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井口啓子の西日本ロック紀行

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No.180 彼岸のベッドルーム・マガジン「スウィ―ト・ドリームス」創刊

2007/12/18 | タグ:

Text: 井口啓子(SUPER!)

 最近、本屋に行っても音楽雑誌のコーナーをスルーしてしまっている……。そんな方にあえてオススメしてみたいのが「スウィ―ト・ドリームス」。あの「map」の編集者でライターの福田教雄さんが新たに創刊した雑誌です。

スウィ―ト・ドリームス
933円+税で手に入る、未知への扉。クリスマスの季節らしい素敵な表紙画は切り絵作家のニキ・マクルーア。B6版128Pで中身はALLモノクロ印刷です。

 まずコンテンツを見ると、ヴィンセント・ベルタラ・ジェイン・オニール、トム・グリーンウッド、ジュヌヴィーエイヴ・カストレイ……といった未知の固有名詞がズラリ。日本人で登場するアーティストといえば、小田島等×細野しんいちのとベストミュージックと名古屋のteasiぐらい……。

 これといったコンセプトもテーマもなく、個々の記事やドローイングにもなんの脈絡もない。にも関わらず(だからこそ?)、雑誌全体からまるで一人の人間の顔が浮かんでくるような親密な空気は、まさにミニコミやファンジンならではのもの。やっぱり雑誌ってバンドと似ていて、どれだけ多くの人が参加していても、全部でひとつの人格、みたいなところがあるのかもしれない。ましてや、リトルマガジンの読者になることは、ほとんど恋愛に近いわけで……。本来なら箸にも引っ掛からないようなモノに、この人が好いっていうなら……と興味を抱いてしまうのも、また楽し。

 特筆すべきは、一部で伝説化しているシンガー・ソングライター、ジャンデックの40ページにも及ぶ大特集。私自身、『songs in the key of Z』で名前だけ知ってたぐらいの人でしたが、いい意味で虚実入り乱れた、まるで都市伝説を語るような独特の語り口にがぜん興味をそそられてしまった。(なんたって、記事のタイトルが「まるでそこにいないような……」だ!) 音楽雑誌というよりは音楽にまつわるエッセイ集みたいな感じ? USインディ系のカルチャーに興味がない人も、ぜひ手に取ってみてください。

 個人誌といえば、佐々木敦さんの新雑誌「ex-po」もいよいよ今月20日に発売(→ 詳しくはこちら)。こちらは各界の豪華クリエイターが集った全カラー印刷によるレッキとした「商業誌」ですが、コンテンツを見ただけでも、かなり刺激的なブツのよう。あわせて要チェックです。

・文中に登場した作品を紹介
スウィ―ト・ドリームス
12月に発売された音楽雑誌「スウィ―ト・ドリームス」
2001年にリリースされた、アウトサイダー・ミュージックのコンピ『songs in the key of Z』
06年にリリースされた、タラ・ジェイン・オニールのアルバム『In Circles』

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