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No.046 悩みを断ち切る人が聴くための6枚

2007/11/13 | タグ:

Text:OOPS!編集部原田

 すっかり寒い日々が続いている昨今でありますが、みなさまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか? 既にダウンジャケットを手放せない状況でありながら、音楽は毎日聴いて過ごしている自分であります。そろそろももひきを履いてもいいものかどうかを悩みつつお送りする今週の5,6枚。今回は、例によってなんの根拠も逡巡もなく、悩みを断ち切る人が聴くための6枚、と題してお送りいたします。

先入観を破壊するイマジネーション豊富な邦2作

1. 真心ブラザーズ『DAZZLING SOUNDS』

 まずは、真心ブラザーズの1年半ぶり、復帰後2作目のアルバム『DAZZLING SOUNDS』(11月21日発売)から。これはなんだかすごい作品であります。壮大なオーケストラが入るソウル歌謡やバンドものは相変わらず入っているのですが、それ以外のものがなんつーか、相当変なのです。たとえば、3曲目“家巣、愛無 OK!”ではスティールパンがメイン楽器で使われ、ダビーなエコー処理が施されております。ドラムの鳴りやベースの響きに奥行きを持たせ、かなりレゲエ・マナーに沿った内容なのですが、中心で鳴っている音がないのであります。他にも、バイレ・ファンキを意識したのか、エレクトロ・ループがメインのダンス・トラック、ビッグ・バンドのジャイヴ~スウィングものといった具合に、曲によってやることが極端にバラバラなのです。彼らは作品ごとに、整合性のあるものを出しがちなところがあるのですが、これだけ文脈のないものを出されて驚いてしまいました。なんだこれは。

2. THE HELLO WORKS『PAYDAY』
THE HELLO WORKS Taico clubでのライヴ映像

 お次はスチャダラパーSly Mongooseの合体ユニット、THE HELLO WORKSのアルバム『PAYDAY』(12月5日発売)であります。ここ数年コラボづいているスチャダラのみなさんですが、このアルバムはこれまでとはちょっと傾向が違うかなという印象なのです。重心低めのベース・オリエンテッドな楽曲が並び、パーティー感よりもダンス性を優先した、という印象でありました。ハナレグミをフィーチャーした“今夜はブギーバック”でも、ベース音が響き、後半のヴォーカルはディープにダブ化するなど変貌を遂げております。「ギザ泣けたっす」というBOSE氏のレペゼンしょこたんなフレーズにもご注目を。OOPS!でインタビューを公開予定ですので、そちらもお楽しみに。

センスと技術がきっちり伝わる2枚

3. シャブシャブ『all in one pot』
おばけじゃーのライヴ映像

 続いては、オオルタイチとのユニット、〈おばけじゃー〉の活動でも知られる関西の変わり者DJ、シャブシャブのソロ・アルバム『all in one pot』(発売中)であります。「変なものに決まってるでしょ、しゃぶしゃぶだし」という先入観で聴いてみたのですが(すみません)、なかなかどうして、しっかりした芯のあるダンス・トラック集なのでした。ブレイクビーツ、ダンスホール、ビートボックスものなど、あらゆるジャンルを飲み込みつつ、それらを独自のマナーで消化していて、その消化の仕方にアイディアが大量投入されているのであります。トラックの所々で、さりげなく凝った音が使われているのも効果的であります。

4. 中山うり『エトランゼ』
中山うり ライヴ映像

 今年5月にリリースされたデビュー・アルバム『DoReMiFa』で大型新人っぷりを見せ付けてくれた中山うりですが、早くも新作『エトランゼ』(11月21日発売)が登場です。今回はグッと中近東寄りのサウンドになっておりまして、趣味の良さが伺えるのであります。おやじ殺し的な音楽教養を披露しても、若い人にきちんと届いているのがなによりもよいことではないでしょうか。かくいう自分も、マラケシュ風アプローチに興奮しつつ涙を流しっぱなしなのでありました。さりげなく歌も上手く、度胸が据わっているのも伝わってくるのであります。「雰囲気でやっている」と思っている人こそ一度正座して聴くべき作品と言えましょう。これはよいです。

回帰的シブさを見せ付けてくれる2枚

5. Ray Davies『Working Man's Cafe』

 渋い!とつい唸ってしまうのが元キンクスレイ・デイヴィス御大のソロ2作目『Working Man's Cafe』(12月5日発売)であります。今回はナッシュヴィル録音作。“You're Asking Me”、“One Moer Time”あたりは、キンクスの曲と言っても誰も怒らないくらいキンクスっぽかったりするのであります。ですが、本作では声を張り上げる歌唱が何度かあったり、熱のこもった演奏が聴ける部分も多く、レイ・デイヴィスが今怒りを持っていることがなんとなく伝わってくるのです。“Morphine Song”という曲は、04年に彼が銃撃された経験を元に書かれたそうでして、その辺からも怒りをモチベーションにしているのかも。という想像ができそうであります。

6. Alec Empire『The Golden Foretaste Of Heaven』

 これまた渋い!と連続で唸ってしまうのがこちら、アレック・エンパイア総統2年ぶりのアルバム『The Golden Foretaste Of Heaven』(11月28日発売)です。これまで彼が信条としていたパンク要素やスクリームは全体的に抑え目。その代わり、ニューウェイヴィーなテイストが大量に詰め込まれているのです。単にニューウェイヴというよりは、ドイッチェの匂いが強烈に漂っておりまして、「この人のルーツは本当はその辺にあるのか!」と独り言のひとつも出てしまうような作品なのであります。DAF的な単一シーケンスが多様されたトラックは、ジャーマン・ニューウェイヴ好きはとりあえず聴いて損はしないのではないでしょうか。単純なコスプレではないのが地味にいいのです。今かっこいいと言われている音楽とジャストに共振しているとは思いませんが、アレック・エンパイアと感覚を共有できた気分になれる喜びだけでも大きな収穫と思いつつ、今回は筆を置かせていただきます。

●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
1. 真心ブラザーズ『DAZZLING SOUNDS』
2. ShabuShabu 『all in one pot』

3. 中山うり
『エトランゼ』



4. THE HELLO WORKS
『PAYDAY』

5. Ray Davies
『Working Man's Cafe』

6. Alec Empire『The Golden Foretaste Of Heaven』

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