〈フジロック '11〉座談会レポ:3日目!
〈フジロック '11〉座談会レポ:3日目!2011/08/18
言わずと知れたロック・フェスの代名詞〈FUJI ROCK FESTIVAL〉が今年も苗場にて開催されました。OOPS!ではその三日間の模様を、ライター陣との座談会形式でプレイバック! 各日ごとに三日連続で掲載致します。いよいよ最終日の3日目! 初日のレポ、2日目のレポと合わせてどうぞ~。
●3日目
高橋この日も早い時間からいろいろ見ました。朝イチのリンゴ・デススターが盛り上がってましたね。どシューゲイズなマイブラ・フォロワーという感じで、忠実にホワイトノイズとドリーミーなヴォーカルを重ねていくようなライヴでした。ベースの女の子がとてもキュートなのも良かったです。で、そこから〈RED MARQUEE〉にいってブラック・エンジェルズ。アルバムはサイケなんだけど肩に力の入ってないユルさがあって、そこが好きだったんですけど、ライヴだとファズを思いっきりかけたうるさいギターを鳴らしていて、直球のサイケでした。ここまでベタなアメリカン・ロック・バンドはほかに出てなかったんじゃないでしょうか。
原田俺はティナリウェンから観た。サハラ砂漠の遊牧民のロック・バンド。とりあえず見た目が最高なんだよね。おもしろかったのは、ギターとベースが途中で楽器を交換するんだけど、左利きのやつが右利き用の普通の楽器をそのまま弾いてて(笑)。左利き用の楽器とかそうそう手に入らないような環境でロックをやってきたんだろうな、と。
高橋(プロフィールを読む)結成は1970年代後半。リーダーのイブラヒムがまだアルジェリアに国外逃亡していた時代のことだった。その後、80年代にリビアのカダフィー大佐が革命指導を目的として作ったキャンプに入村し、はじめてエレキ・ギターと出会う……!
原田YMOは見た? ベスト盤みたいなセットだったんだね。
高橋熱心に聴いてきたわけではない僕でも知ってる曲ばかりでしたね。
小林ただ、セットリストだけみて感じるような派手な感じはなくて、すごく渋いライヴだったと思います。演奏はすごくカッコ良いんですけど。
高橋煽情的なサウンドではなかったですよね。
小林その後のアタリ・ティーンエイジ・ライオットを観たんですけど、ものすごく入ってました。Tシャツ来てる人をいっぱい見たし、あのメイクを真似してる人もいたし、熱心なファンが多いなってのが第一印象で。で、〈RED MARQUEE〉の横から入ったらフロアは大混乱でした。汗だくのお客さんが「もう限界」って感じで出て行っては、また突入して来て……みたいな。音圧も凄かった。YMOの後だったんで、余計にすごく感じたのかもしれないですが(笑)。
高橋YMOはバキバキにエレクトロニックな音ではなかったですからね。ATRはミシッとしたビートが1時間延々と鳴り続けていて、とにかくテンションが凄かった。お客さんの煽り方も上手かったです。MCは1回くらいしか挟まなかったんですけど「みんなに〈いま日本に行って大丈夫なのか?〉って言われたけど、俺たちは今こそ行かなきゃ駄目だと思ったんだ」みたいなことを言って。グワーッと盛り上げましたね。
原田ウィルコはアレンジをフェス用に変えていたのか、楽器をものすごい抜いてた。アコギとドラムだけで引っ張って、ほかのパートがドーンと入って来る。アタックが強い瞬間がいっぱいあるからすごく高揚感のあるステージだった。去年の来日ライヴも見たんだけど、その時より緊張感があってバンドの気合いもみなぎってる感じがして非常に良かった。素晴らしいライヴを見せてもらった。きっとウィルコを知らなかった人が観ても感じたことなんじゃないかなと。
高橋そしてヘッドライナーのケミブラですね。
小林ケミブラは鉄板でしたね。ヘッドライナー出演が決まった時は、正直に言えば「またか!」と思ったんです(笑)。でも、実際見ると毎回楽しいんですよ。あれは凄い。
高橋最終日のヘッドライナーの時間って、お客さんが減るじゃないですか。帰る人が結構いるから。でも今年はクロージングのミュージックまで含めて、〈GREEN STAGE〉から全然人が減らなかった。
小林今年はびっくりしましたね。アーティスト・パワーなんですかね。
原田ケミブラは本当に何度も出てるけど、毎回評判良いんですよね。
小林彼らの場合は会場がデカければデカいほど力を発揮する。大会場のダンス・アクトって、チャラいトランスの要素を盛り込むか、あるいはロックのブート・リミックスをかけたりするかって方向に行きがちじゃないですか。彼らはそういうことをせずに、あれだけの人たちを楽しませる力を持ってる。それに、あの照明と映像とサウンドとのシンクロを目の当たりにすると、どうしたって盛り上がりますよね。本当によくできたライヴですよ。
