FUJI ROCK FESTIVAL '08レポート その2
2008/09/18 | タグ:GRANDMASTER FLASH THE VINES
フジロックのレポート第三回目は、前回(→ こちらです、第一回目はこちら)に引き続き、各ライターが印象に残ったアクトを1本ずつ紹介いたします。掲載がものすごい遅れてしまったために、すっかりフジロックのことを忘れてしまっているような気もいたしますが、去り行く夏を惜しみながらお読みいただけましたらと思います。
●THE VINES@レッド・マーキー 7月25日(金)18:20~
本当にあのヴァインズがステージに戻ってくることが出来るのか。戻ってこられたとしても、まともにパフォーマンスをすることが出来るのか。フロントマンのクレイグ・ニコルスが精神面での重い病気を患い、抗鬱剤の副作用でブクブクに太ってしまったかつての姿を覚えている人ならば、誰もがそう思っていたに違いない。だが、そんな不安は一曲目の“Highly Evolved”が始まると同時に、ものの見事に粉砕された。タイトなアンサンブル、耳をつんざくディストーション・ギター、苛立ちにまみれたクレイグのシャウト。すべてが完璧なバランスで復活している。また、クレイグは精悍な顔つきも取り戻し、デビュー当時にまで若返ったかのようだ。
観客もそんなバンドの好調さを敏感に察し、強烈なモッシュと声援で彼らの帰還を祝福する。ハイライトとなったのは、やはり代表曲の“Get Free”。歪み切ったイントロのギター・リフが始まっただけで、フロアからは地鳴りのような歓声が起こり、最初から最後までほぼノンストップで大合唱が続くという凄まじい光景が展開された。そして最後には、いつものようにクレイグがギターやドラムを破壊。ステージにカオスを残したまま、彼らは去っていった。
誰もの予想を遥かに上回ったライブに、しばらくは言葉も出なかった。これは夢ではないのか、そんな気持ちにさえさせる、まさかの復活劇だったと言っていいだろう。今回のフジ・ロックでは、このヴァインズ然り、ベテラン組・復活組の底力を感じさせるライブが多かった。新陳代謝の速度が速い欧米の音楽シーンを追いかけていると、新人にばかり目が行きがちになってしまうが、そんな中でもサヴァイヴし続ける実力を持ったアーティストにももっと注目していくべきだろうと、改めて思わされたライブでもあった。(小林祥晴)
●ヴァインズ関連作品を紹介
●GRANDMASTER FLASH@レッド・マーキー 7月25日(金)26:00~
定刻になると、これより登場するヒップホップ・レジェンドの偉業を称える映像がモニターに映し出された。そしてブースには、その映像に合わせてスクラッチを決めまくる男が一人。「フ、フラッシュ!」と興奮しかけたが、よく見るとまったくの別人で、前説~サイドMC~次にかけるレコードを用意する係。この男と背後のムービーが御大を十二分にレペゼンしまくったところで……ついに主役のグランドマスター・フラッシュがブースに降臨。そしてターンテーブルに乗せられた1枚目のレコードは、なんとYMO“Fire Cracker”。ブロンクスで愛された日本製ブレイクビーツが鳴り渡り、レッド・マーキーにブロック・パーティーの空気が吹き込まれていく。
インクレディブル・ボンゴ・バンド“Apache”やモホークス“The Champ”といったブレイクビーツ古典。そして45キング“The 900 Number”や自身の“White Line”といったオールドスクール・ヒップホップの大名曲。それらを2枚使いで次々と繰り出していくんだから、盛り上がらないわけがない。サイドMCがいるのに、御大みずからマイクを握って煽り続けることも、フロアの気温上昇に拍車をかける。途中、「俺はロックもかけるんだぜ」とばかりにニルヴァーナをかけてみたり、ギャングスターやらア・トライブ・コールド・クエストやらの90年代ヒップホップでB-BOYの首を振らせたり、スヌープ・ドッグなどのレイドバック・タイムで若干タルい空気を醸し出したり……。75分は長いんじゃないかと思ってたが、まったく飽きさせない。そしてラストは……YMO“Fire Cracker”!日本のイメージはそれしかないのか!
とはいえ、ひたすらハッピーに始まりハッピーに終わる、最高のパーティーDJっぷりだったことは間違いない。世界中を飛び回りながら繰り広げている〈営業セット〉なんだろうとは思うが、それでいて変にこなれた感はなくて、オールドスクールならではの無骨さやいなたい匂いを、いまだプンプンと漂わせているのに感銘を受けた次第です。(澤田大輔)
































