第11回 ドリアン!
2009/09/18 | タグ:Dorian
私事で恐縮ですが、9月16日に七尾旅人×やけのはらのシングル“Rollin' Rollin'”出しました。今回はそのシングルにもアレンジとリミックスで参加していただいたDorianさんにメール・インタヴューさせてもらいました。
Dorian プロフィール
2009年2月、初の自主制作盤CD-R『Slow Motion Love』を発表。
2009年4月、ショパンの名曲をテクノ・ハウスにアレンジしたコンピレーション『YOU KOBAYASHI presents CHOPIN HOUR』にリミックスを提供。
2009年8月、海をテーマにした往年のJ-POPの名曲をエレクトロ・カヴァーしたコンピレーション『Seaside Town』に、山下達郎“RIDE ON TIME”のカヴァーで参加。
2009年9月、七尾旅人×やけのはら“Rollin' Rollin'”のアレンジを担当。リミックスも手がける。
年末に向けて、トラック提供した作品もいくつか発売予定。
・MySpace.com〈Dorian〉オフィシャルページ
――今回、“Rollin' Rollin'”に参加した経緯を教えてください。
Dorian元々は、やけさんと旅人さんで作る予定だったようです。でも、アレンジを固める上でウワモノを鳴らせる機材がないということで、2人の相談のもと誰か1人呼ぼうという話になったようで、やけさんから「手伝って」という電話があり、リハスタに行ったのです。
最初はお手伝いということだったのですが、旅人さんがザックリした感じでギター1本で歌って、それにあわせて僕が「ピロピロ」って探り探り鍵盤を弾いて、やけさんがマシンドラムでビート組んで、とやっていたら「いいネ!」という感じになりまして、ありがたくもアレンジはDorianにまる投げしようということになりました。最初はなんとなく縮こまっていたのですが、あの日のスタジオはかなり楽しかったです。イマジネーションが広がりやすかったです。
――作っている過程でのエピソード、作り終わってからの感想などあれば教えてください。
Dorian最初にスタジオに入った時の、なんとなく3人で合わせた感じのメモ的な録音物があったのですが、完成品はほとんどそのままの感じでかなりシンプルな作品だったので、細部に時間を割くことが出来ました。
最初スタジオに入った時の話ですが、やけさんがその場でリリック書いてるのを見れたり、僕がどんな音でどんな風に弾いても旅人さんはどんどん歌ってきたり、そういうことがとても面白かったですね。
あと、別のスタジオで声録りした時も、やけさんは決めた箇所にキチキチ、サクサクと録音していく。旅人さんはループの中でザックリと歌っていって良い部分をチョイスする。そういった2人のやり方の差が面白かったですね。2人の注文に新米レコーディング・エンジニアの方があたふたしていたのも面白かったです。
最初のコンピ用のミックスは僕がやったのですが、少しバランスを調整してはファイルを送り、2人から電話が交互に来てさらに直して、みたいなことを数日間PCの前で深夜にやっていて、何かヒミツのミッションを遂行しているような気分でした。楽しかったです。
――リミックス・ヴァージョン“Dorianの終わらないアーバンソウル”はどのようなイメージで作ったのでしょうか?
Dorian最初、特にリミックスのオファーがあったわけではないのですが、勝手に作りました。このリミックスのタイトルだけはなぜかボンヤリ頭の隅にずっとありました。もともとは自分の曲を作ろうと思っていたのですが、アカペラを乗っけたらバッチリ合いそうな気がして、4小節ループだけ作って歌をバァーッと貼り付けてみたらすごく良い感じに思えて、それで出来ました。
個人的になんですけど、いますごくハイファイでバキッとした感じの音作りの曲ばかり耳にする機会が多いような気がして、なんか柔らかかったりザラッとした質感のものが作りたかったというのが少し前からありました。それと、隙間なくミッチリ詰まっているものではなく、割と音圧に余白があるものだったり。
あと、サンプリングをしたかったんです。僕、サンプリングってあまり使わないので、逆にネタを何小節かまんまサンプリングしてズラッと並べてビートに乗っけただけの印象の、ザックリしたものを作りたいという考えがありました。綺麗なフレーズだけど、ケツの方の音だけブツ切りになっていたり、失敗してるよ、みたいな曲。
でもサンプリングしたいものがなかったんで、生っぽい質感のすごく短い曲を作って、それを自分でサンプリングして頭からケツまでサックスっぽい音を弾いて乗っけて作りました。全部MC-909の音です。
――七尾旅人さん、やけのはらさんの印象を教えてください。
Dorianいま、2人にはほんとお世話になっています。ほんと初めて会ったその瞬間の印象というのは僕の中では2人とも同じで「この人笑わないのか?」と思ったり、「気難しい人かな?」という印象でした。その頃は「あっ!七尾旅人だ!」「あっ!やけのはらがいる!」という感じでした。
個人的な見方ですが、旅人さんは、ライヴをご覧になったことがあればわかると思いますが、細かいことにも目を配って、音にも人にもすごく丁寧な、とても優しい人です。あと、孤高の人という感じがします。時にのんびり?大雑把?に思える瞬間も、そこには筋が通っていて、「そういうことか!」と思い知らされます。そういうこととはどういうことかを上手く説明できませんが……。瞬間にしかないことと、変わらず続いていくことみたいなものを凄く感じたりします。
やけさんは、DJで、いつでもどこでもDJな気がします。僕とかは人のことはあまり考えられないし、自分のこともよくわかりません。でもやけさんは、いつでも人の立場になってものを考えているように思います。例えば、5人で朝ごはんを食べているとすると、自分以外の4人それぞれから、聞いている側も楽しめる話を引き出せる人。そういう風に思います。本人はそんなことは考えてないのかもしれませんが。いろんな時間や場所や人や物や出来事などの大事な部分を瞬時に理解して、いまそれぞれが絡み合った場合のどれが重要なのか、どれが最良か、どれが楽しいのか、自然と良い結果の方へ導いていくように感じます。一緒に話したり遊んだり音楽やったりしていると「俺たちが見ている景色が夢だとしたら最高にアホらしく笑えてスリル満点の夢にしよう」と、なぜかだんだん自然にそう思えてくるんです。
――“Rollin' Rollin'”を都道府県で例えると何県だと思いますか?