高橋フジへの出演が4年ぶり6度目って書いてある(笑)。
小林2000年代に入ってからの彼らのサウンドって、ロマンティックでコズミックな要素が出て来てる。それが夜の時間の苗場とマッチしていて気持ち良かったってのもあるかもしれない。
高橋この後の〈RED MARQUEE〉のくるりもパンパンでした。
原田おもしろいブッキングだよね。くるりなら、本来〈GREEN STAGE〉の良い時間でしょう。
高橋MCで言ってましたけど、〈GREEN STAGE〉含めていろんなステージに出たので、今回は〈RED MARQUEE〉に出たいとバンドの方からリクエストしたそうです。新しい編成が〈RED MARQUEE〉の環境にマッチしてたと思いますし、かなりベスト盤的なセットでみんな大満足だったんじゃないでしょうか。
原田一方で、〈GREEN STAGE〉ではミュージック。日本での最後のライヴだったんだよね。
高橋後ろの方で観てたんですけど、みんな曲を知っててすごい歌ってましたね。一方でわかりやすいリフのある曲が多いから、知らなくても乗りやすい。もともと〈フジロック〉に出たことで日本での人気に火が付いて、〈フジロック〉で幕を閉じるという。
原田ミュージックって〈フジロック〉が大好きなんだよね。お客さんとして来てるって噂も聞いたことがある。
高橋2000年代のチープ・トリックとなって有終の美を飾った……という感じなのかもしれませんね。
原田俺はその後もふらふらしてたんだけど、石野卓球が岩盤ステージでDJやってたね。むちゃくちゃ盛り上がってた。割とロック寄りのヴァラエティーに富んだ選曲で楽しかったな。
高橋“Blue Monday”かけてました?
原田はっきり憶えてないけどパーツをかけてたかな。今年は三日間で“Blue Monday”3回くらいしか聴かなかったな。例年よりは少なかった(笑)。で、例年通り〈Palace Of Wonder〉のバーでFran-keyのDJを聴いて、朝を迎えたと。
――三日間を終えて、今年はいかがでした?
小林取材ばっかりだったんで、あまり全体を俯瞰して見れないんですけど……三日間で5回くらい温泉に入りましたね。疲れをためないことは大事だなあと(笑)。
高橋地震のことはどこかで考えざるを得なかったですね。メインのところで遊んでる分には例年通りなんですけど、それでも毎日、黙とうがあったし、震災に言及したミュージシャンも多かったし。〈GYPSY AVALON〉では脱原発のトークショウやってましたし。
原田「NO原発」ってメッセージはフェス全体で打ち出してたよね。入口で配ってるゴミ袋には原発マークが入ってたしね。
高橋毎年タワレコが配ってるタオルに「今こそエネルギー・シフトを」ってバーンと書いてありましたね。
小林ただ、集客面への影響は、事前に心配していたほどはなかったように感じました。特に土日は混んでましたし。
原田あと、〈Rookie A Go-Go〉は新人枠だけど、ちゃんと力を持ってるバンドばかり出ていたのが印象に残ったな。
高橋まったく無名のバンドが出るんじゃなくて、インディーからアルバムを一枚出してて、それなりに評価されてる……みたいなバンドがしっかりしたステージング見せてましたね。
原田〈苗場食堂〉とか、小さいステージ全体に言える話かもね。素人くさくなかった。長くやってきて〈フジロック〉というブランドが確立されて、「フジに出るなら、これだけの水準」みたいな感覚が確立されたのかもしれない。それは音楽に限った話でもないのかも。食べ物屋さんも美味しくなってるとか、ホスピタリティーの部分も向上してるとか。
高橋外れがない。あるとしたら、もう好みの部分でしかないのかもしれない。
原田〈フジロック〉というと、台風が直撃した1回目の悲惨な話になるじゃない。そこから出発して、10数年を経てフェスとしてすごいものになってきたのかなと。
高橋フェス側もお客側もどんどん洗練されてると。
原田ここ数年の傾向として、ダフ屋っぽいダフ屋はいなくて、フェス女子みたいな子が「チケット売ってください」ってボードを出してるじゃない。どうもダフ屋が女の子にやらせてるらしいという。ダフ屋界隈もフェスに合わせて洗練されてきてる(笑)。
――では最後にそれぞれのベスト・アクト3組を挙げてもらいましょうか。
高橋僕はインキュバス、ブラック・エンジェルス、eastern youthですね。
原田ウィルコ、コーナーショップ、ウォッシュト・アウト。地味だけど。
小林僕はなんだかんだケミカルが楽しかったですね。その次がアークティック・モンキーズ。最後がモニターで観たバトルス(笑)。
――というところで締めさせていただきます。今年もお疲れさまでした!




































