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井口啓子の西日本ロック紀行

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No.202 大阪オルタナティヴのDNAを受け継ぐ新世代〈蒼月書房〉

2008/05/28

Text: 井口啓子(SUPER!)

 ある日、恒例の日本橋オタロード・パトロールから帰ってきた旦那が「おもろい店見つけた」と興奮しながら教えてくれたのが〈蒼月書房(アオツキショボウ)〉。古本を中心にCDやレコードも扱うショップで、ぜひとも行きたい……と思いつつ、ようやく足を運んだのが数ヶ月後の今日。いやはや、想像以上にものすごい店でした。

蒼月書房

 中に入ると、まずカウンターの後ろに飾られたゲルニカ、水木しげる、ジョン・サイモン……などのレア盤が目に飛び込んでくる。本棚には60年代~現代のコミックにロック~現代音楽、サブカルチャー書籍、写真集などが並び、靴を脱いで階段をのぼった二階には、昭和初期の幻想文学~J文学、国内外の絵本やヴィジュアルブック、料理や手芸など暮らしにまつわる本棚まで、さらに多彩な世界が展開されている。

 ビンテージに限らず、「あ、そういやこれ買いそびれてた」的距離感の比較的新しいものが手頃な価格でちゃんと並んでいるのがミソ。かと思えば、アフターディナーのアナログ4色と当時に配布されたシルクスクリーンの葉書(フォーエヴァーレコードの東瀬戸さんから噂を聞き、来店したDr.ウツノミアから直々に頂戴したとか)がさりげに飾ってあるからビックリなのだ。

蒼月書房

 聞けば、店主の金本さんはまだ27歳。生まれも育ちも日本橋で、三人の兄の影響で〈ベアーズ〉、〈精神解放ノ為ノ音楽〉、〈Oh!MORO〉、〈花形文化通信〉……といった大阪ニューウェイブ~オルタナティヴの洗練を自然に受けて、今に至ると話す。

 それでいて、古い民家を改造した空間に蒼い絨毯を敷き詰め、ウッディな家具を配した空間は古本乙女~『Ku:nel』女子のツボも突いた居心地のよさ。そのゼツミョーなバランス感覚は、やはりヒップホップ世代というか? 掘り出し物をゲットしたら、二階のカフェスペースでスラップハッピーなんぞ聴きながら、金本さんお手製のタルトと珈琲でひとやすみ。オタクでありバンド系でもあり文系女子でもあり、そのいずれでもない私のような中間人間にジャストフィットな、久々に店に足を運ぶ楽しさを実感させてくれる憩いのスポットです。

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