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井口啓子の西日本ロック紀行

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No.260 愛と罪と謎を歌う魅惑のガールズ・サイケ、ファンシーナムナム

2010/06/23 | タグ:

Text: 井口啓子(SUPER!)

 いや~、すんごいものを見てしまった……。

 と、まるでお化けにでも遭遇したように誰かれ構わず吹聴したくなる映像がこちら。もっか高円寺界隈で(?)話題のガールズ・バンド、ファンシーナムナムの6月9日新宿motionでのライヴの模様です。

 バンド名(がまた最高!)だけ聞くと、いかにも60年代趣味満開のロウファイかつキュートなガールズ・ガレージぽいが、そんな妄想で鼻の下を伸ばしてたら、演奏が始まった瞬間、蟻地獄の底に突き落とされること必至。独創的なフレーズを繰り出すファズ・ギター、不穏なフレーズを反復するベース、ゲイリー芦屋氏が梶芽衣子“恨み節”をリクエストしたのもさもありなん……なドライな情念渦巻くヴォーカル。で、「恋の話をきかせて~」「今日は晴れるかい? 幸せなこと なにかいいことあるかい?」と歌うのだ。

 メンバーはまだ大学を卒業したばかりだが相当の音楽好きで、サイケ、ガレージ・パンクからインド音楽まで、マニアックな片鱗を散りばめながらも〈物真似〉の範疇をポンと超えてみせるオリジナリティーがオーバー・フォティ―ズをも「おもしろい」と夢中にさせてしまうユエン。間奏のインプロなんか、ほとんどプログレ。でATG映画のなかに出てきそうなリアル昭和なルックスもあいまって、早くも凄みすら感じさせる存在感があるが(映像作家であり、元・天井桟敷メンバー萩原朔美さんもライヴを観て賞賛したとか)、同時に歌謡曲的なキャッチーさも併せもつバランスも素敵。

 他人の夢に引きずりこまれそうな禍々しくも甘美な快感に満ちたサウンド、“深海宇宙論”“多次元の崖から”なんてタイトルに象徴されるパラドキシカルな詩世界は、ゆらゆら帝国の『しびれ』あたりが好きな人なら絶対ハマるはず。

 この夏には、インディーズ・フェスの2大巨頭、〈円盤ジャンボリー〉と〈ぐるぐる回る2010〉への出演が決定。聞けば、まだ音源化されてないキャッチーな曲も多数あるそうで、まだまだ未知数なバンドだけに今のうちに、ぜひチェックを!

ファンシーナムナム オフィシャルサイト
・文中に登場したアーティストの作品を紹介
2009年にリリースされたファンシーナムナムの初アルバム『迷宮としての世界』。オフィシャルサイトなどで販売
ゆらゆら帝国の2003年作『ゆらゆら帝国のしびれ』

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