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Bushmind、IDJUT BOYSほか、小野田雄が選ぶ6枚

2011/08/25

Text:小野田雄

 去る7月、暴動前のロンドンへ行ってきました。オリンピックのための再開発やジェントリフィケーションによって、かつて危なかったエリアがヒップな街へと変化したことに驚いたのも束の間、8月に入って一気に着火した暴動の炎。滞在したウェスト・ロンドンの友人宅から歩いて数分のところで、大規模な衝突が起きたことに大きな衝撃を受けました。どこから何を見るのか。その視点の置き所について改めて考えさせられた次第です。そんな2011年の夏後半、いい意味で固定された視点を揺さぶってくれそうな、そんな6枚を選んでみました。

1. BIOSPHERE『N-Plant』(発売中)
『N-Plant』収録“Ikata-1”

 戦後日本の高度経済成長を起点に、日本の原子力発電所、その未来的かつ非現実的なデザインやフォルム、立地をモチーフに作品制作を行う過程で、東日本大震災が発生。震災後に完成をみたが、図らずして予言的な内容を含んでしまったノルウェーのアンビエント・クリエイターによる新作。ノイズの乗り方が砂原良徳『liminal』と共振するかのようでもあり、ある種の覚醒感がリスニング時の思考に繋がってゆく、考える人のためのアンビエント・アルバム。

2. ERA『3 WORDS MY WORLD』(発売中)
『3 WORDS MY WORLD』収録“FEEL”PV

 2011年は、s.l.a.c.k.の新作に始まり、SICK TEAM、INGLORIOUS BASTARDSなど、ジャパニーズ・ヒップホップの名作が続々誕生している当たり年。今回紹介したBushmindの新作にもフィーチャーされているヒップホップ・グループ、D.U.OのMC、ERAのファースト作から受ける静かな、そして脱力気味な衝撃もまた圧倒的に新しい。どこにも向かっていかない言葉、その訥々とした連なりが描く立体的な風景をただただぼんやり見とれるばかり。

3. Bushmind 『Good Days Comin'』(発売中)

 新たな才能を紹介するコンピレーションとしても機能した前作『BRIGHT IN TOWN』から4年。フィーチャリング・アーティストを絞り込んだBushmindの2nd作は、彼の名作ミックスCD『Letters To Summer』のメロウ・サイケデリック・フィールをオリジナル・トラックに溶かし込んだ最高のトリップ・アルバム。米国西海岸産とは明らかに異なる洗練と野蛮が同居した東京アンダーグラウンド・マナーがここには凝縮されている。

4. JAMES PRIESTLEY & GILES SMITH『10 Years Of Secretsundaze』(発売中)
『10 Years Of Secretsundaze』収録DJ Ageishi & Ackin“Rain Parade(Mark E Remix)”

 ロンドンの日曜午後にオープン・エアのロケーションでいち早くミニマル・テクノとディープ・ハウスの橋渡しをしたパーティ・クルーが設立10周年記念に発表した2枚組ミックスCD。DJ歴38年、日本のDJ界の至宝、Ageishiさん(とAckin')のトラック“Rain Parade(Mark E Remix)” から始まって、過去10年のヨーロッパのダンス・ミュージックにおける最良の瞬間が未来に向け、広い視野で広がっていく。

5. IDJUT BOYS『Cellar Door』(国内盤:9月10日発売)

 DJハーヴィーと共に、ディスコに内在するサイケデリック感覚や折衷感覚を2000年以降のダンス・ミュージック・シーンにもたらした英国のDJデュオ、イジャット・ボーイズ。最初のシングル・リリースから実に18年越しのリリースとなるファースト作がついに登場。ア・マン・コールド・アダムの女性ヴォーカル、サリー・ロジャースやノルウェーのジャズ・ピアニスト、ブッゲ・ヴェッセルトフトらによる極上の生音をライヴ・ミックスで瑞々しい楽曲へとトランスフォーム。彼らのDJプレイの背後にあるリスニング・ミュージックの豊かな知識と経験がこのチルアウト・アルバムには注ぎ込まれている。

6. WOODEN SHJIPS『West』(海外盤:発売中、国内盤:9月14日発売)
『West』収録“Lazy Bones”

 クラウト・ロックを含むガレージ/サイケデリック・ロックを俯瞰した現代的な視点で鳴らすサンフランシスコの4ピース・バンド。スリル・ジョッキーから登場した新作アルバムは、ソニック・ブームがマスタリングを担当。米国西部の神話やロマンティシズム、理想主義をテーマに、ニール・ヤング&クレイジー・ホースを想起させるラグドなギター・ソロをフィーチャーしたフリーク・アウト・サウンドが頭を彼方に吹き飛ばしてくれる。

小野田雄
1974年生まれの音楽ライター。
http://twitter.com/ond74
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
1. BIOSPHERE『N-Plant』
2. ERA『3 WORDS MY WORLD』
3. Bushmind 『Good Days Comin'』

4. JAMES PRIESTLEY & GILES SMITH『10 Years Of Secretsundaze』
5. IDJUT BOYS『Cellar Door』
6. WOODEN SHJIPS『West』

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