MARK FELL、PPPほか、南波一海が選ぶ6枚
MARK FELL、PPPほか、南波一海が選ぶ6枚2011/06/15
梅雨は嫌なものですね。しかし、原稿を書く時は家に篭っているのでそれほど雨の煩わしさを感じません。そして、これを書いているいま、雨がまったく降っていないのでそもそも何とも思っておりません。そう、ここは「リード文的な枕の文章もちょこっとお願いします」という要請に応じて書いた〈リード文的な枕の文章〉になります。本題を書いたら数十文字で終わってしまったので季節のお話から始めさせて頂きました。それでは件の本題に入りましょう。
「最近びっくりしたもの、愛聴しているものをセレクトさせて頂きました」。
1. MARK FELL『Manitutshu』(発売中)SNDの片割れ、マーク・フェルのソロ。データとアナログのみのリリースです。去年出した2枚のアルバムも途轍もなくプログレッシヴなコンピューター音楽の怪作だったのですが、今回も凄まじかった。もう、超凄まじかった!! 音そのものの鳴りとリズムだけでこれだけ独創的なエレクトロニック・ミュージックが作れるものなのかと深く感心しました。「もう音楽聴くのはしばらくこれだけでいいや」と思うことが年に一度くらいはあるのですが、これはまさにそれでした。
2. V.A.『Hessle Audio: 116 & Rising』(発売中)ダブステップ~UKファンキー以降のビートを提供するレーベルのなかでは1、2を争うくらい好きな〈Hessle Audio〉の初コンピにして初のCDリリースです。24曲収録の2枚組。リリースの都度真面目に買っていた12インチの音源もまんべんなく入っていてそこそこムカつきましたがともかく、「ポスト・ダブステップここにあり!」といったトラック満載です。現行のやばいビートが聴きたければこれを買うのが手っ取り早いかと。みんな大好きジェイムス・ブレイクの初期作品も入ってますよ!
3. YOUNG MONTANA?『Limerence』(発売中)イギリスはコヴェントリー在住の若きビートメイカー(このフレーズ何回使ったかな……)のデビュー・アルバムです。フライング・ロータス以降の、いわゆる〈ビーツ〉と呼ばれる種類のトラックものはわりと食傷気味だったりするのですが、そんななかでも久々に鮮烈な印象を与えてくれる音楽でした。ポップ・ソングをザクザクとサンプリングして歪なビートを組み上げていく手法は同じイギリスのブリオンやポール・ホワイトに近いですね。この手の音楽に付き纏う暗さがまるでないのも良いです。
4. SAMIYAM『Sam Baker's Album』(7月5日発売予定)〈Hyperdub〉から出たシングル『Return EP』に一発で魅了されてからおよそ3年、ついに出ます。LA最強のローファイ・ビートメイカー、サムアイアムの、心から渇望していたフル・アルバムです。こんなにダーティでまるで可愛げのない8ビット・チューンを奏でられるのは彼をおいてほかにいないのではないでしょうか。芸風が3年前からまったく変わってないのもいとおしいです。フライング・ロータスが主宰する〈Brainfeeder〉は一貫して素晴らしいリリースを続けていますね。
5. V.A.『Pan Pacific Playa Presents "OLD FASHION VOL.1"』(発売中)7インチのシリーズとしてリリースされていたものを一枚のCDにまとめたコンピです。LUVRAW & BTB、Crystal、やけのはら、KES……などなど、スウィートでメロウで不良(凝り固まった横浜のイメージ!)なサウンドの応酬。日本にはかつてTransonicというテクノ・レーベルがありましたが、Pan Pacific Playaはそれを思い起こさせる〈洗練と先端〉を強く感じさせるレーベルだと思います。本当に洒落てるんですよね。普通の女性(って誰だ!)もイケると思います。
6. Sick Team『Sick Team』(発売中)ラッパーのs.l.a.c.k.とISSUGI、トラックメイカーのBudamunkというジャップ・アンダーグラウンドの気鋭が集合。まさにオールスターといった趣きですが、その内容は派手さとは無縁の、非常にストイックなものになったと思います。ラップは言わずもがなの素晴らしさですが、クオンタイズ少な目の手打ちビート、デトロイト・マナーのベース・ラインが光っています。エヴィデンスやイラJら海外勢が参加していますが、居心地の悪さ、もっと言えば外国人が混ざることの違和感をまるで感じさせないというのは画期的。こういうものがさらっと出てきたことに感銘を受けています。SICK!
南波一海
http://ototoy.jp/school/event/info/5/
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