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今週の5,6枚

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No.090 ウッキウキな6枚

2008/09/25

Text:OOPS!編集部原田

 えー、またもやはじまりました今週の5,6枚。今回は諸事情により水曜日の更新となっております。諸事情と言いますのは、私がお休みを頂いていたからであります。長い休みを取るとその後の仕事が精神的な重荷になってしまうのはみなさん同じだと思われます。そんな感じで今回は、スピリチュアルな効果を音楽に無理矢理求め、ウッキウキな6枚と題してお送りいたします。

●懐かしさ≒新しさを感じさせるウキウキな2作

1. Bloc Party.『Intimacy』(10月29日発売)
Bloc Party.“Mercury”プロモ・クリップ

 新曲“Mercury”をリリースし、その後間髪入れずに配信限定でリリースされたブロック・パーティの新作『Intimacy』。CDが1ヶ月ほど遅れてお目見えであります。“Mercury”のヴォーカル・サンプル一発で乗り切るテンションはアルバムのカラーとして見えてくるようで見えてこない。それよりも、妙に80年代っぽい感じが全体に漂うのでした。それはヴォーカル・エフェクトによるものかもしれないのですが、もっと根本的な理由がありそうな気がいたします。超ベタなブレイクが所々に入っているせいでしょうか? んー、わからん。とにかく、手法以前の問題として懐かしさを感じるのであります。

2. Traks Boys『Bring The Noise』(10月15日発売)
YOU KOBAYASHI & TRAKSBOYS名義の楽曲“Play On The Moon”(06年のコンピ『NOSTALGIA OF MAD』収録)

 DJ CryatalとK404によるユニット、Traks Boysにとって、2作目となるアルバム『Bring The Noise』がリリースされます。前作同様、とっちらかった賑やかなハウス作、と一言でまとめるとそんな感じですが、彼らのアゲすぎないパーティ感は、一度はまると抜け出せない快楽性があるのでした。本作から感じることができるのは、音色のレイドバック感。レイドバックと言っても、70年代のアメリカから~といったものではなく、80年代後半のディスコから90年代中盤のテクノまで、その期間に養われたダンス・ミュージック全般が持つせつなさを思い出させるのです。イタロの泣き、ガラージの無骨さ、アシッド・ハウスのダメっぷり、そういった叙情感が大量投入されており、ダンス・オリエンテッドおやじならずともホロリとさせられるのでした。ちなみに、この2組は読み方にある「ック」の表記が「ck」ではない仲間であります。

●都会のウキウキな2作

3. 古内東子『In Love Again』(10月15日発売)
古内東子“帰る場所はあなた”プロモ・クリップ

 んー、これはいい。古内東子3年ぶりのアルバム『IN LOVE AGAIN』は、そう唸らずにはいられない傑作と言えましょう。古内東子と言えば、〈恋愛の教祖〉的な視点で語られることが多いのでしょうが、彼女が作る音楽の洗練っぷりは、ユーミン山下達郎に匹敵するものがあるのではないでしょうか。ここ日本では、〈都会っぽさイコール賞味期限が短い〉と解釈されがちですが、彼女の作る楽曲の芯の太さは、10年後に聴いて恥ずかしいといったインスタントなものではないはず。抜きのセンス、コーラスの重ね具合、ストリングス使いのバランス感、ファンキーさの解釈、全てが優れた逸品であります。30代中盤の女性が描く恋愛のリアルっぷり(全般的に重め)も、もちろん素晴らしいです。

4. グディングス・リナ『The Nightbird』(10月8日発売)
グディングス・リナ“大都市を電車はゆく”(07年作『大都市を電車はゆく』収録)プロモ・クリップ

 お次は、グディングス・リナ女史による初のカヴァー・アルバム『The Nightbird』を。キッド・クレオール&ザ・ココナッツの“Stool Pigeion”をネタにした(と自分が勝手に思っている)、ラッツ&スター“め組のひと”、電気グルーヴ“Shangri-La”から、橋幸夫“恋のメキシカン・ロック”といった飛び道具、さらにはマルーン5“Sunday Morning”といった洋楽まで、幅広く取り上げられております。ソフト・エキゾ~軽めのジャズ~レゲエ~フュージョン~サンバを行ったり来たりしつつも、異色のカヴァーはシンプルなギター・カヴァークイーン“Somebody To Love”ではないでしょうか。秋の夜長をしっとりと湿らす、いい曲をいい曲として伝える名カヴァーだと思います。ちなみにジャケはドナルド・フェイゲン『The Nightfly』の完コピなのでした。

●ウキウキ幻想が透けて見えてくる2作

5. The Sea And Cake『Car Alarm』(10月15日発売)

 シカゴ音響派の代名詞として活躍してきたシー・アンド・ケイク。15年も経つと、そんな形容は全く意味がないほど彼らもインディー・バンドだったんだな、と思わせるのがこの新作『Car Alarm』であります。95年の傑作『The Biz』からなにも変わっていないようで、しっかりと成熟が見られるのでした。1曲目“Ariel”からエフェクトの妙味を味わい、続く“Fuller Moon”では曲展開の上手さを堪能し、“CMS Sequence”、“Weekend”といった曲ではエレクトロニックな音使いの的確さにハッとする。といった具合に地道な鍛錬の結果が見えてくる好盤と言えましょう。

6. Mercury Rev『Snowflake/Midnight』(日本盤:10月8日、海外盤:9月30日発売)
Mercury Rev最近のライヴの様子

 さて、最後は現代のサイケデリアを音にして表現するバンド、マーキュリー・レヴの新作『Snowflake/Midnight』であります。いやー、これはいいアルバムですよ。正直、彼らの近作は妙にバンドっぽすぎてピンと来ることがなかったのですが、これはまれに見る傑作です。ダイナミックなエフェクト、大仰な物語性、夢のようなコーラス、それらすべてがマーキュリー・レヴにしか出来ないことであるということをしっかりと確認した上で作られたものではないでしょうか。うさんくさくて、大味で、プログレっぽい、01年のサマソニライヴが人生ベスト5ライヴに入り、98年の『DESERTER'S SOMGS』が人生のベスト10枚に入る筆者も大推薦であります。ピンク・フロイド好きのオヤジから喜多郎好きのオヤジまで、がっちりロックすると言って問題ないでしょう(これは冗談です)。素晴らしい!(これは本当)

 といった感じでお送りしました今週の5,6枚。いかがでしたでしょうか。鬱気浮きな6枚と漢字で書くこともできそうな気がする内容でありました。来週はもっと憂さ晴らしできる作品をご紹介いたします。お楽しみに!

●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
1. Bloc Party.『Intimacy』
2. Traks Boys『Bring The Noise』
3. 古内東子『In Love Again』


4. グディングス・リナ『The Nightbird』
5. The Sea And Cake『Car Alarm』
6. Mercury Rev『Snowflake/Midnight』

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