第19回 アルバム発売記念ビア・インタヴュー!
第19回 アルバム発売記念ビア・インタヴュー!2010/07/28
やたああああ! できた! 祝・アルバム完成! おめでとう、俺!ということで、当連載担当の澤田さんと原田さんに、インタヴューを兼ねたお祝いパーティーをビア・ガーデンで開催して頂きました。ちなみにボブ・マーリーさんにはまったく思い入れはありません。多少、適当でした……。
原田&澤田アルバム完成おめでとうございます~。
やけのはらありがとうございます!
澤田とりあえず、夏に出て良かったですね。Twitterを見る限りでは、結構スケジュール的にギリギリのところでやってる感じでしたけど。
やけのはら発売日がずれないギリギリのところまで粘ったってことですね。やっぱり、どうしても夏に出したかったんで。
原田やけのはらと言えば夏、みたいなところがあるじゃないですか。
やけのはらそんなことないでしょ(笑)、適当に言ってません?
原田いやいや、俺のなかではそういうイメージですよ!
やけのはらアルバムで言ってる〈夏〉は、まあひとつの比喩ですからね。俺が夏大好きっ子とか、そういうことではないです。
澤田サマー・オブ・ラヴの〈サマー〉みたいな意味ですかね。
やけのはらそういう感じですよ。
澤田これはやけのはらさんなりのラップ・アルバムだと思うんですけど、ラップという部分に限らず、ものすごく焦点の定まった楽曲が揃ってると思うんですよね。サウンド面でも、リリックにしても。
やけのはらアルバムの方向みたいなものはいろいろ作っていくなかで徐々に見えてきて、2~3年前に『THIS NIGHT IS STILL YOUNG』ってタイトルが思いついた時点で、落とし込むポイントが明快になって。
澤田その落としどころについて、もうちょっと訊かせてください。
やけのはらこのアルバムって、DJ視点で作ってるんだけどインストじゃないってところが珍しいと思うんですよね。DJがパーティーからのフィードバックでインストを作るところを、俺はパーティーからのフィードバックを言語化して、歌詞にしてアルバムを作った。いわゆるラッパーっぽく現場を盛り上げるみたいな、そういう歌詞じゃない。もっと傍観者的な感じというか。そもそも、DJ活動が主軸でラップもやってるっていう立ち位置の人が少ないし、そういう部分がおもしろいんじゃないかと自分では思っていて。
澤田そういうアルバムを作ろう、という?
やけのはら自然とそういうものになるんですよ。いつもDJしてて、ラップのアルバムを作ろうとすると。
原田ラッパーとしてのやけのはらというのは、自分ではどう見ているんですか?
やけのはらなんすかねえ……親戚のおばさん家に行った中2の子、みたいな。
原田どういうことですか(笑)。
やけのはらラッパーとしてガンガンやっていくというの性格的に向かないな、というのは最初に音源出したころから思っていて。ヒップホップの文脈も、あまり関係なく、ヴォーカル技法としてのラップを続けている感じです。ただ、リスナーとしてはいまもヒップホップは好きだし、ラップ好きな子に聴いて欲しいってのはありますけどね。
原田やけのはらさんってもの凄く客観的な視点を持ってるじゃないですか。
やけのはらだから、性格的にもDJの方が合ってるんですよ。ラッパーって歌手よりも、もっと自分を打ち出していくでしょ。歌詞が一人称というか。
原田俺の物語をラップする、みたいな。
やけのはらそういうのは向いてないんです。このアルバムの歌詞も一人称感が少ない。夜や、街や、2010年の風景を綴ったような歌詞なんで。だからジャケは自分じゃなくてもいい、むしろ違う人のほうがイメージが膨らむだろうって判断で、女の子に出てもらったんですけど。
澤田そうやって俯瞰して冷静にものごとを見つつ、でもすごくストレートに、キラキラした素敵なメッセージを投げかけるじゃないですか。シニカルな語り口にはならない。
やけのはらああ、そうですね。俯瞰目線の人だと、シニカルなベクトルに行きがちなところはあると思うんですけど、そういうのはあんまり好きじゃないんすよね。皮肉っぽかったり、理屈っぽかったり、そういう風にしたくないっていう意識はある。
原田冷静な視点を持っていると、自分自身のジャッジもシビアになりますよね。
やけのはらそういうところはしんどいですよ。もっとこうしたいっていう部分と、自分自身の追いつかない面とかが見えちゃうし。完全に主観のみで「やばいよ、俺のラップが世界変えちゃうかもよ?」みたいな感じだったら作りやすいと思うんですけど、そういうタイプじゃないですからね。だからどうしても時間がかかってしまう。でもやるんだ、みたいな、ものすごく複雑な構図のなかで頑張りました。
澤田今日はアルファベッツ(注:やけのはらが在籍していたラップ・グループ)時代のディレクター、布施一さんにも来てもらってるんで、布施さんのお話も伺おうかと。
やけのはらお世話になりましたよ。いまだってまだ勉強中ですけど、当時は音源の作り方もよくわかってないような状態だったんで。
布施あの頃は音楽をめぐる状況もいまとは全然違ったよね。配信も一般的じゃなかったし。
やけのはらレコード会社とか音楽業界のシステムの、既存の形の末期でしたよね。当時はどうにかしてCDを出す以外に、世の中に出て行く方法がなかった。アルファベッツを出したちょっと後くらいから、いろいろなものが崩壊し始めたし、MySpaceなんかが出てきて、無理してCDにしなくても聴いてもらえるようになった。
布施アルファベッツ時代のやけのはらの歌詞は、儚い夢物語みたいなものが多かったよね。
やけのはら抽象的というか、よくわからないサイケデリック童話みたいな(笑)。そういう歌詞は減りましたね。当時は家のなかで作って自分の脳内で完結している、みたいなところがあった。でもいまは人とコミュニケーションをして、いろんな循環があるなかで作ってる。人前でやることが多くなると、意味が伝わるもの、何らかのコミュニケーションが成立する方向に行きますよね、やっぱり。
布施でも、当時から夏とか夜とか使いたがるところはあって。終わってほしくないものに、すごく重きを置いていたよね。刹那的な感じなのよ。そういうところはブレてないというか、変わってないなと思います。
やけのはらまあ同じ人間ですしね。いきなり全然違うことをやろうとしたわけじゃないし、いろいろな流れの上で、というか。




































