第1回 ひゃけのひゃらしゃん
ヒップホップ・ユニット、アルファベッツのMCとしてキャリアをスタート。ジャンルを問わずさまざまなパーティにDJで出演し、トラック・メイカーとしても活躍、最近は、イルリメ、idea of jokeのメンバーらによるバンド、younGSoundsにも参加している、東京地下音楽シーンのキーパーソン、やけのはらの連載がスタート。ライターとしての顔も持つ氏が、日々のアレコレを毎月気になる1枚(か2枚)のディスクと共に、ゆるめに振り返ります。
■今月の1枚 V.A.『赤塚不二夫トリビュート~四十一才の春だから~』
電気グルーヴ×スチャダラパー、ミドリ、曽我部恵一BAND、HALCALI、ECD、矢野顕子らが参加した、赤塚不二夫のトリビュート・アルバム『赤塚不二夫トリビュート~四十一才の春だから~』(9月24日発売)。
それはまだ夏が始まるかどうかといった時期、確か7月の初めだったと思う。青山の某クラブのカウンターにその男は居た。短パンにビーチサンダル、ヘロヘロになったTシャツを着込んだ男は、もう随分と出来上がった様子でフラフラとご機嫌だ。私が酒を買おうとカウンターに近づくと、素早くその男が近づき話しかけてくる。呂律は回っていない。「ひゃげのひゃらさんです……よにぇ……ちょっといいですかぁ……(『やけのはらさんですよね? ちょっといいですか?』だと思われる)」…。
面倒な男に話しかけられたなと思いながらも、まあ今の所ギリギリ意識はありそうだし、何よりそのような状態の相手は適当にあしらおうとすると不条理に怒り出したりするから、とりあえず丁重かつ友好的に返答する。
「ひゃけのひゃらしゃん…、僕、ウープスというしゃいとで働いてるHとひゅうものにゃんでしゅけど…(やけのはらさん、僕、OOPS!というサイトで働いてるHというものなんですけど)」
「あ、はい」
「ひゃけのぴゃらちゃんによかったらああ、れんしゃいを……れんしゃいをたのみたいとおみょって、て、て、(やけのはらさんに良かったら連載を頼みたいと思って)」
そう言った男の目は、とろけていた。DJが週末の夜を彩るヒプノティックなビートを紡ぎ、そこに居る他の男と女は、ある者は踊りに興じ、またある者は思い思いの相手とのくだらない会話に夢中だ。どこにでもある様な週末の夜の光景。しかしその男は、日頃の鬱憤を自らを痛めつけることによって晴らすかのように、その場のテンションと遥かに乖離し、とろけきりご機嫌だ。
聞けばその前の週にあったアニバーサリーにも遊びに来たが、声をかけた女の子に片っ端から無視されたという。その時もこんな目をしていたなら当然だと思ったが、「それは残念でしたね~」と同調すると、「あまりに寂しかったから泣きながらお母さんに電話をかけた」と告白。様々な夜の形があるなと思った。その後も夏祭りでテンションがあがり覚醒しきった子供のように無邪気にはしゃぎ、何故か友人の男の乳首をいじり倒した後に、連載依頼を無事終えた満足感に浸るかのようにご機嫌な足取りで岐路に着いたのである。無論、私は「連載やらせてもらいます」とは一言も言っていないのだが……。
と、いうわけで連載1回目も終盤に差し掛かりながら連載開始の経緯をまだ書ききっていないのですが、とりあえず後半は次回に回して、今月の気になるものは、『赤塚不二夫トリビュート ~四十一才の春だから~』! ANIさん瀧さんのはまり役2MCによる「31才バツイチぐらいに告白されると丁度いいのだ」、「黒いブラ線誘ってるのだ SPAに載ってたから間違いないのだ」などのパンチライン冴えまくり、電気グルーヴ×スチャダラパー“NA.NO.DA”、シャープなノイズに現行ドイツ地下テクノをも彷彿させる歪なリズムで聴かせる、筋肉少女帯“モーレツア太郎’07 HAIR STYLISTICS Remix”、異常な多幸感を持った馬鹿テク・ペラペラ・フュージョンが何故か今っぽく聴こえる、矢野顕子“BAKABON”あたりが特に気になりました。赤塚大先生のご冥福、心よりお祈りいたします。
そんな感じで、ノンビリと毎回気になるものを取り上げていこうと思ってるので、次回もよろしくお願いします~!
やけのはらプロフィール
10月19日(日) 渋谷O-nest
テキサコレザーマン
KOCHITOLA HAGURTIC EMCEE'S
PAYBACK BOYS + BLAH-MUZIK
LUVRAW+BTB&PALM STREET
younGSounds





















