No.248 キツネの嫁入りに〈京都っぽさ〉という妖怪の正体を見た
2010/01/06 | タグ:キツネの嫁入り
離れてみて、初めてそのかけがえのなさに気づく――といえば、よくあるラヴソングのワンフレーズみたいだけれど、私にとって京都の音楽は、まさにそんな存在。これまで京都の音楽の特殊性をよその人に熱く語られても、実はリアルにはピンときてなかったのだが、最近はさまざまなシーンで「これって京都っぽいな~」と感嘆してしまうことが多々ある。国際的な観光都市であり、学生の街である京都の音楽の〈オリジナリティー〉や〈旨味〉とは、四方を山に囲まれた盆地でさまざまな異文化が淘汰されないまま混沌とまじり合い、じわじわと時間をかけて熟成された結果のものであり、よくいわれる〈はんなり〉とか〈洗練〉とは真逆の、むしろ天下一品のスープのごとくディ―プで泥くさいものなのだ。
キツネの嫁入りは、そんな〈京都っぽさ〉強烈に感じさせるバンドだ。
ギューンカセットからリリースされたファースト・アルバム『いつもの通りの世界の終わり。』の1曲目“世界の逆”を聴いた瞬間は、アコーディオンやジャンベが彩るゴキゲンなニューオーリンズ風サウンドと裏声で気持ちよさそうに唄うヴォーカル・スタイルに、すわ、BO GUMBOS!? となったが、そのまま聴き進めてみれば、和の哀愁ただようキャバレー・ミュージックあり、ドラジビュスを思わせるトイ・ポップあり、変拍子が不穏さを駆り立てるノーウェイヴあり。国境はおろか、虚実の皮膜をたゆたうような無国籍で幽玄なサウンドに身を任せていると、いつしか音楽の世界の住人になっていた自分に気づいたり。
普段は木屋町のライヴハウス、アバンギルドを拠点に活動しているという彼ら。同じくアバンギルド一派である、mama!milk、ふちがみとふなと、長谷川健一、かえる目……といったアーティストは、いずれも1アーティスト1ジャンルといった強烈な世界観を形成しながらも、共通した〈京都っぽさ〉を放っている。魔窟都市という決まり文句もまんざら外してない、〈あなたの知らない京都〉がまだまだあるのだ。
2月21日には京都shin-biにて、わが愛する図書館(from東京)との共演ライヴがあり。果たしてどんな結界を開いてくれるのか、今から楽しみです。
・キツネの嫁入り オフィシャルサイト・文中に登場したアーティストの作品を紹介
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