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今週の5,6枚

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No.079 老いたる馬は路を忘れず、温故知新な6枚

2008/07/08 | タグ:

Text:OOPS!編集部 片山&三木

 先日、おそらく40歳は年上の方とお話しする機会に恵まれました。血肉になった知識は実に説得力があり、こんな歳のとり方をしていきたいと、素直に思わされた次第です。そんな今週は、老いたる馬は路を忘れず、温故知新な6枚と題してお送りします。

●それぞれの現在が刻み込まれた3枚

1. CSS『Donkey』(日本盤:7月2日発売)
CSS“Rat Is Dead”プロモ・クリップ

 ニュー・レイブの正体みたり!ロック・リヴァイヴァル+シンセ=ゼロ年代のシンセ・ロックだっ!ブラジルからのニュー・レイブへの返答(?)と言われたCSSの新作『Donkey』は、そう断言するに足るロック・バンド然とした仕上がり。ラブフォックスのヴォーカリストとしての自我の目覚め、グッと高まったギターへの傾倒(“I Fly”なんかはフレーズにスカを感じる瞬間もあったり)。『Cansei de Ser Sexy』と比べると、格段にアンサンブルが固まった印象です。“Rat Is Dead ”のPVもバンド感が顕著。それこそインディーロックの良心〈SUB POP〉所属アーティストの面目躍如といった感じ。前作のアンコンな雰囲気は、テクニック的な問題が大きく、それは作品のマイナスになっていませんでしたが、バンドの目指すベクトルはこっちだったのでしょう。

2. Pop Levi 『Never Never Love』(7月14日発売)
POP LEVI“Never Never Love”プロモ・クリップ

 「自分はレコード会社のA&Rにはなれない……」そう痛感したのは、ポップ・リーヴァイがイマイチブレイクしないから。〈Ninja Tune〉が三顧の礼を持って迎えたという事実。デヴェンドラ・バンハートに向こうを張ろうかというファッション・センス&ルックス(とはいえ、最近のデヴェたん、超トバしてますが)。そして何よりグラム/サイケな音楽的強度。このように、非の打ち所のないポップ・リーヴァイをして、売れないなら誰が売れるのよ!……いや、売れてないというと語弊があるやもしれませんが、同様の回顧的なサウンドでミーカのバカ売れしてるのを見るにつけ、あちらがUKマス・ポップ・ベースという違いがあるにせよ、彼ももっと売れてイイのにとの思いが拭えません。前作を踏襲した『Never Never Love』を聴いても、この確信は強まりこそすれ衰えることはない……はずだったのですが、ひとつ重要な見落としがありました。それは本人のボーカルです。過剰なフレディ・マーキュリーであるミーカと比べると、彼のボーカルは品良く、悪く言えば小さくまとまっているのです。森進一のコロッケ、ビヨンセの渡辺直美。やはりポップスターはモノマネされてナンボ。ややもするとプロデューサー的なポジションに専念した方が、彼の非凡なセンスを生かせるのではないでしょうか?

3. Double Famous『DOUBLE FAMOUS』(7月9日発売)
Double Famous“火曜日のワルツ”プロモ・クリップ

 日本で現行のシンガーがワールドミュージックを志向すれば、Little Tempoか彼らに指南を仰ぐことになる。そういって過言ではないほど、日本のワールド・ミュージック・シーンで確固たる存在感を放つDouble Famousが、ニュー・アルバム『DOUBLE FAMOUS』をリリースします。活動15年の節目、しかも長らくバンドを離れていた畠山美由紀をボーカルに迎えての新作ということですが、いやはや、流行り廃りと関係なく、コンスタントかつ求道的にワールド・ミュージックと向き合ってきたキャリアは伊達ではありません。昭和歌謡に潜むワールド・ミュージック感を、見事にすくい上げた“女はきまぐれもの”のアダルトな箱バン感は、もはや貫禄の粋。明るい曲調に寓意的怖さまで携えた“オーパパ”にいたっては、ガチの民謡級クオリティです(不勉強なので存じ上げませんが、本当にポリネシア系の民謡カヴァーだったりするかも。それぐらいの完成度です)。単なる憧憬にとどまらず、さまざまなレイヤードで、ワールド・ミュージックを演奏することの意味をみせてくれる本作は、15年目のセルフ・タイトルにふさわしいコンテンポラリーな1枚に仕上がっています。

 いやー、職人(しかも現役・六本木族)の方は、ボキャブラリーのあり方が新鮮で話していて楽しいです(→ 詳しくはこちら)。残りの3枚も数年後、語り草になるでしょうか?

