カップリングの“...Mr.X”もすごい曲で、ポスト・パンクなダンス・サウンドに、ダルでレイジーなメロディが乗る。ライヴで盛り上がりそうです。彼女はますますYUKIや日暮愛葉のようなカリスマ的な地位に近づいており、もうスーパーカーっぽいものを求める人は皆無でしょう。
6. 鈴木亜美『DOLCE』もうひとりは、短期間で恐ろしいほどの人々とコラボしまくってる鈴木あみーゴのニュー・アルバム『DOLCE』(2月6日発売)です。前作はゲストの豪華さだけが前面に出ていて、本人がこなしきれてない感がありましたが、今回はかなり自由に泳いでいます。参加アーティストはダンス方面の人が多く、やっぱり中田ヤスタカ氏のトラックがズバ抜けてカッコいいです。そんな中でも異質なのが、ホフディランとのコラボ“2人でPOP”で、この「みんなのうた」に出てきそうなポップ・ソングが入ることでアルバムの深みを一気に増しています。恥ずかしながら僕の青春のアイドルだった篠原ともえの参加にも驚きました。最近あみーゴはセクシーな格好に磨きをかけ、変身に気合いを入れているようですが、それが見事に音にも現れています。そろそろWIREとかの大型フェスに出そうだなあ。
そんなこんなで、STOPジャンクフード、アーンド、ジャンクミュージック! あなたの身体にいい食材、いい音楽を上手に摂取して、楽しい人生送りましょう! また来週!
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