No.259 シュワッとクセになる、三輪二郎の『レモンサワー』
2010/06/09 | タグ:三輪二郎 川本真琴 豊田道倫
〈ゼロ世代フォーク〉とか〈横浜のヤング・ブルースマン〉とか、それっぽいキャッチ・コピーはあるんだけれど、あえて単純に〈ポップソング〉と呼んでしまいたい。三輪二郎のセカンド・アルバム『レモンサワー』は、そんなヌケのいいナンバーがずらり並んだ本命盤!
全10曲がギター弾き語りによるレコーディング。歌とギターだけというストイックな構成が、むしろが素朴で飄々とした彼の持ち味を際立たせ、意外なほどカラフルで豊かな表情が次々と顔をのぞかせる。前作『おはよう おやすみ』のアヴァンギャルドなはちみつぱい的バンド・サウンドも素晴らしかったけれど、こんなにポップな素養のある人だったんだ、と改めて感心。
なんでもない若者の日常を唄いながら、そこはかとなく浮世離れした三輪二郎の歌世界は、世の中を斜めに眺めながらもあたたかで、どこまでも自由だ。あの豊田道倫がプロデュ―スということも大きいのだろう。ギターとヴォーカルの音色が色っぽい艶やかさとカラッと乾いた空気感を同時に漂わせ、映し出される情景は以前と変わらないのだが、よりレンズの精度が上って、ぐっとピントが絞られた感じ。特にギターの鳴りの良さは、ちょっと日本のレコードじゃないみたいだ。
70年代から抜け出してきたような風貌もあいまって、デビュー当初から時空の壁をぐにゃりと突き破ってきたような年代不詳の存在感を放っていた彼だが、今作ではもはや往年のスタンダードを聴いてるような錯覚すら抱かせる。突出した個性による私的な音楽というものは、時として息苦しさを感じさせるけれど、三輪二郎のただ風がプーッと吹いてるような佇まいはなんとも心地良く、実は過激。
シュワッと口当たりは軽いけど、二杯、三杯とクセになる。なるほど『レモンサワー』とは、言い得て妙の中毒的ポップ、なのです。
・三輪二郎 オフィシャルサイト・文中に登場したアーティストの作品を紹介
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