●ニヤニヤが止まらない3枚

4. 新垣結衣“Make my day”(7月16日発売)

 いやはや、もう季節は夏であります。こうなればビアガーデンに通う回数が飛躍的に増えるのは必須。ということでここからは片山に替わりまして、夏は好きなのにセミと蚊は死ぬほど嫌い! な三木がニヤニヤが止まらない3枚をご紹介して参ります。夏に人々が求めるモノとは何でしょう? はい、答えは清涼感。飲み物も食べ物もはたまた化粧品や衣服までも、夏は清涼感というキーワードが最重要視されるのであります(ほんとか?)。そこで本日最初にご紹介しますのは〈ガッキー〉こと新垣結衣のニュー・シングル“Make my day”。彼女が昨今の女優、アイドルの中で飛び抜けた透度と清涼感(広末以来のビックバン)を持っていることは周知の事実。そして、歌の方もそりゃあもうLike a シトラス・ミントな感じなのです。High~♪Fly~♪Sky~♪といった具合に、飛び跳ねるように次々と韻を踏んでいくサビと、シンプルな楽曲構成のアップテンポな表題曲はまさに夏にピッタリ。YUIの歌声の高音域を抜き出したような少し擦れた歌声も彼女のイメージと相違は無く、ファンも納得の1枚でしょう。

5. SCOTT MURPHY『Guilty Pleasures II』(7月9日発売)
アリスターによる森山直太朗“桜”のカヴァー(アルバム『Guilty Pleasures』収録)

 2007年3月に無期限活動休止を発表したパンク・バンド、アリスター。続きましてはそのフロントマンであるスコット・マーフィーによるカヴァー・アルバム『Guilty Pleasures II』をご紹介します。本作はアリスター名義でリリースした『Guilty Pleasures』の続編といった位置づけなのですが、今回も引き続き血迷った選曲をされております(笑)。まず、日本語カヴァー・アルバムと題しているのにホイットニー・ヒューストン“I Will Always Love You”、ビリー・ジョエル“HONESTY”が堂々とトラック・リストに記載されているのに脱帽です。そして肝心のJ-POPカヴァーも長渕剛“乾杯”、浜崎あゆみ“Voyage”、BEGIN“涙そうそう”などなど最早、カオスとしか形容できない内容にも関わらず、それを〈親日家の外国人〉という1点でオールOKにしてしまう辺りにこの人の底知れぬパワーを感じます。音の方は、一言で言うならば典型的な〈ニュー・ファウンド・グローリー的カヴァー手法〉であり、ポップ・パンクの王道をいく内容。全編、違和感無しに気持ち良く聴くことが出来ます。ただ、1つ残念なのは日本語カヴァーの楽曲よりも英語で歌った楽曲の方がしっくり来る気がしてならないところなのですが、その辺もご愛敬でしょうか。

6. DatA “Rapture EP”(7月16日発売)

 さて最後は〈ポスト・ジャスティス〉の触れ込みで密かに話題となり、本年のフジロックへの出演も決定しているダタのデビュー盤“Rapture EP”です。ジャスティスはネタの出所、機材のチョイス、カットアップにメロディーとどれをとっても時代の半歩先を行くセンスを感じるのですが、一方本作品はシンセの音色、ブレイクの入り、ギター・ソロと全部がダサダサです。しかし、それがクセになるんです。いや、良いんですよこの人。昨今のエレクトロ=スタイリッシュという流れに反抗するかのようなこのダサさ。 個人的には〈ポスト・ジャスティス〉ではなく、何が何でも踊らせるという姿勢は〈ポスト・ベースメント・ジャックス〉の方がグッとくる印象を受けました。とこんなにダサいを連発してしまってから気がついたのですが、リード曲である“Rapture”のヴォーカルは元デス・フロム・アバヴ1979のヴォーカリスト、セバスチャン・グレインジャーなんだそうです。だとすればこのダサさも計算済みなのかもしれませんね。アルバムが楽しみになりました。

 それではこの辺で今週の5、6枚お開きとさせていただきます。皆様食あたりには十分ご注意を。来週もお楽しみに!

●今回紹介したディスクはこちら↓で購入することが可能です
1. CSS
『Donkey』

2. Pop Levi
『Never Never Love』
3. Double Famous
『DOUBLE FAMOUS』


4. 新垣結衣
“Make my day”

5. SCOTT MURPHY『Guilty Pleasures II』
6. DatA
“Rapture EP”

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