NO.055 改心。ウソ偽りない6枚
2008/01/21 | タグ:LEONA LEWIS OUTO SEEDA SNAIL RAMP サカナクション 木村カエラ 石野卓球
2007年を象徴する一文字は〈偽〉だったそうですが、確かにウソ偽りはいけない。初登場の際に、根拠もない無茶ブリしたせいで、相方はアレから口を利いてくれません(編集長が「実話ナックルズ」を読んでいるという話もウソ。時代は「MEN'S KNUCKLE」だそう)。ということで、今週は改心。ウソ偽りない6枚と題してお送りします。
確固たる芯を感じさせる3枚
1.サカナクション『NIGHT FISHING』北の大地が育んだ男女混成バンド、サカナクション。デビュー作『GO TO THE FUTURE』までは、ポスト〈くるり/スーパーカー〉バンドのひとつという、まったくもって失礼な極まりない認識しかなかったのですが、いやー、本作『NIGHT FISHING』(1月23日発売)で、完全にシャッポを脱ぎました。アストロノーティカルなサウンドと磨きぬかれたリズムは、実験性も感じさせながらポップ。〈実験性〉という雰囲気に拘泥しないのは、アーティストとしての意識の高さを感じさせます。くるりやスーパーカーに共通点があったとすれば、新たなジャンルを貪欲に取り込んでいく姿勢だと思うのですが、それからすると、自分達の音楽の純度を高めていくような作品を作り上げたサカナクションは、改めて、正しくくるり/スーパーカーの後継者といえそう。このまま我が道を万進してもらいたいものです。
2.LEONA LEWIS『SPIRIT』続いてご紹介するのはUKのニュー・カマー、レオナ・ルイスのデビュー・アルバム『SPIRIT』(ヨーロッパ盤は1月29日発売)。〈エキゾチックで端麗な容姿〉、〈オーディション番組「X Factor」上がり〉、〈アークティック・モンキーズの新人アルバム・セールス記録更新〉など、その触れ込みから、どうしてもハイプ感が漂いますが、このシンガーをイロモノ視するなかれ。どうしてその実力は本物です。ティンバランド的ブリーピーなシンセ・ナンバーからピアノ・バラードまで。〈ディーヴァ〉という単語で想像されるトラックのイイトコ取り。そのすべてを圧倒的な歌唱力でねじ伏せています。それこそマライヤからアリーアまでのリスナーそれぞれに満足できるポイントがあるのではないでしょうか。デビュー作からこのクオリティ、今後いったいどうなってしまうんだ?そんないらぬ心配が浮かぶ破格の新人です。
3.SEEDA『HEAVEN』KREVA、ILL BOSSTINO、漢、Smif-n-wessunと上下問わずラップ人脈を総動員した『街風』で話題をさらったSEEDAが、ニュー・アルバム『HEAVEN』(1月30日発売)を早くも発表します。濃厚な前作からわずか3ヶ月というリリース・タイミングもさることながら、本作で注目したいのは、リリックの変化。SEEDAの大きな特徴である自身の経験を切り取るような〈私小説〉的な方法論から、ところどころフィクショナルな〈物語的〉方法論にシフトしています。象徴的なのは5曲目の“Son gotta see tomorrow ”でしょうか。文才の有無でイメージのふくらみが違いが出るフィクショナルなものほど、作家のセンスによるところが大きいもの。その点、『HEAVEN』はご心配なく。日本語ラップ・トップランナーSEEDAの挑戦/真価を堪能できるアルバムに仕上がっています。
さて、この辺でそろそろ紙面ならぬ画面が尽きてきました。私の出番はお終いです。相方、まだ怒ってるかなー(チラ見)。反省しているので、そろそろ許しておくれ。後半よろしくお願いします。
ちょっと昔の香りが心地良い3枚
ここからは代りまして私、三木が執筆させていただきます。
4. SNAIL RAMP『DISCOVER』まずは我が青春!とでもいうべき90年代メロコア・ブームの代表格、SNAIL RAMP約1年ぶりとなる新作『DISCOVER』(1月23日発売)であります。3年間の活動停止後リリースされた『TV MONSTER』では、中心メンバーだったAKIO(元KOOLOGI)の不在を心配する周囲の声を一掃するかのような爆裂サウンドを届けてくれた彼ら。本作は、キャリア初のカヴァー・アルバムです。このアルバム、何がスゴイってその選曲がスゴイのです。スキャットマン・ジョンの“Scatman's World”にはじまり、ユーミンの“恋人がサンタクロース”、そしてZOOの“Choo Choo TRAIN”など、これでもかとザ・80年代~90年代の楽曲がてんこ盛り。もちろん、全曲素晴らしいクオリティなのですが、あえて挙げるとすれば原曲の雰囲気を多分に残しつつも彼ららしい跳躍力を随所に見せるネーナのカヴァー“99 RED BALLOONS”と、今をときめく超人気ダンス・グループの首をくるくる回らせないほどファストな“Choo Choo TRAIN”でしょうか。
5. OUTO『OUTO』続いてご紹介するのは、80年代に大阪で産声を上げた伝説のハードコア・バンドOUTOのコンプリート・ヒストリー・アルバム『OUTO』(1月19日発売)。あまりの人気で発売と同時に姿を消したというオリジナル盤の発売から約9年が経ち、待望の再発となった今作にはオリジナル盤と同様にシングルからアルバム、オムニバス収録曲に至るまでの全35曲が収録され、さらに完全リマスタリングが施されています。3曲目の“Frog Song”などは、うがいで演奏するなど新しすぎる手法を取り入れたり、ジャケ写がとにかく格好良かったりと彼らが時代を先取りしていたことがビシビシ伝わってきます。1曲の平均が1分程度というハード・コアならではの楽曲展開であっという間の35曲ですので暴れながら訳がわからず聴いて汗を流すもよし、じっくり聴いて感心するもよし、どちらにせよ熱くなる1枚なのです。
6. 木村カエラ“Jasper”ラストは今や、名実ともに日本のポップ・アイコン兼ロック・アイドルを務めます木村カエラのニュー・シングル“Jasper”です。石野卓球(作曲とプロデュースを担当)×木村カエラという事で話題沸騰、もはや売れない理由が見当たらないこのシングルなのですが、期待を裏切らないポップなナンバーに仕上がっています。2月16日公開の映画「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」の日本語版テーマソングに決定しているという事で若干、子供受けも意識しているのか、〈Jasper〉をキーワードとした覚えやすいサビが印象的であります。個人的にカエラ嬢の4つ打ち作品(“Circle”など)は名曲が多いと思っているのですが、こちらも楽しく、ホットに踊れる名曲となっています。
ということでなんだか長々と書いてしまいましたがこの辺で今週の5、6枚お開きとさせていただきます。来週もお楽しみに。
●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
『OUTO』























