CULTS、HUDSON MOHAWKEほか、小林祥晴が選ぶ5枚
CULTS、HUDSON MOHAWKEほか、小林祥晴が選ぶ5枚2011/07/06
元々の出不精に加え、ライターという自宅作業の仕事をしているせいもあり、ここ数年はすっかり運動不足。体重もがっつり増えました。しかし、7月1日からHigherFrequencyというクラブ・ミュージックのサイトの編集長になりまして、最近はミーティング、引き継ぎ作業、挨拶回り等々で外出続きの毎日です。おかげで、食事はいつも通り食べているのですが、この2週間で自然に体重が3キロも落ちました。これまでの運動不足のひどさに、我ながら驚いております。それと、誰も気にしてなんかいないと思いますが、ライターの仕事も引き続きやっていきます。二足の草鞋でヒーヒー言いながらも全力を尽くしますので、HigherFrequency共々よろしくお願いいたします。
では、そろそろ、最近のお気に入り5枚を紹介しましょう。
1. VIVA BROTHER『Famous First Words』(国内盤:8月3日発売、海外盤:8月9日発売予定)ヴィヴァ・ブラザー! いや、びっくりしましたね。先日の彼らの改名騒ぎ。なんでも、既にオーストラリアに同名のバンドがいたらしく、ブラザーからの改名を余儀なくされたという話です。こういった問題はよくあることでして、レコード店でニルヴァーナUKとかスウェードUKというアーティスト表記が使われることが多いのは、やはり同名のバンドがいて紛らわしいからなんですよね。そんなわけで、彼らもブラザーUKとかにするのが普通なんですが、ところがどっこい、まさかのヴィヴァ・ブラザーへの改名ですよ。皮肉でも何でもなく、このセンス最高。そもそも彼らは、ヴァクシーンズと並んで〈英国ギター・ロック復権の象徴〉なんて言われているバンド。しかし、その音楽性は確信犯的なブリットポップ・リヴァイヴァルで、「今さらそれはないだろう」「いや、最高!」と賛否両論を巻き起こしています。僕としては、その音楽性にはそれほど惹かれないのですが、「誰もが話題にせずにはいられない存在感」を持った彼らを面白く思ってはいます。今回の改名騒ぎにも、そんな彼らの「話題にせずにはいられない」感がよく出ていますよね。 ついついアルバムと関係ないことを長々と書いてしまいましたが、このデビュー・アルバムは、オアシスとブラーのいいとこ取りで、かなり上質なブリットポップです。ただ、少しばかり曲が一本調子なので、一曲でも決定的なバラードか、BPM150以上の性急なロックンロールがあったら、さらに印象がよかったかもしれません。
2. BLACK LIPS『Arabia Mountain』(発売中)イギリス期待の新人の次は、USアンダーグラウンドの重要バンドが送り出した新譜です。同郷のディアハンターの盟友で、50~60年代のサウンドに影響を受けたヨレヨレのガレージ・パンクを掻き鳴らす彼らですが、今回のプロデューサーはなんとマーク・ロンソン。エイミー・ワインハウスなどを手掛けたポップ・フィールドの人物ではあるものの、ブラック・リップスならではの粗野な魅力を損ねることなく、グッと聴きやすい開かれた音へと仕上げています。この絶妙なバランス感覚は流石ですね。
3. CULTS『Cults』(発売中)もう一組、最近のUSインディ・シーンから紹介しましょう。リリー・アレンのレーベルと契約を結んだことでも話題の男女デュオ、これがデビュー作です。50~60年代のガール・グループから受け継いだ甘く切ないメロディーに、ロウファイでプリミティヴなサウンド……と書くと、「ああ、またか」と言われそうですが、そこで聴き逃してしまうのはあまりにもったいない。確かに流行ど真ん中の音楽性ではあるのですが、彼らはソングライティングの力がずば抜けていて、無数に沸いてくる同類バンドの山に埋もれない魅力があります。最近、この手の音楽性は食傷気味の僕が珍しくハマっているのですから、間違いありません。
4. HUDSON MOHAWKE『Satin Panthers』(7月16日発売)今度は打って変わって、ベース・ミュージック・シーンきっての変態……いや、失礼。ワープが誇るベース・ミュージック界の二大巨頭の一人、ハドソン・モホークの新EPです(もう一人は、もちろんフライング・ロータス)。相変わらず、笑えるくらいにねじれた愉快なサウンドですが、ワープからの初EP『Polyfolk Dance』ほどビートが細切れではなく、かと言ってファースト・アルバム『Butter』のように歌やメロディー重視というわけでもない、ハドモー流のダンス・トラックが展開されています。レイヴ・ミュージックとモダンR&B/ヒップホップが邂逅を果たした2曲目が、超絶キラーです。
5. AZARI & III『Azari & III』(国内盤:7月27日発売、海外盤:8月16日発売)最後は、アメリカから少し北上し、カナダのアーティストをご紹介。ニュー・ディスコ~バレアリック系のレーベル、パーマネント・ヴァケーションからリリースした“Reckless(With Your Love)”で一躍名を馳せた、アザリー・アンド・サードのファースト・アルバムです。彼らの魅力は、80年代シカゴ・ハウスにも例えられる、しなやかで生々しいダンス・トラックと、ポップ・ソングとしての強度を持ったソングライティングが絶妙なバランスで融合していること。歌モノとして完成度が高いとフロアでの機能性が弱かったり、またその逆のケースも多々ありますが、彼らはその両方を物にしている稀有な存在と言えるでしょう。本作ではトラック・オンリーの曲もあれば、より歌にフォーカスした曲もあるなど、さらに幅を広げています。
小林祥晴
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