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No.050 音の振動を利用して寒さをやりすごすのに最適な6枚

2007/12/11 | タグ:

Text:OOPS!編集部原田

 どうもこんにちは。東北生まれ・東北育ちのくせに、冬がとにかく苦手な筆者であります。「雪がチラチラ」といった言葉を聞くだけで鳥肌が立つ男でして、この季節がやってくるのが怖くてしょうがありません。そこで考えたのが、リスニング暖房法。音楽を聴くことで、空気の振動が体に伝わり、それによって発する熱がじわじわ体を温めてくれるといったものです。今週はそんな、音の振動で寒さをやりすごすのに最適な6枚をご紹介いたします。

徹底した美意識が貫かれた2枚

1. Radiohead『In Rainbows』
Radiohead“15 Step”

 まずは古巣のレコード会社EMIを離れ、ダウンロード限定でアルバムをリリースしたことが話題となったレディオヘッドの『In Rainbows』(12月26日発売)から。CDヴァージョンは、12月26日に日本先行でリリースされることになっております。本作は、アルバム1枚の情報量が半端じゃない上、バランスも素晴らしい作品であります。ファンキーな1曲目“15 Step”で幕を開け、内省的な“Videotape”で終わる構成の上手さ、不必要に意味を持たせる手前で抑える豊富な音色、適度にヒステリックさをアピールするツンデレ感、女性誌的な表現をすると〈愛されバンド、レディオヘッドの本領発揮〉といった感じでありましょうか。このバンドに対する評価は、〈良い〉と〈悪い〉が常に同じくらいの数いるという意味で、トータルで見て非常に安定しています。本作でもまた、これまで同様両方の極端な評価が見て取れるはず。不安定な音を投入すれば評価が安定する、そのことを理解したクレバーなバンドなのでしょう。

2. Rufus Wainwright『Rufus Does Judy At Carnegie Hall』
Rufus Wainwright “Zing! Went The Strings Of My Heart”ライヴ映像

 続きましては、ルーファス・ウェインライトのライヴ盤『Rufus Does Judy At Carnegie Hall』(発売中)を。こちらは、故ジュディ・ガーランドのライヴ盤『Judy at Carnegie Hall』をそのまま再現している企画ライヴ・アルバムであります。毎度やることが大胆で大げさなルーファス様ですが、このアルバムも、期待を裏切らない大仰っぷりであります。ゲイがあがめる女性・ジュディと自分を重ね、ライヴでは服装まで真似してスタンダードを歌いまくる姿は、コスプレというよりも、個人的通過儀礼のようにすら見えるのです。中ジャケで使われた、ジュディの遺影(男装写真)からも、存分なリスペクトが伝わってくるのでありました。単純な評価よりも、このアルバムを通して知るべきことが沢山ある、文化的価値の高い作品と言ってもよいでしょう。

優しさに包まれたいときに聴く2枚

3. 空気公団『空気公団作品集』
空気公団イベント「空装」告知動画

 さて、お次は空気公団にとって活動10周年を迎えた記念として作られたアルバム『空気公団作品集』(12月19日発売)をご紹介。これは、過去に発表した曲を、バンド自身が新たなアレンジでカヴァーするといった内容の作品であります。以前から、自分たちのペースを守りながら完成度の高いものを作り上げてきた彼らですが、本作では音と音のすき間に宿る空気すら音楽的であります。頑固にじっくりと自分の作品を大事に音楽活動を続けるこういったアーティストが作品をちゃんとリリースできることは大変良いことだと思っております。

4. MEMPHIS 『A Little Place In The Wilderness』
MEMPHIS“I'll Do Whatever You Want”、“A Little Place In The Wilderness”プロモ・クリップ

 近年なにかと注目を集めるカナダのロック・バンドたち。そんな中でも安定した評価を得ているスターズのヴォーカル、トークィル・キャンベル(Torquil Campbell)のサイド・プロジェクト、メンフィスのアルバム『Little Place In The Wilderness』(08年01月09日発売)であります。本国では6月にリリースされていた本作は、アコースティックを基調とした味わい深い作品なのです。スターズと地続きでありながら、おやじ殺しな要素もたっぷり。柔らかい音色の枯れた味わいの中に一滴のギタポ風味が混じり、耐久性と深みを与えているのです。ジャケットの暗さがプラスに働く要因が全くなさそうな不器用っぷりすらいとおしい。そんな素敵な作品でありました。

どれをとっても機械だぜ!な2枚

5. Los Hermanos『ATADITIONS & CNCEPTS』
元Los Hermanos、DJロランドのデトロイト・クラシック“Jaguar”

 ここからガラっと趣向を変えて、エレクトロニックな作品を。最初はデトロイト・テクノ大本命ロス・ヘルマノスの『Traditions & Concepts』(12月21日発売)。DJロランドが抜け、ジェラルド・ミッチェルのソロ・ユニットとなったこのユニット、前作に引き続き、デトロイトなシンセ音とファンク寄りのビートがビシビシと投入されております。アンダーグラウンド・レジスタンスの新作も同時期にリリースされていますが、ストイックかつハードなそちらの作品と比べると、こちらはまさしくマシーン・ソウル。remix誌が編集し、94年にリリースされたコンピ『Remix Trax Vol.7 Cosmic Soul』がテクノの入り口だった筆者にとっては、胸がキュンとなってしまう瞬間が何度も訪れるのでした(“Remember Detroit”という曲名だけで、もう泣けます)。正直な話、デトロイトものに関して食傷気味な方も多いであろう昨今ですが、そういった方もとりあえずこれは聴いておきましょう。御大ホアン・アトキンスならずとも〈We call it techno〉と口にしてしまう内容であります。

6. Perfume“Baby Cruising Love/マカロニ”
Perfumeが9月にリリースしたシングル“ポリリズム”プロモ・クリップ

 ラストは、飛ぶ鳥の息の根を中空で止めんばかりの勢いを見せている3人組4つ打ちアイドル、Perfumeのシングル“Baby Cruising Love/マカロニ”(08年1月16日発売)。本作も中田ヤスタカ作詞作曲プロデュース作であります。まず思ったのが、これまで以上に大人な雰囲気。それは、過去の失敗を元に、恋愛をちょっと俯瞰して独白的に見ている歌詞の内容や、自ハモを多様したソロ回し、ギミック少な目のストレートな歌などから得た印象でもあるのでしょう。が、サビのユニゾンで爆発するかと思いきや、抑えたアレンジにしてあることがなによりも大きいのではないかと推測いたします。さらに、ミディアムな曲調も〈大人〉とリンクしているよう。先週紹介したcapsuleの新譜が素晴らしかったこともあり、本作でも中田氏のノリノリっぷりが充分に伝わってくるのです。

 というわけで、なんだか長々と書いてしまった上に、いいアルバム選んでおきながら完全に迷走したタイトルにしてしまったことをちょっとだけ後悔しつつ、これにて終了であります。来週もお楽しみにー。

●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
1. Radiohead
『In Rainbows』

2. Rufus Wainright『Rufus Does Judy At Carnegie Hall』
3. 空気公団
『空気公団作品集』



4. MEMPHIS
『A Little Place In The Wilderness』
5. Los Hermanos
『ATADITIONS & CNCEPTS』
6. Perfume“Baby Cruising Love/マカロニ”

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