OOPS! - Music Community | ウープス・ミュージック・コミュニティ

ニュースもレビューも投稿制。リスナーによるリスナーのための音楽サイト


特集・コラム
10年前ドットコム

特集・コラム Powered By Movable Type

第8回 The Chemical Brothers『Dig Your Own Hole』、中村一義『金字塔』

2007/05/10

 こちらのコーナーでは、OOPS!編集部員が、〈10年前にリリースされたCD〉をネタに、思い出話をとりとめもなく話していきます。当時流行ったジャンルや時代を飾ったアーティスト、その他もろもろのキーワードを放り込み、雑談ライクにこの10年の音楽シーンをぼんやりと総括&再検証いたします。

原田 ゴールデンウィークにイベントに行った? 俺は一回飲んだ延長でクラブに行っただけであとはなんも楽しげなことはしなかった。

澤田 微妙に仕事もあったし、どこにも行ってないですよ。

原田 どこ行っても混んでるイメージがあって面倒だったんだよなー。スーパー銭湯も驚くほど混んでたし。

澤田 混んでるスーパー銭湯は最悪ですね。

原田 混んでるクラブの方が良いよね。

澤田 ギャルがいますからね!

■The Chemical Brothers『Dig Your Own Hole』

The Chemical Brothers“Block Rockin Beats”プロモ・クリップ

原田 最初はケミカル・ブラザーズの『Dig Your Own Hole』から。これはオアシスのノエル・ギャラガーがヴォーカルとして参加した“Setting Sun”が入っているアルバムだね。ビートルズ“Tomorrow Never Knows”の90年代版って言われていた曲。テクノ畑の彼らが、ロック方面に対するアプローチをしてうまく作用したアルバムって言っていい内容だったんじゃないの?

澤田 でも、ファーストの『Exit Planet Dust』からして、かなりクロスオーバーな内容でしたよね。邦題は『さらばダスト惑星』だった。

原田 ノエルの起用を見ても、そこからもっと戦略的にロック側に踏み込んできた感じはあったでしょ。ファーストの頃はテクノ側が大プッシュしていたけれど、ロック・リスナーに届いていなかったと思うよ。エレキングみたいなテクノ雑誌を盛り上げた立役者のうちの1組という感じだったんじゃない?

澤田 ファーストは確かにそういう受け入れられ方をしてましたね。テクノがミニマルに寄っていって停滞していく状況で、〈ちょっと違うものもあるよ〉という感じでセイバーズ・オブ・パラダイスなんかと一緒に出てきたというか。彼らはファーストを出す前にセイバーズのリミックス・アルバムに参加してたんですけど、あれで格を上げたんじゃないかな。

The Chemical Brothers“Star Guitar”プロモ・クリップ ※02年作『Come With Us』収録

原田 当時のテクノ・リスナーはこのアルバムで聴かなくなってしまったという感じの人が多かったと思う。売れたことで醒めちゃったみたいな感じで。ロックのリスナーにとっては、新しいものが来た感じがあった。「テクノが来たぞー!」みたいな感じで。このアルバムを境にテクノ側に移っていって、ロックを聴かなくなった人も日本にはたくさんいたでしょ。

澤田 もっと大きくなっても良かったんだけれど、そこまでビッグになりきれなかったのは、2人のルックスが悪かったからですよね。当時カヒミ・カリィも「ケミブラもルックスさえ良ければ……」って言ってました(笑)。

原田 アー写を見たときは驚いたよね。メガネの長髪とくりっくりの天然パーマで。オタク丸出しでさ(笑)。で、話を戻すけど、当時は先鋭的なかっこいいものとして俺もよく聴いていたんだよ。シングル曲が特に好きだったけれど、アルバムはあんまりはまらなかったんだよね。

澤田 ファーストもセカンドも、まるごとダンス・ミュージックではなくて、聴かせるタイプの曲が入ってた。それがいいのかどうかっていう問題を、こういうタイプのミュージシャンは常に背負わなきゃいけないのかもしれないですよね。今だと、LCDサウンドシステムとか。

The Chemical Brothers “Leave Home”プロモ・クリップ ※95年作『Exit Planet Dust』収録

原田 さっきと同じ話になっちゃうけど、このアルバムとファットボーイ・スリムの『You've Come A Long Way Baby』が与えた影響ってすごく大きいような気がする。アンダーワールドがフジロックのメイン・ステージで大トリを務めていたけれど、多分“Mmm... Skyscraper I Love You”からアンダーワールドに入った人はあの場所にはほとんどいなかったわけで。テクノ・リスナーのヒエラルキー構造っていうものが、ケミカルのこのアルバムが出てから3年くらいでがらっと変わったんじゃないかな。ロックの人にとって、打ち込みの入り口になるようなミュージシャンって何年かおきに登場していて、それが何度も繰り返されるうちに「自分がロックのリスナーである」というアイデンティティすら世間から消えつつある。それが今の状況なんだって言うこともできそうだよね。「俺はロックの人だ」って自分の所属をはっきり表明したいのは今はもうおっさんだけじゃないの?

澤田 どうなんですかね。音のスタイルは変わっても、ロック・リスナーの聴き方は変わっていないような気もしますけど。結局、ダンス・ミュージック出身で大きく成功した のって、みんなロック・ビジネスとかキャラクター商売に乗っかった人じゃないですか。そういうのが好きな人は、クラブ文化みたいなものとは交わらない気がするんですよね。

原田 いやいや、そういう子だってハウスのパーティーに行ったりするんじゃないの? 友達に誘われてふらっと。それでクラバーと素敵な出会いがあったりしてさ。そんで週3でクラブに通って2度と一般社会に戻れなくなるような……ってそんな前例知らないけどさ。

The Chemical Brothersの作品を紹介
6月13日にリリースされる、ニュー・アルバム『We Are the Night』
05年にリリースされたアルバム『Push the Button』
03年にリリースされた、シングル集『SINGLES 93-03 COLLECTION』
02年にリリースされたアルバム『Come With Us』

次のページへ

友達にメールで教える

  • はてなブックマーク
  • newsing(ニューシング)
  • del.icio.us

特集・コラム コンテンツ