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井口啓子の西日本ロック紀行

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No.282 それは甘酸っぱく奇妙な……アナタキコウの『きい ちご』

2011/04/28

Text: 井口啓子(SUPER!)

 かれこれ2年前、ANATAKIKOUから北條真規(ツイン・ボーカル&ギターの一方でソングライティングも手掛ける)が脱退した――と聞いたときは、もうANATAKIKOUじゃなくなっちゃうんじゃないの!?と大いに驚き、不安にもなった。が、2人編成となったANATAKIKOUから届けられた3年半ぶりのアルバム『きい ちご』は、そんな懸念を吹き飛ばす、豊潤な一枚。

ちなみに、『きい ちご』の〈い〉と〈ち〉の間には、意味深なスペースがアリ。これは彼らお得意の〈奇異〉な言葉遊びか、はたまた、深~いメッセージが隠されているのか。妄想を膨らませるべし!

 甘く透明な歌声と美しいメロディー、緻密かつレトリカルなアレンジ――といったANATAKIKOUらしさはそのままに、ゲスト・メンバーとしてキーボードの藤井学(MaNHATTAN、ex.THE MICETEETH)が加わったことで、よりカラフルでダイナミックなサウンドへと進化。揺れ動くセンチな感情をライヴな情景&サウンドで綴った“ぼんやり、雨”、チープで煌びやかなディスコティック・サウンドとニューウェイヴなギターがたまらない“RUNAWAYFROM”。〈ANATAKIKOU第5の楽器〉というべきコーラス・ワークもますます凝りまくり、冴えまくり。“アニマルがマニュアル”(ってタイトルも!)の「もやもやどんどん、もやもやどんどん」のコーラスには、唖然としてしまった。

 一歩間違えばダサダサになる、ギリギリのところを絶妙なバランスで持ちこたえ、華麗なカーブ/変化球で魅せる。そんなワクワク・ゾクゾク感、こう来たか!感こそ、ポップスの醍醐。どこか昭和の歌謡曲を彷彿させる〈いなたさ〉と80's的近未来な〈モダンさ〉を併せ持つANATAKIKOUの『きい ちご』は、甘酸っぱく、口当たりはいいが、一度ハマるとやめられない中毒性あり。キリンジカーネーションといった〈高品質かつヒネリの効いた日本語ポップス〉好きは、ぜひお試しあれ。

〈『アナタとわたしのいけない十年愛』~5thアルバム『きいちご』レコ発&10周年記念ツアー!~〉
5月15日(日)名古屋APOLLO THEATER
GUEST:八十八ヶ所巡礼、thebrooch
開場/開演:17:30/18:00
料金:前売2,500円、当日3,000円(別途ドリンク代)
問い合わせ:APOLLO THEATER(052-261-5308)
URL:http://www.diamond-hall.com/apollotheater/

5月22日(日)渋谷O-nest
開場/開演:18:30/19:00
料金:前売2,800円、当日3,300(別途ドリンク代)
問い合わせ:O-nest(03-3462-4420)
URL:http://www.shibuya-o.com/o-nest.html

5月27日(金)東心斎橋JANUS
開場/開演:18:30/19:00
料金:前売2,800円、当日3,300(別途ドリンク代)
問い合わせ:Music Club JANUS(06-6214-7255)
URL:http://musicclubjanus.com/

・ANATAKIKOUの作品を紹介
3月16日にリリースされた『きい ちご』
200年作『YELLOW MATADOR』
ANATAKIKOU『Message Pie』
2006年作『Message Pie』

ANATAKIKOU『sweet montage A』
2005年作『sweet montage A』

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