No.034 夏の終わりを感じさせてくれる甘酢っぱい6枚
2007/08/21 | タグ:GALACTIC HIFANA KIMONO MY HOUSE KREVA Riddim Saunter The Orb
大規模夏フェスは落ち着きを見せ、欽ちゃんがマラソンを完走し、桑田は引退、白い恋人は販売停止、ヴァーチャル・アイドル伊達杏子が復活と、夏の終わり特有の胸がキュンとなるニュースが続く昨今ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。とはいえ、東京は相変わらず30度超えの毎日が続いております。「チームマイナス6%」がオフィスの冷房は28度に設定しようと提唱しておりますが、冷房に付いている温度計ってかなり個体差があるんじゃねーの?的な気分を引きずりつつ、今週もそれっぽいディスクをドーンと紹介していきたいと思っております。
ブレイクビーツの可能性を探る邦アーティストたち
KREVA『よろしくお願いします』
まずは、草野マサムネ(SPITZ)との意外なコラボで話題を集めた“くればいいのに”を収録した、KREVAの3枚目『よろしくお願いします』(1番、9月5日)から。彼のトラック・メイクは、ソロになってから様々なところで注目されておりますが、こちらのアルバムでも音数が少なくキレがある曲が複数収録され、引きのある上モノが快感へと導いてくれるのです。なかでも、KREVAの真骨頂と言ってもよいストリング使いのスローなラップ“アグレッシ部”や、メロウなシンセ・フレーズのループがドリーミーな“東西南北脳内回想録”あたりが胸キュン度高し。今、若い子にとってのJポップというのはこういう音楽を指すのではないかと思っております。その中に、KREVAと比べれば相当コアな存在のRomancrewのALI-KICKやSHINGO☆西成がフックアップ的にフィーチャリングされているのはヒップホップ・コミュニティーに全く属していない人間でありながら、つい嬉しさを感じてしまいます。この風通しの良さがKREVA最大の魅力なのでしょう。
HIFANA『CONNECT』
HIFANAのメジャー・デビュー作『CONNECT』(3番、発売中)は、CD+DVDという形態でリリースされるライヴ盤でありつつも作りこまれた感が強く、その上いい具合に力が抜けた作品であります。彼らのライヴを観たことがない人には伝わりにくいのですが、ブレイク・ビーツを生で演奏することにこだわって、それがなによりも自分たちの魅力であるということを伝えるための今回のパッケージとなっているのでしょう。本作を聴かれる方も、聴かれない方も、とりあえずライヴを一回観ていただければと思います。ついでにものすごいどうでもいいことを書きますと、彼らはアサラトという、木の実で作った玉が2つ繋がったアフリカ楽器(→ これ)の名手でもありまして、井の頭公園や野外フェスでこのアサラトをシャカシャカ振っている人を見ると「あ、この人HIFANAかも……」と思ってしまうのです。
現代性と頑固さがキーワード?な2組
KIMONO MY HOUSE『Hardboiled Love』
お次は京都在住〈キモハウ〉の愛称でお馴染み、トラック・メイカー&ヴォーカルの2人組KIMONO MY HOUSE4年ぶりのセカンド・フル・アルバム『Hardboiled Love』(2番、発売中)。ビートものを前半に、歌ものは中盤、後半は混沌、という流れが用意されたコンセプト感強めの作品です。7月にリリースされたミニ・アルバムにも収録されていた“Empty Room”のようなメロディーの強い曲が支持されるのはわかるのですが、本作の魅力はもっと深いとしたところにあるのではないかと思われます。トータルで見ると、まとまりがあるようでないような、クセがあるアルバムであります。
Riddim Saunter『Think, Lad & Lass』
続いては「待ってました!」という声が主に自分の中で聞こえてきそうな作品を。Riddim Saunterのセカンド・アルバム『Think, Lad&Lass』(4番、9月7日発売)です。メンバー脱退を経て届けられた本作は、ライヴでのフィジカルさを作品でどう再現するのか、といった部分に焦点が絞られつつも、構成の練り具合や現代性の折込具合は抜群。つまり、〈今の自分たちがなにをやるべきなのか〉ということを考え抜いた末生まれた作品でありながら、楽しさだけを抽出して聴くこともできる1枚なのです。すごい。東京ザヴィヌルバッハ(というか坪口氏)のローディーをしていたというバンドの頭脳、古川太一氏の深さを思い知らされるアルバムであります。MySpaceでは、新曲数曲、ジョニ・ミッチェル“Big Yellow Taxi”のカヴァー、プロモ・クリップなどを見ることができます(→ こちら)。
ジャンルは違えど円熟を見せる海外の2作
GALACTIC『From The Corner The The Block』
ニューオリンズ・ファンクを更新し続けるジャム・バンド、ギャラクティックが新作『From The Corner The The Block』(5番、発売中)をリリースしました。ヴォーカル脱退というバンドの危機を乗り越えるべく、ほぼ全ての曲でゲスト・ヴォーカルをフィーチャー。結果、バンド史上最もヒップホップ色の強い作品となっております。正直に言えば、今後どうするのか不安もあるんですが、とりあえずこのアルバムはいい。というなんとも微妙な評価をせざるを得ない内容であります。これまでのファンにとって最も聴き応えがあるのは、ジュヴィナイルが参加した表題曲“From The Corner The The Block”でしょうか。チャンレンジングではないにしても、どっしりとした安定感を感じさせてくれるのです。とはいえ、ホントにこれからどうするのでしょうか……。
The Orb『The Dream』
ラストは、アレックス・パターソン率いるテクノ界の重鎮、ジ・オーブの2年ぶりとなるアルバム『The Dream』(6番、8月29日発売)です。ものすごい正直に言ってしまえば、自分は『Live 93』以来彼らの動向は全然追いかけてなかったりして、未だに「オーブって“Blue Room”の?」と言ってしまう傾向にあります。そういったタイプの人間が聴いたところ、こちらのアルバムはスペイシー&ダビーな味付けが意図的になされた、原点回帰作と言えるのではないでしょうか。オーブ印のアンビエントが更新された感じは受けませんが、ちょっとしたディレイのかけかた、ヴォーカルのイコライジングに円熟を感じさせてくれるのです。彼らのように、90年代テクノ隆盛期から活動を続けているアーティストが、どこに完成を見るのか、ということは多くの人が興味を持っていることだと思われます。その過程が示されているのがこちらと言えましょう。
……と、今回もなんだかわからない感じで終わった感が残りますが、来週も楽しげなCDを紹介させていただきます。とりあえずこれまで。さようならー。
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
『CONNECT』
『The Dream』
























『よろしくお願いします』