Dorianやっぱり東京という感じがしますね。夜の東京。得体の知れない新しいものと出会って、気づいたら別れていて、一方ではもう新しく出会っているけど気づかない、とかそういうことの繰り返しのような感じです。忘れているわけではないのだけど、という。こういう音も東京に住んでいなかったら出なかったような気がします。
――“Rollin' Rollin'”を食べ物に例えるとなんでしょうか?
Dorianこれは難しいですね。卵とかですかね。焼いても茹でても蒸してもグチャグチャにしてもそのままでも結局卵なんだよ、みたいな。よくわからないですね。
――Dorianさん自身のお話も聞けたらと思うのですが、どのようなきっかけで音楽を始めたのでしょうか? また、その後現在までどのような音楽活動をしてこられたのか教えていただけますでしょうか?
Dorian僕は小学生4~5年生の時にテレビでTM NETWORKを見て、凄いなぁと思ったことがきっかけですね。これ僕もやりたい、みたいな。で、6年生になった時に安いYAMAHAのファミリー・キーボードを親に買ってもらって、ずっとコピーしていました。で、小室経由でエイベックスのジュリアナ関連のコンピとかジャングルのコンピとか聴いていて、親の車ではフュージョンとか聴いていました。
中学に入って最初のお正月にお年玉でRolandのMC-303を買いました。その辺りから音楽を作り始めたと思います。ジュリアナ・テクノみたいなのや打ち込みジャングルみたいなのとか作っていました。親のギターを重ねて録ったりしてました。中3のある日、これヒップホップっぽいなぁという曲が出来たので、よく分からない外人のCDの歌詞カードを何となく読める英語だけモソモソとラップ調にして録ったりしてました。
高校に入ってから、ようやく興味を持ってくれる友達もできました。このへんから何となく黒人音楽みたいなものに耳が引っかかるようになりました。そのグルーヴとかリズムとかよりも、ウワモノのJ-POPとかにはないコード感とか音色に興味が沸いて、そこを勉強してました。いままでやっていたことが急にダサく感じ始めた頃でした。上京して学校に入って出来た友達と3人で僕はラップをしていました。チョコチョコ毎月レギュラーとかもあってライヴなんかもしていたのですが、なんだか無理してる感じがして疲れてきて、3年くらいでやめました。向いてなかったんだと思います。
卒業して1~2年くらいはエセ・ディーヴァみたいな女の子にトラック作ったり、たまにJ-POPのバイトをしたりしていましたが、全然面白みがなくなってきて、その後2年くらい何もしていませんでした。月に1~2曲くらい、気が向いた時に遊び作ったりはしていましたが、あくまで遊びでした。バイトと月2回程会える遠距離恋愛の彼女に明け暮れていました。
3年ほど前に、あるきっかけでその娘からターンテーブルを1台プレゼントでもらい、さらに友人からもう1台のターンテーブルとミキサーを1万円で譲り受け、DJセットが揃ってしまったのでDJを始めました。そこからいろいろ遊びに行くようになり、そういうなかで出会った友人にライヴをすることを勧められ、いまに至ります。
――曲を作る上で影響を受けたミュージシャンや、出来事、事件などありますか?
Dorian初めて曲を作るようになったのは小室哲哉がきっかけです。あとは、親が聴いていた音楽、ラップをしていたころ身の回りで起きていたこと、2年近い引きこもりっぽい生活、失恋や出会いなど。DJを始めたことや、再び夜遊びを始めたことなどは、かなりの影響です。
――キラキラとしたドリーミーな曲調が印象的ですが、このような作風にはどのようにしてなったのでしょうか?
Dorian近頃のようなライヴを始める前までは、なぜかこういった作風のものには嫌悪感がありました。しかし、そのさらに前にはこれに近い雰囲気の物も作っていました。でも、いまそれを出さないのはなんかウソ臭いなぁと思いました。多分その時はカッコつけていたのだと思います。もう特にやることもないし、他のことで褒めてもらえたためしもないので、作れるものはとりあえずやっていこうと思いまして、結果こういう作風になったのだと思います。
――今後の活動予定~リリース予定などを教えてください。
Dorianもっとライヴの質を上げて行きたいと思います。もっと幅広く色んな音楽と関わって行きたいです。10月に出る予定のmagic book recordsのコンピに1曲参加させていただきました。秋に出る予定ののZEN-LA-ROCKさんのアルバムにトラックで2曲参加しました。来年くらいに出る予定の七尾旅人さんのアルバムに、何曲かシンセやアレンジで参加します。あと、年内に自分のを何とかもう1枚出そうとしております。
――ありがとうございました!これからのご活躍も楽しみにしております!
Dorianこちらこそ、ありがとうございました!
■今月の気になる一枚 啓 from INCREDIBLE BEATBOX BAND『EASY』
タイトでメロウでユーモラス! 独特のタイム感のグルーヴが病み付きになる1枚です。ゲスト参加のラッパーもそれぞれ良い味を出し、どの曲もさらっと短くまとまっていることもあり、タイトル通りの良い意味での気楽さ~軽さが素敵だなと思いました。
やけのはらプロフィール





























