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井口啓子の西日本ロック紀行

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No.175 未知の記憶を旅する音の玉手箱、PADOK

2007/11/13 | タグ:

Text: 井口啓子(SUPER!)

 キセル永江孝志folk enoughムジカラグーAPOGEE竹内電気といったアーティストをリリースしてきたcolla disc の元スタッフで、現在は奈良で家業を継いでいる平原小巻ちゃんから、一枚の音源が届きました。

PADOK『Populars』
PADOK『Populars』ジャケット。リリース元のMultinessRecordsは、本盤のために渡辺牧人さんと栗原小巻ちゃんが立ち上げたそう。大声で不特定多数に宣伝するより、小声で大切な人にそっとおすすめしたい。そんなレーベルです

 渡辺牧人ことPADOKの『Populars』というアルバム。過去には永田一直さんのtransonicのコンピに参加。シカゴのHIGHAL ROYNESS RECORDSからアルバムを出したこともある人らしい。

 聴いた瞬間、え、山本精一!? と耳を疑ってしまった。イヤミでなく。普段の話し声が期せずして歌になってしまったような朴訥とした佇まいは、ほとんど奇跡的。未知の記憶をまさぐるようなメランコリックで甘美なメロディ。合わせ鏡のようにシンプルでいて無限の奥行きを描き出すコーラスワーク。テープエコーのじわっと滲むような音色も、なんともいえず心地よいです(→ PADOKのMySpaceで試聴可)。

 温度や湿度や匂いや手触りなど、五感に訴えてくるトリッピン・サウンド。知られざる秘境はまだまだ存在した。そんな喜びを噛みしめたくなる、玉手箱みたいなアルバムです。

・文中に登場したアーティストの作品を紹介
11月14日にリリースされる、PADOKのミニ・アルバム『Populars』
山本精一によるバンド、羅針盤が05年にリリースしたアルバム『むすび』
山本精一が03年にリリースした、フォーク・アルバム『なぞなぞ』

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