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井口啓子の西日本ロック紀行

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No.230 ゲリラ的・音楽情報メディアの新星「紙のおとうた通信」

2009/04/21 | タグ:

Text: 井口啓子(SUPER!)

 難波の〈蒼月書房〉でおもしろいフリーペーパーを見つけました。「紙のおとうた通信」創刊号。関西のオルタナティヴなライヴやイベントの情報サイト〈おとうた通信〉のペーパー版だそうで、A6版8面のうち表紙と奥付とマンガをのぞく全紙面にわたって小さな文字で情報がギッシリと羅列されている。

創刊号は、neco眠るのジャケットでおなじみ、鈴木裕之さんのイラストが目印。今後、月イチ発行で『蒼月書房』以外にも、それっぽい場所にいけば手に入るはずですが、定期購読もアリ。詳細は本家にあたるサイト〈おとうた通信〉を。

 ラインナップは完全に編集発行人の吉田雅生さんという方の個人的趣味なのでしょう。フェスからインストアライヴまで、ネットでは膨大な告知情報に埋もれがちな情報を偏りつつもバラエティ豊かにピックアップ。カレンダー形式で見やすくまとめてくれてるので、今日はヒマだしなんか観たいなあ……なんて時にパッと開いて、パッと確認できるのが近しい趣味の人間には嬉しいかぎり。あえて解説は入れずデータのみ、という構成も引っ掛かったらいつでもググれる時代には、かえって親切かも。

 創刊の言葉によると、吉田さんはもともと「面白そうなイベントは外に出れば山ほど転がっているのに、お金はそんなにないし、体もひとつしかない。それなら、せめてこの情報を発信して、誰かに代わりに行ってもらおう」と本家の〈おとうた通信〉を始めたそうで、なんて奇特……、いや、シンプルな動機なんだと目からウロコ。これもひとつのワークシェアリングとゆーか。現代のブログ社会では、情報を発信すること=自己表現と錯覚しがちだったりするけど、〈おとうた通信〉の情報へのスタンスは奇跡的なまでにヘルシーかつ根源的。これを作ってるのが、二十代の若者(と思われる)というのは、いろんな意味で興味深いです。

 情報が氾濫する時代に、しかもわざわざタダの紙媒体で――だからこその意義や可能性を久々に実感させてくれるメディア。ライヴ情報以外の編集長雑感もピリリと効いてるので、データ以外の記事にも期待です。

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