No.193 ロック・ファンをシビれさす、男宇宙なエッセイ×2
2008/03/25 | タグ:山本精一 松田優作 萩原健一
なにかと健康重視の薄味が好まれる近ごろですが、久々に味覚障害を起こしそうなぐらいに過剰なコクのある新刊書に出逢いました。ショーケンこと萩原健一の自叙伝「ショーケン」と、ご存じ、山本精一さんのエッセイ集「ゆん」。
「ショーケン」に関しては、もう存在自体が好きなもので、そこに何が書かれてあろうが個人的にはオッケーだったりもするのですが、なかなかどうして、まだまだ現役な〈かっこいいキチガイ〉っぷりに大興奮。テンプターズ時代のセックス&ドラッグ&ロックンロールな日々からPYGの結成と脱退、そして「約束」をきっかけに本格的に俳優の道を歩み、いろいろあって(ありすぎて)現在に至るまで――。84年に出版された「俺の人生どっかおかしい」では明かされていなかった「太陽に吠えろ」、「傷だらけの天使」、「前略おふくろ様」といった名作群や映画監督たちとの知られざるエピソ―ドが語られているのが嬉しい。
実は元妻のいしだあゆみは離婚届どころか婚姻届すら提出していなかったとか、倍賞美津子さんと正式にお付き合いしたのは彼女がアントニオ猪木さんと離婚してからだとか、気になる女性絡みのあれこれも満載。フツーなら下世話極まりない〈暴露本〉まがいのネタも、ショーケンが語ると〈伝説〉になるわけです。
映画「ブラックレイン」が当初はショーケン、勝新太郎、藤山寛美……といった面々にオファーが来ていたという話には、びっくり。もし、これが実現していたらば、ショーケンの現在も少しは違っていたのかも。
ま、いくら「松田優作は俺の真似ばっかりしてた」とショーケンが言ったところで、今の若者は「あ、ドラびでおのネタになってたキチガイがまたなんか言ってる」ぐらいにしか思わないんだろうな~と、思ってしまう自分がちょっぴり悲しいが、この本をキッカケに彼の諸作品を辿ってみれば、その言葉が決してウソではないことが確認できるハズ。やっかいな持病を抱えながらも、現在も復帰に向けて身体を鍛えてがんばってるというショーケンは、「Too Old to Rock'n'roll too young to die」という言葉が日本で今、もっとも似合う人だと思います。
思わず、アツクなってしまった……。さて、「ゆん」の方は前作の「ギンガ」同様、ギターマガジンの連載を主に収録したもの。相変わらず、氏の奇妙な日々の出来事、雑念、妄想……などなどが淡々とした口調で綴られている。そのウソとマコトの間をゆきかう、シュールですっとぼけた可笑しみ漂う、浅いような深いようなテセラック的超次元世界は、彼のソロアルバム『なぞなぞ』と確かにコネクトしている。意味性を超えて、脳を刺激してくる文字群。これは文章というより、もはや電波なのだ。
ちなみに、最近では画家としてもご活躍の山本さん。東京では「ゆん」の発売を記念した個展〈画展〉が開催中(→ 詳細はこちら)。関連イベントも多数あり。山本宇宙の神秘に迫るチャンスです。
・文中に登場したアーティストの作品を紹介
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