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キリンジ

2008/03/12

●いつかは別名義でカントリー・アルバムを作ってみたいと思ってます

キリンジ“Lulluby”(『DODECAGON』収録曲)プロモ・クリップ

――でも、新しい音楽と同じことをまんまやることってないですよね?

高樹 できないんですけど(笑)。そう思うと、ダフト・パンクなんかははじめからレイドバックした感じやヴィンテージ感があったから残ったんでしょうね。あのファーストは今聴いても平気でしょ?

――そうですね。あれもリリースされて10年経ちましたけど。キリンジもメジャーデビュー10周年ですよね。当時から完成されたと良く言われていましたが、実際に今振り返ってみてファースト・アルバムをどう思っていますか?

泰行 そんな言われるほど完成してないよね。アイディアががさつなところもあるし、歌詞やメロディの面でつたないところが一杯あるんです。頭でっかちな感じもするし。最近の曲のほうが凝った展開をしていても利にかなった展開をしていますからね。

高樹 ファーストは冨田さんの影響がすごく大きかったですね。当時は、思ったことを全部やらなきゃと思っていたから、今聴くとアレンジの面で「これいらないんじゃない?」と思うところは結構あります(笑)。

泰行 アレンジは冨田さんと我々が一緒にやってたんですけど、こちらのリクエストを冨田さんが一緒に面白がってくれたのが良かったですね。他の人に話したら「これ、どうなの?」って思うようなことも冨田さんは聞いてくれる人でしたし。

――ファーストは未熟な部分があったとしても、愛着に近い聴かれ方をしている作品だと自分は思っています。

高樹 どうなんですかね、僕はそういうのないですけど(笑)。きっと、多感な時期に聴いてくれたファンが多かったんじゃないですかね。多感といっても20代のリスナーが多かったと思うんですけど(笑)。リスナーの思い出も込みで聴かれているような気はしますね。

――以前リリースされたソロ作についてもお伺いします。あれは、お二人の趣味性を発揮するためにリリースされたのかと思っていたのですが、聴いてみたらそうでもなかったりして。今振り返って、どういった位置づけをされていますか?

高樹 泰行の場合は、よりパーソナルな表現だったと思うんですけど、僕は暇だったんでセッション・バンドでもやるか、みたいな感じで特に方針がなかったんです。キリンジが次にどう動くかの試みの場所っていうか。家で試行錯誤するのもいいんですけど、それだとお客さんが楽しめないから。

泰行 音楽的な趣味性はあんまりなかったですね。それまでも好きなことはやれていたんで。ソロだから思いっきりカントリーをやろう、みたいな発想もないし。位置づけとしては、キリンジでは兄と僕の方向性が折衷された音楽なので、もっと丸々1枚自分の音楽で満たされているものを作りたかった。ただ、できあがったものが自分の目指していたところに落とし込まれているかというと、そうでもない(笑)。僕的には、お互いのソロと『DODECAGON』は一連の流れで、それがあったからなんとなくもがいていたことが形にできるようになった感じはしています。

――形にできるようになったのは、セルフ・プロデュースを経たことが大きいのでしょうか?

泰行 それも大きいですね。今までは、サウンドとかアレンジの面で、「このレコードのこの音がいい」という理由で過去にあった音楽に近づけるような作り方をしてきたんですけれど、ソロのタイミングからそれを辞めることができた。まず曲があって、リズムを組み立てていく作り方のコツを把握するようになったんです。それまでは、ミックスとかアレンジの作業中に、ほかの人のCDを山ほど積んでいたんですけど、今はそれもない。

――キリンジのイメージからちょっとはみ出したものを作りたいという欲求はないんでしょうか?

キリンジ“ロマンティック街道”(『DODECAGON』収録曲)プロモ・クリップ

高樹 そういうことをやってみても、「キリンジじゃん」って言われちゃうんです(笑)。いつもと違うって言われたのは“ロマンティック街道”くらいですから。でも、いつかは別名義でカントリー・アルバムを作ろうと思ってます。もうバンド名もある程度決めてあって〈グラノーラ・ボーイズ(Granola Boys)〉、もしくは頭になにか付けて〈○○グラノーラ・ボーイズ〉。アルバム名は『Granola Boys Goes To ○○』っていうのにしようかと(笑)。とにかく、カントリーだけで統一したアルバムをいつか作りたいですね。

(2008.02.06 六本木コロムビアにて)

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