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井口啓子の西日本ロック紀行

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No.173 京都・ザンパノで〈山本精一とサテライト神宮〉詣で

2007/10/30 | タグ:

Text: 井口啓子(SUPER!)

 東京でミニコミを作っていた知人がずいぶん前に山本精一さんにインタビューした際のこと。

山本精一 ライヴ画像
この日はMusic Start Young Assoult主宰のイベントで、他にゑでぃまぁこんも参加。会場は京都・元田中のカフェ・ザンパノ。おいしいごはんとお酒でぶらりライヴが楽しめる、京都らしいいいお店でした。演奏中の窓の外を叡山電鉄の路面電車がガタゴトと走り抜けてゆくのも雰囲気。

 肩書きに〈詩人〉と記した彼の名刺を見て、山本さんは「詩人ですか、すごいですねー」としきりに感心していたとか。確かに、そりゃいましろたかし「デメキング」のヘルメットの〈天才〉にも匹敵するわなー。その場の光景が目に浮かぶようで、地味ながらも妙に印象に残っているエピソードである。

 そんな(?)山本精一さんのライヴを先日、京都で久々に観ました。この日は羅針盤のメンバーでギューンカセットのオーナーでもある須原敬三さんとのユニット〈山本精一とサテライト神宮〉名義での出演。

 あの幽体離脱した魂みたいに透明な歌声で、〈宇宙〉や〈生命〉の謎に迫らんとばかりにぽつぽつと、言葉を宙に放ってゆく山本さん。ごく平易な語彙とメロディーで綴られたその世界は、意味深でもあり空虚な言葉遊びのようでもあり、哲学や予言の書を読むようであると同時に、小学生の作文や自称詩人のエンピツの走り書きを読むようでもあり……。それをそっと支える、須原さんのベースの〈夫婦感〉も素晴らしく、限りなく正統派のフォークなようで、やっぱり唯一無比なのでした。

 ちなみに、ご一緒していたモダンジュースの近代ナリコさんは「私、あれをみんなが真剣に聴いてる空気が苦手」みたいなことをバッサリ言ってました(これだから彼女は信頼できる)。人前でなにかをする。その行為自体は自分で名刺に詩人と記し、天才と書いたヘルメットを被ることと何ら変わりはないのかもしれません。ただ〈音楽の奇跡〉はその滑稽さと常に背中合わせにあるわけで、それが実は人為的な〈手品〉であったとしても、私は奇跡のロマンに酔いたい。

 とにかく、このユニット。年内は〈山本精一とポックリ寺

〉、〈山本精一と霊〉と名前を変え、来年からは固定名で本格的に活動するそうで、山本精一さんの幾多のユニットのなかでも最コアになりそうな予感です。
・山本精一が関わった作品を紹介
山本精一が参加した、ハイテクノロジー・スーサイドのトリビュート盤『HAVE A NICE DIE!ハイテクノロジー・スーサイド・トリビュート』
山本精一が手がけた、オムニバス・アニメーション「TOKYO LOOP」のサントラ『「TOKYO LOOP」サウンドトラック』
山本精一が“Insect Collector”のカヴァーで参加した、『少年ナイフ・トリビュート フォーク&スプーン』

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