GIRLS、DOMINANT LEGSほか、清水祐也が選ぶ6枚
GIRLS、DOMINANT LEGSほか、清水祐也が選ぶ6枚2011/08/10
ファッションにはこだわりのない自分ですが、半ズボンと野球帽だけは絶対にNGで、そんなアメリカ人の子供みたいな格好をするぐらいなら、死んだほうがマシだとさえ思っていました。ところで話は変わりますが、アメリカ人は本質的に、西海岸か東海岸のどちらかに惹かれると言われています。かくいう自分はアメリカ人ではありませんが、今年の上半期はダーティ・プロジェクターズのベーシストのナット・ボールドウィンや、スケルトンズ、サイキック・パラマウントといった、ニューヨークのバンドをよく聴いていました。しかしその反動か、どうもここ最近は西海岸、特にカリフォルニアのゆる~いバンドがしっくり来ます。暑さのせいでしょうか? というわけで、この夏に聴きたいカリフォルニア発のアルバム6枚、半ズボンに野球帽姿で紹介したいと思います!
1. GIRLS『Father, Son, Holy Ghost』(国内盤:9月7日発売、海外盤:9月13日発売予定)彼らがこんなに素晴らしいセカンド・アルバムを届けてくれるとは、誰が想像できたでしょう。先立って公開された“Vomit”が少し冗長というか、過剰にドラマチックな曲だったので少し心配したのですが、アルバムには前作以上にフックのあるポップ・ソングが満載。音楽的に似ているというわけではないのですが、聖書に言及したタイトル同様、ゴスペルっぽい要素もあって、個人的にはサム・クックすら思い浮かべてしまいました。 そもそも人間は成長するのだから、1作目よりも2作目が良くなるのは当たり前なんですが、「良い曲を書いて良い演奏をする」という、そんな当たり前のことができている数少ないバンドのひとつ。その証拠に、デビュー当時に散々取り立たされたヴォーカルのクリストファーの過去について、覚えている人はほとんどいないはずです。
2. DOMINANT LEGS『Invitation』(国内盤:9月7日発売)そのガールズの来日公演でギターを弾いていた、男だか女だかわからないギタリストのライアン・リンチ率いるバンドのデビュー作。男だか女だかわからないボーイ・ジョージのいたカルチャー・クラブや、男だか女だかわからないプリンスが書いた“Manic Monday”のバングルスあたりを思わせる、80年代のブルー・アイド・ソウル風味のサウンドが妙に新鮮です。と思ったらライアンさんは最近髪を切ってすっかり男らしくなってしまいましたが、ここは相方のブロンド美女、ハンナ・ハントにご注目。ダボダボのセーターとパチンコがこんなに似合うなんて反則です。
3. DEVON WILLIAMS『Euphoria』(海外盤:8月30日発売予定)10代の頃にオスカーというパンク・バンドでエピタフからデビュー、キルスティン・ダンストの主演映画に出演したこともあるシンガー・ソングライターのセカンド・ソロ・アルバム。普段はヴィヴィアン・ガールズのケイティ率いるラ・セラや、ラヴェンダー・ダイアモンドでギターを弾いている彼ですが、本作ではニューウェイヴ・バンドがビーチ・ボーイズをカヴァーしているような、つまりはXTC、さらにはアンディ・パートリッジがプロデュースしたマーティン・ニューウェル(クリーナーズ・フロム・ヴィーナス)のようなサウンドになってます。初期のニルソンを思わせるアルバム後半の流れが最高で、“Slight Pain”という曲がとにかくオススメ。
4. KING TUFF『Was Dead』(発売中)カリフォルニアに〈バーガー・レコーズ〉という、上で紹介したディヴォン・ウィリアムズやブラック・リップスのアルバムをひたすらカセット・テープでリリースしているレーベルがあるのですが、中でも過去最高のセールスを誇っているというのが本作。昨年ハッピー・バースデイというバンドでサブ・ポップからデビューしたカイル・トーマスのソロ・プロジェクトで、彼はもともとフェザーズというフリー・フォーク・バンドや、J・マスシスと結成したウィッチというブラック・メタル・バンドにも在籍していたのですが、ここではジェイ・リータードやタイ・セガールのようなキッチュなガレージ・パンクをやっています。来年〈サブ・ポップ〉からリリースされるというセカンド・アルバムも楽しみ。
5. MIA DOI TODD『Cosmic Ocean Star Ship』(発売中)昨年逝去した大野一雄氏のもとで暗黒舞踏を学んでいたこともある、日系女性シンガー・ソングライターの土井美亜ことミア・ドイ・トッド嬢の最新作。そんなアングラな経歴が災いしたのか、ミッチェル・フルームがプロデュースしたアルバムでメジャー・デビューしたり、ミシェル・ゴンドリーがビデオを撮ってくれたりしてもイマイチ暗さが拭えなかったのですが、本作で完全に吹っ切れました。全曲そよ風のような軽やかさに溢れていて、バーバラ・キースにも通じるアコースティック・グルーヴ“Skippin Stone”が心地良いです。
6. BEACHWOOD SPARKS『Once We Were Trees』(発売中)カリフォルニアといえばこのバンドを紹介しないわけにはいきません。00年代初頭に時代錯誤なサイケデリック・カントリーで颯爽と現れ、ほどなく解散してしまった彼らですが、本作に収録されているシャーデーのカヴァー曲が映画「スコット・ピルグリム」に使われて再注目、なんと来年には新作もリリースされるというのだから驚きです。このビデオは現在アリエル・ピンクのバックも務めるドラマー氏の結婚式で撮影されたものなのですが、その奥さんはエリオット・スミス『Figure 8』他のジャケットで知られる写真家のオータム・デワイルドだったりします。
清水祐也
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