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井口啓子の西日本ロック紀行

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No.203 強烈な存在感を放つシンガー、三村京子

2008/06/03 | タグ:

Text: 井口啓子(SUPER!)

 デザイナー/アーティストの小田島等さんから「アルバムのジャケットワークをやらせてもらったんだけど、すごくいいから」との紹介で送っていただいたCDがこちら。

三村京子『東京では少女歌手なんて』
◇昭和のグラビアを彷彿させる「少女アリス」なポートレイトに赤いグラデーションが不穏なポップさを醸し出すジャケに、小田島等さんのセンスが炸裂。この顔で『東京では少女歌手なんて』と言われた日にゃー、ノックアウトですよ。

 円盤~オフノート周辺で活躍するシンガー・ソングライター、三村京子さん。深い闇をゆらゆらと揺らぎ泳ぐようなギターのつま弾き。ポートレイトからは想像できない、凄みすら感じさせる醒めた歌声と話し声のような自然かつ堂々たる歌いっぷりに、冒頭からのけぞりつつ、するりと引き込まれてしまった。

 サウンドプロデュ―スは、ふちがみとふなとのコントラバス奏者、船戸博史さん。他にも〈俺はこんなもんじゃない〉のあだち麗三郎(ドラム)や吉田悠樹といった名プレイヤーが脇を固めていて、三村さんの歌声を最大限に生かすべく、緻密に計算されたシンプルかつビミョーな匙加減の緻密に生音が素晴らしい。

 70年代フォークの定型のようなメランコリックなメロディは、次第にケルティック・フォークのように、はたまた演歌のように、次々に表情を変えてゆく。その上で紡ぎだされる「証文を手にもって 母親を取りに行く 銃剣を背に負って 屍を取りに行く」(“母親を取り返しに”)、「世界は狂ってる 石油といくつかの宗教で 世界は狂ってる 宣伝と幾つかの欲望で たくさんの女たちが泣く あした着てゆくドレスがないと」(“月が赤く満ちる時”)といったギョッとするフレーズの数々は、彼女と阿部嘉昭氏(評論家で立教大特任教授の方らしい)のコラボレートによるもの。アングラ演劇のようで不思議なポップさも感じさせる、前衛性と叙情性のバランスも絶妙です。

 ノスタルジックなようで、ハッとするような〈新しさ〉を感じさせる辺りも含めて、「ちょっとスラップ・ハッピーみたいなんだよ」という小田島さんの言葉に、深く同意。安息と不安を同時に掻き立てる〈現代の子守唄〉。今、最もライヴを見てみたい人のひとりです。

・三村京子の関連作品を紹介
4月にリリースされた三村京子のアルバム『東京では少女歌手なんて』
05年にリリースされた三村京子のアルバム『三毛猫色の煙を吐いてあなたは暮らすけど 私は真夜中過ぎの月の青さのような味の珈琲を一杯』

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