No.78
2005/12/20 | タグ:AUX
京大の百万遍交差点の南東角の石垣前で土日をのぞく毎日、昼食時に自作の玄米弁当を売っている一人の男がいる。その男の名は森島映。玄米のお弁当なんて今どき珍しくもないが、彼がフツーの弁当屋と違うのは、その弁当に漏れなく〈いしがき新聞〉という日刊のフリーペーパーが付いてくる(というか、その新聞が弁当の包み紙を兼ねているという有無をいわさぬ配布方法)ところ。
私が初めて弁当を買いに行った日の〈いしがき新聞〉の話題は、マヤ暦と宇宙について。むむ、これは弁当屋の姿を借りたなんかの布教活動……? と一瞬、ひるみましたが、森島さんは、もともとはラーメン屋に勤務し、「穀物はラーメンかアルコールで摂取すべし」というジャンクな思想だったのが、身体を壊したのをキッカケにある日、ベジタリアンになろうと思いたち、玄米弁当の販売に至る――という経歴の持ち主。その極端な生き様は、スピリチュアル系というよりは、むしろパンクを想起させるわけで、私自身、すっかりシビれてしまった次第なのです。
「ここはステージでライヴですから、毎日ゴハン炊いてる間に思いついたことを筆ペンでガーッと書いて、直前にコピーして折り込んでる」という、いしがき新聞。その味わいは音楽に喩えるなら、即興ギター弾き語り? 味噌汁の覚醒効果について、自らの体験を基に考察した「味噌汁はドラッグだ」といったユニーク極まりない思想も、彼の玄米弁当(味噌汁付き)を食しながら読むと、ミョーに納得できるから侮れません。
そして、ココからが本題。森島さんはAUXというバンドをやっていて、それがニール・ヤング×喫茶ロックな趣きで、噛みしめるほどにしみじみカッコイイ。市井の生活に根ざした揺るぎない言葉とサウンド。そして、そこからポンと飛躍してみせるストレンジな味わいは名古屋のGUIROにも近い感じ。ライヴは地元限定ですが、自主制作音源は直接メールで連絡すれば通販できるハズ。〈オーガニック・グルーヴ〉なんて言葉ではくくれない、地育ちの有機ロック。ひと手間を惜しまず、ぜひ入手してみてください。
AUXのCDを紹介
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