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井口啓子の西日本ロック紀行

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No.228 壊れかけのテープレコーダーズの嬉しい裏切り

2009/03/25 | タグ:

Text: 井口啓子(SUPER!)

 先日、久々にカセットテープを再生してみたら、テープが伸びてて、ゴキゲンな歌謡曲のハズが、すっかりホラーな世界に……。大切なものだったので愕然としつつ、それにしても、この「現実には存在しないものが鳴ってるカンジ」にはハッとさせられるものがあり、なるほど音楽とは時間を超えてしまうものなのね、と再確認した次第でした。

壊れかけのテープレコーダーズ ライヴ映像

 壊れかけのテープレコーダーズもまた、文字通り、そんなことを思い起こさせてくれるバンド。

 その記念すべきファースト・アルバム『聴こえる』(ってタイトル最高!)は、最初の一音で聴く人を異次元に引きずり込む磁場を孕んでいる。裸のラリーズ直系の轟音サイケデリックかと思いきや、次第にガレージな疾走を描き出す“記念日”。

 渚にてを彷彿させる男女双頭ヴォ―カルによる危ういほどにイノセントなうたもの“カメラを持った少女”、ドアーズ風キーボードからジャックスな暗黒歌謡、初期ゆら帝なアングラ・サイケへと様相を変えてゆく“蝶番をこじあじけろ”、ベルベッツ・ライクな“無人の遊園地”。

『聴こえる』ジャケット画像。三輪二郎と今からやまのぼり、前野健太を輩出した注目のレーベル、ハヤシライス・レコードの第3弾作品です

 そしてフィル・スペクターばりのカラフルでドリーミーなポップ・ソング“すべてを白紙に”など、〈いかにもな感じ〉かと思いきや、どっこい、嬉しい裏切りに満ちた全7曲。

 世代的にはゆらゆら帝国チルドレンと言ってもいいのでしょうが(いや、言ったらアカンのでしょうが……)、そのテのバンドからは突出した個性を感じさせる。〈現代のジャックス〉というコピーに、今さらええかな……と感じる人にこそ、聴いて欲しい一枚です。


・文中に登場したアーティストの作品を紹介
2月20日にリリースされた、壊れかけのテープレコーダーズのファースト・アルバム『聴こえる』
68年にリリースされた、ジャックスのファースト・アルバム『ジャックスの世界』
2月8日にリリースされた、三輪二郎といまから山のぼりのアルバム『おはよう おやすみ』
1月23日にリリースされた、前野健太のアルバム『さみしいだけ』

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