No.038 フレッシュ感が漂う5枚プラス1
2007/09/18 | タグ:8otto BEST MUSIC The Everybodyfields あたりめ 秦基博 赤犬
安倍首相が辞任を表明して1週間。新たな首相が誰になるのか大変興味深い局面で今週もスタートしましたこちらのコーナー。今週のテーマはリフレッシュする内閣にさりげなく合わせて、〈フレッシュ〉であります。毎週テーマなんか決めているわけじゃないんですが、先月~来月あたりにかけてデビューするアーティストが多いようですので都合上そうさせていただきました。全部デビュー作でまとめればよかったんですが、手数が足りずに1組はデビューと関係ないんです。そういうぬるさがいいと思っています。
FMでロングヒット中のSSW
秦基博『コントラスト』〈初期スガシカオの再来〉的な受け入れられ方を一部でされているシンガー・ソングライター、秦基博によるファースト・フル・アルバムがこちら『コントラスト』(1番、9月26日発売)であります。名うてアレンジャーの手による豪華な装飾も手伝って、スモーキー&セクシーな歌声がFMで流されまくっている彼。アルバムは“トレモロ降る夜”、“つたえたいコトバ”といったエレピ/オルガン使いのファンキー路線や、“君とはもう出会えない”、“僕らをつなぐもの”のような弾き語りまで、バラエティに富んだ魅力を見せてくれております。全体的には洗練された音が多く、J-POPの優等生といった印象を受けてしまうところもあり、荒削りな演奏の歌も聴いてみたい!という気持ちもちょっと出てくるのです。
ロックキッズ~玄人まで、現場受けする邦モノ2作
8otto『Real』大阪のドラム・ボーカル4ピース、8otto(オットー)のメジャー・デビュー作『Real』(2番、10月10日発売)をご紹介いたします。ストロークスのセカンド『Room On Fire』のエンジニア、ヨシオカトシカズのプロデュースによる本作。硬質なギターの音色から来るヒリヒリとした音の質感に乗るけだるいヴォーカルは、若者はもちろん往年のロック好きにもストレートに刺さるのではないでしょうか。彼らは8月にフレンチ・エレクトロ界の異端児、タクティールによるリミックスを収録した12インチをリリースするなど、ダンス方面への興味も強く持っているようで、今後はその辺のアプローチも気になるところです。
赤犬『あか犬』続いては、フジロック苗場食堂でのライヴも定番となりつつある大阪秘宝館バンド、赤犬の『あか犬』(3番、9月21日発売)を。アイリッシュ・トラッド~ポルカ~ファンク~ハード・ロックと、とりあえず詰め込んだごった煮感は相変わらず。ライヴではおなじみとなっている“ブバップ”、“ええじゃないか!!”あたりはやはり高揚感があるのです。徹底して無意味でバカバカしい内容ですが、だからこその美しさがあるのです。適当なことを言わせてもらえば、彼らは05年あたりからライヴでマワリやOAD、ロマンスといった〈ヲタ芸〉を取り入れておりまして、その辺の批評性が内側にも向いているからこそコミックバンドと明確な差が出ているのではないかと思っております。
規格外のすごいアルバムを続けて2作
BEST MUSIC『MUSIC FOR SUPERMARKET』ついに空けられたパンドラの箱……的なものではありませんが、ちょっととんでもないCDが出てきたな、というのがコチラ。イラストレーターでデザイナーの小田島等さんと、元マグースイムの細野しんいちさんによるユニット、BEST MUSICのアルバム『MUSIC FOR SUPERMARKET』(4番、9月21日発売)であります。タイトルを見ればブライアン・イーノの『Ambient 1 / Music for Airports』を想像してしまうのですが、なんというかこれはもうスーパーのBGMまんまであります。以前、どこにも載らないのに小田島さんにBEST MUSICのことでインタビューをさせてもらったことがあるのですが、そのときは近所のスーパーにあるスピーカーの下で何度も音楽を聴いて勉強したとおっしゃっておりました。とりあえず、コンセプチャル・アートの彼岸というかなんというか、行き着くところまで行ったアルバムと言えましょう。
あたりめ『ラップ始めました』上で紹介したBEST MUSICもなかなか紹介しづらい規格外の1枚でしたが、規格から外れた作品という意味ではこちらのほうが大きいのかもしれません。大阪のラップ・デュオ、あたりめのデビュー作『ラップ始めました』(5番、発売中)です。〈演歌とラップの融合〉と言われるように、シンプルというよりはチープなトラックとフラットすぎるラップがエンドレスで続くのです。寿司の旨さを1ネタずつ紹介していく“お寿司が食べたい”、実家でゴロゴロ過ごすニート生活の楽しさ肯定する“IN THE HOUSE”、子供時代をすごした昭和の情景をなんとなく今振り返ってみた“さよなら昭和”など、インパクト絶大。女・金・車・ドラッグといったヒップホップのパブリック・イメージとはもちろん無縁。「ラップってこういうもんだろ?」という既成概念を叩き壊す強烈な一撃であります。どこまでがヒネリでどこまでか素直なのかわかりづらいところもポイント高し。無軌道すぎる!
最後は滋味深い歌ものを紹介
The Everybodyfiels『Nothing Is Okay』最後に、思いっきり毛色が違うものを1枚。エヴリバディーフィールズの1枚目『Nothing Is Okay』(6番、発売中)です。資料がなにもなく、ネットを探してもあまり情報が見つからないので推測ですが、ライナーの写真を見る限りは男女二人組ユニットのようです。カントリー~フォークをバックボーンにしたツイン・ヴォーカルの歌ものであります。フィドルやキーボードの入り方なんかを見ても、これといった新しさや派手さは全然ないんですが、とにかく曲がいいのでじんわりと沁みてくるのです。ニール・ヤングやエミルー・ハリスみたいなものが好きな方はもちろん、ボニー・プリンス・ビリーやライアン・アダムスなんかとも通じるものがあるのではないでしょうか。日本ではまず売れない内容ではありますが、秋の夜には絶好のアルバムかと思われます。MySpaceにて試聴できますので(→ ここから)、興味をもたれた方はぜひチェゲってみてくださいませ。
といった感じで、今回は終了。それではまた来週をお楽しみに~。
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
『Real』
『あか犬』
『ラップ始めました』























『コントラスト』