〈FUJI ROCK FESTIVAL '09〉ベスト・アクト・レポート
2009/10/04 | タグ:ANIMAL COLLECTIVE LILY ALLEN THE INSPECTOR CLUZO
先日の座談会レポートに続いて、今回はライター陣による〈FUJI ROCK FESTIVAL '09〉のライヴ・レポートをお届け。各人が選んだベスト・アクトのパフォーマンスについて綴っていただきました!
●LILY ALLEN @ GREEN STAGE 7月24日(金)15:50~
〈グラストンベリー〉ではノーブラで胸パックリの衣装を着たり、「ID MAGAZINE」では堂々のヌードを披露したりと相変わらずお騒がせな彼女だけに、今回はどんなセクシーな格好で登場するのかと思ったら、黒&緑のアダルトなワンピに、水色のアイシャドウをビョーク or パンダのように塗った〈アヴァンギャルドなお姉さん〉風メイクで登場。大きな会場で鍛えられたのか、全身から風格が漂い、子供みたいなフリフリ服を着てピョコピョコ跳ねていた3年前とは明らかに雰囲気が違う。
曲目は新作中心になっていて、旧作の曲はダンサブルにアレンジ。前回のフジでは打ち込みで拍子抜けしたが、今回は生ドラムで放たれるグルーヴが最高に心地よく、“SMILE”の後半はバッキバキのブレイクビーツに。リリーもカオスパッドを手にし、ギュンギュンとノイズと戯れる。クネクネとした動きもセクシーで、ブリトニーのカヴァー“WOMANIZER”でステージの縁に腰掛けて脚を組むと、カメラは男性陣の欲望を代弁するかのようにパンチラを狙うが、リリーは指を口にあてて「ダメよ」という仕草。キャハハハと笑い転げたかと思えば、タバコをふかしながら「あんた達、踊りなさいよ」と上から目線で煽り、そんなSっ気溢れる奔放な振る舞いがたまらない。“FUCK YOU”のサビでは「みんなで中指を立てて!」と指示し、こんなに多くの人と中指を空に向かって突き上げたのは初体験!
そんな中指攻撃に空がビビったのか、ラストの“NOT FAIR”では奇跡が。それまでダラダラと降っていた雨がサッと止み、この日初めて太陽の光が降り注いだのだ。この瞬間、自分の中でリリーがベスト・アクトだと確信。天気も演出に加わるフジならではのひと時だった。最後にリリーは「ポール・ウェラーとオアシスも楽しんでってね」と自国の友人にエールを贈って退場。噂によると、この後は同時刻に〈RED MARQUEE〉に出ていたヴァージンズの美男ギタリストとのキスも目撃されたそうで、まったく手に負えないポップ・スターです。(田家大知)
●リリー・アレン関連作品を紹介
●THE INSPECTOR CLUZO @ ORANGE COURT 7月25日(土)13:00~
トム・モレロ、J・マスシス、ベン・ハーパー、バズ・オズボーンなどなど、いずれも一筋縄ではいかないギター・ヒーローをごっそり揃えたラインナップが印象的だった今年のフジ。しかし!この夏最高にヘヴィ&グルーヴィーなサウンドが、たった2人のフランス人によって轟かされようとは、誰も予想できなかったはず。
まさかの番狂わせを巻き起こしてくれた彼らの名は、インスペクター・クルーゾ。ほぼアンプ直で鳴らされる粗っぽいギターとストイックなドラムから、初期ファンカデリックのうねりをハードコアの勢いに乗せたかのような反則的にかっちょいい楽曲が続々と繰り出されると、泥だらけの会場の誰もが脊髄反射で踊らざるをえない状況に。「ベーシストなんてクソくらえ!」「アメリカのメシは食い物じゃねえ!」といった怒りあふれるメッセージをぶつけたかと思いきや、本職のソウル歌手も真っ青なファルセットでスウィートなムードを演出するヴォーカルの芸達者っぷりも、多くの初見の観客を驚かせたようです。ファンをステージにあげてコーラスに参加させたり(筆者も歌いました!)と、サービス精神もばっちり。
前夜祭にて目の肥えたフジロッカーたちの心をわしづかみにし、翌日の苗場食堂のライヴでは休息をとっていたはずの食堂内のお客さんをも総立ちにさせ、そして噂が噂を呼んだオレンジ・コートでの大一番。これは何かが起こるぞ……という予感に見事応えてくれた、文句なしの熱いライヴでした。最低限のギミックで最大限のグルーヴを生み出した彼らを、今年のベスト・アクトに推したいと思います!(高橋聡太)
●インスペクター・クルーゾ関連作品を紹介
●ANIMAL COLLECTIVE @ WHITE STAGE 7月26日(日)20:30~
例えば『Feels』のディーケンがいた頃のフィジカルなステージング(みんなでタイコ乱打とかしてた)だったら、ひょっとしたらもっと野外フェスに相応しい感じで盛り上がったのかもしれない。でも、今はもう2009年でアニコレも3人になって『Merriweather Post Pavilion』という液体のような流動的な作品をリリースしている。つまり、そういうモードだということで、あえて〈フジロック〉という既存の空間に自分達を合わせていくのではなくて、純粋に音楽に集中することで自然発生的に〈アニコレ〉という目に見えない大きな磁場のようなものを発生させようとしているんだろうな、っていうのが前の方で観ていた自分には感じられて、幸いなことにその世界の中に没入することができたのだけど、〈フジ〉という割と享楽的な場から何の気なしにふらっと立ち寄った人たちには「ちょっとよくわかんないですけど」的な雰囲気を与えてしまったのかもしれない(後で伝え聞く限りでは)。
もちろん、別に彼らがサービス精神がないとかアート志向だというわけじゃなくて、ただ純粋に音楽バカで音楽そのものに献身的であろうしているだけなのだと思う。最後の方の曲で、反復するビートが流れる中、永久に続くかのようなうねうねとしたギターを一心不乱に弾き続けるエイヴィの背後に(生で観たことはないけれど)グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアの姿が重なって見えたような気がした。(佐藤一道)
●アニマル・コレクティヴ関連作品を紹介
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