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井口啓子の西日本ロック紀行

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No.176 京都の〈ハセケン〉こと長谷川健一を知ってるかい?

2007/11/20 | タグ:

Text: 井口啓子(SUPER!)

 mapの小田さんのお誘いで〈ハセケン〉こと、長谷川健一さんのライヴに行ってきました。今週22日にmapのレーベル、compare noteから2枚同時発売となるアルバム『星屑』、『凍る炎』の先行レコ発。実はどんな人なのかもよく知らずに行ったのですが、始まるやいなや、ぐんぐんと引き込まれてしまった。

長谷川健一 裏ジャケ
ライヴ写真がうまく撮れなかったので、代わりにCDの裏ジャケをパチリ。アバンギルド主宰、ジローさん画の本人肖像。坊主頭に白いシャツという風貌もストイックな存在感あり

 特に変わったことを歌っているわけでもなければ、声や歌い方に目立った特徴があるわけでもない。むしろ〈当り前の衝撃〉とでもいうか。ナイーヴなようで芯の強さを感じさせる端正な歌声。落ちそうで落ちず、奇妙な起伏を描きながら浮遊するボーカルは、ちょっとティム・バックリーを彷彿させるような。その歌の臨場感には〈歌を聴く〉というよりは、まるで宙の煙や雲を眺めるような心地良さがあったのでした。

 この日は声とギターがゆっくりと溶け合ってゆくような端正な弾き語りに加え、ベース(アルバムのプロデュ―サーでもあるふちがみとふなとの船戸さん)とドラムを交えたバンド演奏もあり。破綻寸前のアヴァンギャルドなインプロヴィゼーションとも、ごく当り前に呼応してしまう辺りが、長谷川健一というシンガーソングライターの底知れなさなのでしょう。聞くところによると、彼自身、以前はゴリゴリのノイズをやっていたそう。やはりポップと前衛は表裏一体なのねと妙に納得。

 余談ですが、この日の会場の京都・アバンギルドは、もともとアンデパンダンのマスターだったジローさんが新たに始めた(といってもオープンしてもう一年以上になる?)ライヴハウス&バー。かつてのアンデパンダンのムードや精神を、木屋町の雑居ビルのワンフロアでそのまま再現した空間は、ライヴのみならず、ここで過ごした時間自体を特別なものにしてしまうマジックに満ちみちていて。その強烈な磁場に改めて感じ入ってしまった。アバンギルドみたいなハコがある京都って、やっぱり凄いと思う。

 現在のブッキングは、なんとSunday Tuninの鳥居くんが担当しているそうで、新世界ブリッジ亡き後は、大阪のアーティストも頻繁に出演しているとか。注目です。

・文中に登場したアーティストの作品を紹介
11月22日に2枚同時リリースされる長谷川健一のアルバム『星屑』
11月22日に2枚同時リリースされる長谷川健一のアルバム『凍る炎』
05年にリリースされたふちがみとふなとのアルバム『ヒーのワルツ』

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